だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1395回 「ゆたかな人生が始まる シンプルリスト」

ゆたかで、シンプルで、質の高い人生を送る秘訣は、「リスト」にありました。「Todoリスト」は使ったことがあるかもしれませんが、本書で語られる「リスト」の効果はそれ以上に絶大なのものです。“簡潔に、具体的に書き出すだけで、確かな幸せに手が届く”。世界10ヶ国語以上に翻訳された、世界的ベストセラー『シンプルに生きる』の実践編。

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思考をシンプルにする「リスト」

● 著者プロフィール ドミニック・ローホーは、フランス生まれの著述家。ソルボンヌ大学で修士号を取得し、イギリス、アメリカ、日本の大学で教鞭を取ってきました。 文化面においては、アメリカと日本でヨガを学び、禅の修行や墨絵などを通して日本の精神文化への理解を深めてきたそうです。 それを反映した著書『シンプルに生きる』は、10カ国語以上に翻訳されるベストセラーとなりました。

そして本作『シンプルリスト』では、著者であるドミニック・ローホーが実践している、自分自身のことを記録して、判断するときに役立てる「リスト」の作り方を教えてくれます。

● 本書の「リスト」とは? 本書でいう「リスト」とは、自分の考えていることを「言葉」に書き出して、ノートや、パソコンや、スマートフォンなどに「リスト化」して書きとめたものです。Todoリストが有名ですが、すでに実践していて、「何だいまさら?」と思う方もいるかもしれません。しかしこの本でいう「リスト」は、もっともっと視野が広く、自分の考えや、悩み、楽しかった思い出、尊敬する人の言葉、好きな本など、あらゆるものを「リスト」にしていきます。

ドミニック・ローホーは、物事を「リスト」にすることで、人生はシンプルになるといいます。 具体的にいうと、まず「自分が考えていること」「悩んで心を縛られていること」「実現したいと思っていること」が可視化して、具体的になります。モヤモヤしている状態から、次の一手はどうするか、というところまで昇華して、思考がシンプルになって意味を持ってきます。

そして、人生に何度も訪れる転機や判断のときに、心を惑わされることなく、自分が本当に満足のいく判断ができるようになるといいます。これは自分の価値観や、どう生きてきたかを、リストによってシンプルに把握できるようになるからです。

では、実際、どうやってリストを活用すればよいのでしょうか。 「成功体験のリストが成功を呼ぶ」を一部ご紹介します。

成功体験のリストが成功を呼ぶ

この章は、次の言葉から始まります。

おそらく、たった一つの病気しかない。 それは、本当の自分ではないという病気だ。

これは、イヴ・ルヴォーという作家の言葉で、この言葉を受けてドミニック・ローホーは解説を続けます。

**ここから抜粋** 私たちは、本当の自分でいるというただそれだけのことがなかなかできないものです。道教では、「外界から圧迫されると自分らしさがなくなってしまう」と教えています。本当の自分でいるためには、プレッシャーやストレスをなくし、適度な心の余裕を持つことが必要なのです。(129ページより) **ここまで抜粋**

周りからのプレッシャーや、ストレスを感じ続けていると、だんだん自分が自分じゃない気がしてきて、辛くなってしまうことはありませんか?

たとえば、自分の意見と合わない方針や目標に取り組まなければならないとき・・・。 そんなときって、辛いですよね。

このような状況で多くの人は、自分を押し殺して周りが望む姿になろうとして、ときに自分の幸せに反した行動を取ってしまうことが多いと、著者は指摘します。 そこで、リストを活用します。

ここでつくるリストは、私たちに、「自分という存在は唯一無二であること」「それぞれの人生にはそれぞれの意味があり、誰もが常に前進している」ということを思い出させてくれます。

自分の証リストの作り方

まずは、「自分の証」リストというものを作ります。 「自分の証」とは、自身の長所、価値、これまで成功してきたもの、ほかの人とは違う精神的特長、ほかの人に提供できるもの、自分を必要としてくれる人々……といったもののリストです。これらを書きとめます。

次に「自分への約束」(解決したい目標)をリストに書き出します。 自分への約束は、具体的な期日、行動を明記するようにします。

たとえば、「チームに自分の意見を伝える」ではなくて、「○月○日の朝礼後、チーム全員のアポを取って、その場でMTGルームを2時間抑える。」という具合にです。

ここまで明確なリストができたら、行動にも移しやすいと思います。

ここで作った「自分の成功や長所を書きとめる」という行為は、成功する力と、あきらめない気持ちを強化するのにとても効果的なのだそうです。成功を記憶の中だけにとどめず、はっきりと書きとめて「言葉にすること」「目にすることのできる状態にすること」で、気持ちも高まり、力を出すことができるということなのです。

言ってみれば、自己啓発のためのツールのようなものですね。

本書には、その他に次のようなリストが提案されています。

1.本当の自分に出会うためのリスト 2.毎日をシンプルに生きるためのリスト 3.幸せが再生産されるリスト 4.五感を磨くリスト 5.自分と人生をもっと好きになるリスト 6.悩みから解放されるためのリスト 7.恋愛の苦しみを昇華するリスト 8.魔法のようなリスト 9.人生の脚本家は私

忙しくてじっくりものを考える時間がない人、物事を整理するのが苦手な人、優柔不断な人、判断に失敗したなぁ・・・という経験が多い人は、ドミニック・ローホーの「シンプルリスト」を活用してみてはいかがでしょうか? また、自分が何をしたいのか分からない。自分を押し殺して働いているという方も、「リスト」にしてみると意外な発見があるかもしれません。

ゆたかな人生が始まる シンプルリスト

云わば自己啓発の為のツール