新刊ラジオ第1356回 「大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉」
本書は、大前研一さんのこれまでの主要な著書の中から、洞察のヒントとなる言葉を網羅的かつ体系立ててまとめたメッセージ集です。重要なのは“思考停止”にならないこと。ビジネスを成功させるためには“自分の頭で考える習慣を絶やさないこと”。本書で、ビジネスに勝つ洞察力とは何かを考えてみませんか。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
大前研一語録サマリー
● 著者について 大前研一さんは、1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工業学科で修士号。マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。 日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。日本支社長、本社ディレクター、アジア太平洋地区会長などを歴任。「ビジネス・ブレークスルー大学院大学(現・BBT大学)」学長。
大前さんは、英国のエコノミスト誌が、「現代世界の思想的リーダーとして、アメリカにはピーター・ドラッカーやトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵する思想的指導者がいない」と書いたほど、世界において影響力を持つ方です。
大前さんのものの見方や、考え方、ビジネス全般に関する高論卓説には定評があり、共著も含めると、著書は累計で100冊を越えています。英語や中国語などに翻訳されて世界中で読み継がれている本もありますし、先に英文で書いた本の邦訳が日本に逆輸入された本も少なくありません。
今回、取り上げた『大前研一 洞察力の原点』は、そんな大前さんの多くの著書の中から、大前さん自身の言葉を集めた1冊です。
大前研一が実践している“唯一の”ルール
本書は、大前さんの主要な著書から洞察のヒントとなる言葉をピックアップして、網羅的に、かつ体形立ててまとめられた本です。
1〜5章は、ビジネスパーソンとしての態度や心構えについて説いた言葉。 6章〜10章は、ビジネスにおける、とりわけブレークスルーのヒントとなる言葉。 11章〜13章は、時代や社会を捉えた言葉となっています。
各メッセージには、その言葉について詳しく書かれた出典も記されています。 琴線に触れる言葉を見つけたら、出典も読んでみて、大前さんがどのような思いでその言葉を発したのか、詳しく知るという読み方をすると、より楽しめそうです。
言葉をひとつご紹介しましょう(「自分で考える習慣」の章より)。
唯一のツール 私の唯一のツールは「なぜか」である。同じ商品なのに、売れるセールスマンとそうでない人間がいるのは「なぜ」だろう。東京で売れて、大阪で売れないのは「どうして」だろう。そういうことをいつも考えていると、答えは見えてくる。 『ニュービジネス活眼塾』より。
目の前で起こったことについて、「なぜか」と問うことは、その結果に対する原因を探求するものです。なぜ成功したか、なぜ失敗したか、なぜそうなったかを考えることは、洞察力を鍛えるためのもっとも基本的なことなのだと思います。 世の中でうまくいってるビジネスの原因を考えて、自分の仕事に応用することもそうですし、自分でした仕事に対して、今回の仕事は成功か、失敗かを評価して、なぜそのような結果になったのかを考えることも、次に繋げる上で、とても大切なのだと思います。 たとえば、たまたま上手くいった仕事でも、なぜうまくいったのかを考えなければ、同じような成功は二度と起こりません。そう言う意味でも、「なぜか」と問うことは、どんなに成長しても、ずっと忘れてはいけない習慣なのだと思います。
思考停止に陥らない
もうひとつ言葉をご紹介しましょう(序章より)。
思考停止に陥らない。 世界中どこにいっても、ビジネスに関わる人が置かれている状況はいくつかに分類できる。何かに挑戦している人、壁に突き当たっている人、好調で浮かれている人、責任重大な立場にあって迷っている人、落ち込んでいる人……。 どういう状況にあれ、自分の力で進んでいくことをあきらめてはいけない。今は苦しくても、これからはじめることが失敗しても、自分の頭で考えて行動を起こすという態度を貫いていれば、答えのない時代の生き方、道なき道の歩き方も分かってくる。ジャングルでもオフロードでも全力疾走できるようになる。 何よりも重要なのは、絶対に「思考停止」に陥らないようにすることである。自分で問題を設定して、その答えを自分の頭で考えることを習慣にしなければならない。
大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉
大前語録のサマリー。読みやすく、奥深い。 |