だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1361回 「宇宙を感じて仕事をしよう」

本書は、著者の天野敦之さん自身が掲げるミッションでもある「幸せに働くためにはどのようにすればよいのか」について語った一冊です。「何のために働くのか」という根源的な問いからはじまり、自分が本当に幸せに働くためのアドバイスが本書にはたっぷりと詰め込まれています。今、仕事が辛い方や、もやもやしている方には支えの一冊となるでしょう。

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幸せに働くための気持ちの作り方

リスナーのみなさんは、はたらいているときに「幸せ」を感じますか? はたらいていて、「他人を幸せにしている」と実感することはありますか??

もし、「今の仕事が嫌で嫌で仕方ない」「会社に行くのが毎日辛い」と思っている方がいたら、天野敦之さんの本を読んでみてはどうでしょうか。「宇宙を感じて仕事をしよう 幸せに働くために大切なこと」(サンマーク出版/刊)は、幸せに仕事をするために知りたい大切なことを教えてくれました。

● 著者について 天野敦之さんは、1975年生まれ、一橋大学商学部経営学科出身の公認会計士。 外資系コンサルティングファームや、証券会社の投資銀行部門でM&A、資金調達、証券化等のアドバイザリー業務のほか、グローバルマーケッツ部門で地域金融機関への提言業務を行ってきた方です。

バリバリの金融マンだった天野さんですが、証券会社に勤めている時期に、仕事の上で辛い思いをしたことを告白しています。

その辛い思いとは、証券業界にはよくある、“奪ってでも利益を得る” “自分たちが得た利益の分だけ誰かが犠牲になっている”といった構造的な問題。 また、お客様に商品を買っていただくことを「はめる」と表現し、お客さまの事情よりも利益を優先させるスタンス。 そして、ある日机を並べて働いていた同僚が、会社に出勤してこなくなりました。優秀でまじめだったその人は、仕事の重圧を抱え込み、二度と戻らない人になってしまいました。それでも黙々と仕事を続ける職場環境……。 こんな毎日に、天野さんはとうとう参ってしまったのです。

幸せにはたらけなくなった現代の若者たち

辛い体験を経て、現在は独立。 公認会計士天野敦之事務所を設立し、代表を務めています。 「人を幸せにする会社を創る」ことをミッションとして、人の幸せと企業の利益を両立させるためのアドバイスを提供しています。

この本は、天野敦之さんが掲げるミッションでもある、「幸せに働くためにはどうすればいいのか」ということについて語っていく内容です。 冒頭では、まず「なぜ幸せに働けないのか」という命題から考えていきます。

● 幸せにはたらけなくなった現代の若者たち 天野さんは、私たちが幸せに働けない理由のひとつに、「何のために働くのか」が見失われてしまっているからだといいます。 世の中を眺めると、多くの人がお金のために働き、自分だけの短絡的な利益を増やすことに労力を費やしています。つまり、たくさんのお金を得ることが、幸せになることだという思い込みにとらわれてしまっているのです。

天野さんは、物ごとは2つの視点で見つめることが大切だとアドバイスします。

ひとつは、お金のために働くのではなく、仕事を通じて自分の生命を輝かせ、人間として成長するという「幸せの創造そのものを仕事の目的とする」という視点。

もうひとつは、「宇宙の視座をもつこと」。 宇宙といっても、哲学的なものや、抽象的な観念論ではなくて、「意識」の持ち方です。意識の持ち方を変えると、つらく苦しい仕事も、自分の生命を輝かせる、わくわくする仕事になっていくのです。

意識を変えることとはどういうことなのでしょうか。 天野さんは、3つの軸を広げることで意識は変えられるといいます。

時間軸、空間軸、感覚軸を広げて意識を変える

「時間軸」 時間の感覚において、視野を広げて意識を進化させていきます。 時間軸を広げていくと、「自分が死ぬときに後悔しないためには? 幸せな人生だったと思えるようになるには? 自分が死んで、次の世代が幸せになるには? 一体どうすればいいだろうか?」という考え方ができるようになってきます 明日のお金を心配するよりも、とても幸せな日々を送れるのではないでしょうか。

「空間軸」 「自分さえよければいい」「自分の会社さえよければいい」という狭い視野から、国全体、地球全体、宇宙全体へと広げていく意識の進化です。

「感覚軸」 眼で見えるものだけをすくうのか、眼で見えないものも感じてすくうのかということです。日本人の「慮る」「察する」感覚に近いかもしれません。

この3つの軸を広げて意識を進化させていくことで、日々の生活や仕事に対して、今までとは別の視点から見ることができるようになるのです。 そして、幸せを感じられるようになっていくのです。

続きの3章には、これらの軸を広げるための要素として、「捉われを手放せばもっと自由で楽になる」というアドバイスがあります。

天野さんは、「今まで足し算でためて来たお金、もの、テクニックを手放すと、自由になれる」といいます。自分が持っているものをあえて手放して、視野を広げていくことで、幸せに働けるようになっていくのだそうです。

4章「人生のバランスシート」では、人生の資産と負債について、公認会計士らしい視点で語られています。 5章、6章では、総論的に、“つながりを取戻す” “天命を知る” ことについて解説し、最終的に、「幸せに仕事をするとはなにか?」という結論にたどり着いていきます。

まとめ&全章チェック

「宇宙を感じて仕事をする」というと、少し哲学的で、壮大すぎて、戸惑い敬遠してしまうもしれませんが、人生訓として読んだり、自戒的な読み方をすると、自分の中の考え方や思想が整理されて、大きな成長の一歩に繋がるように思います。

読み方としては、「天野さんの考え方を知ろう」というよりは、自分の人生や、自分の仕事に落とし込んで、 自分の仕事ってなんだろう? 自分はなんのために働いているんだろう? 自分が幸せにできる人ってどんな人だろう? と、自分に置き換えてよむことをお勧めします。

そうすることで、自分の成長に繋がる読み方ができると思います。

とても良い本ですので、ノウハウ書、実用書を好んで読んで来た方も、ぜひ手にとって読んでみてください。

● 章構成 プロローグ なぜ、幸せに働けないのか  何のために働いているかを忘れてしまった社会  宇宙の視座から自分の仕事を見つめてみる、他 第1章 働くとは、幸せを想像すること  不安が不安を呼ぶ社会をどう生きるか  奪うことで利益を得るビジネスは続かない、他 第2章 三つの軸を広げると、生き方が変わる  意識の進化とは、三つの軸が広がること  意味があるかより、意味を見出すかどうか、他

第3章 手ばなせば、もっと楽に生きられる  とらわれを手放せばもっと自由で楽になる  手放すために大切な三つのステップ、他

第4章 幸せをもたらす人生のバランスシート  バランスシートで自分の人生が見えてくる   たくさんの人たちの「おかげさま」で生きている、他

第5章 つながりを取り戻すために  幸せに働くために、つながりを取り戻す  つながりを取り戻す瞑想の時間をつくろう、他

第6章 天命を知り、生かされて生きる  思いもよらない出来事が未来をつくる  迷った末に自分に投げかけた「最後の問い」、他

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本書は、著者の天野敦之さん自身が掲げるミッションでもある「幸せに働くためにはどのようにすればよいのか」について語った一冊です。「何のために働くのか」という根源的な問いからはじまり、自分が本当に幸せに働くためのアドバイスが本書にはたっぷりと詰め込まれています。今、仕事が辛い方や、もやもやしている方には支えの一冊となるでしょう。