だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1348回 「40代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則」

定年退職後、40代の過ごし方を後悔している人が多いことをご存知でしたか? 一般に、40代は自分の裁量で自由な仕事をできる一番若い年代です。その貴重な世代を、30代の延長と考えてしまうと、今までの積み重ねが生きてこないのです。本書は、リクルート出身の著者が1万人に聞いて実践してきた“後悔しない生き方”50のリスト。

新刊ラジオを購読する方はこちら

読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました

成功者でさえ後悔してる40代のこと

今までの人生で、後悔していることはありますか?

受験を諦めなければ…。 好きな人に告白していたら…。 友達にあんなことを言わなければ…。

どんな人でも、後悔していることってあると思います。

会社人生を歩み、定年退職を迎えた人に「後悔していることは?」と訊くと、40代の頃のことをあげる人が多いそうです。

40代というと、会社では勤続年数が増えて裁量が与えられる頃ですね。 私生活では、結婚したり、子どもができたり、家を買ったりと、人生の節目となるライフイベントが多い時期です。

せっかく裁量が与えられたのに、背負うものが増えた分、思う存分仕事ができず、守りに入ってしまうんですね。

そんなジレンマや、後悔しないための生き方のコツが、『40代を後悔しない50のリスト』に、書いてありました。

なぜ40代は後悔が残るのか。

● 著者について 大塚寿さんは、株式会社リクルートを経て、アメリカ国際経営大学院(サンダーバード校)にてMBA取得。現在、オーダーメイド型の起業研修を展開する、エマメイコーポレーション代表取締役。

大塚さんは、大学時代から“企業オタク”でした。会社創業の物語が書かれた本や雑誌が好きで、片っ端から読み漁っていたそうです。

入社したリクルート社では、新規開拓部門の営業部に配属され、まるで水を得た魚のように、どんどん新しい会社に飛び込んでいっては、企業の成長ストーリーや、製品の開発秘話、成功できた理由、ビジネスパーソンとして大切なことは何か? などを聞いて回ったそうです。

その数、社内外で実に1万人以上!!

話を聴いて回る中で大塚さんが気づいたのは、「成功の話よりも、失敗の話のほうが格段に面白く、惹きつけられるものがある」ということです。また、「年配の経営者や、部長クラスの人の多くが、40代の頃を後悔している」ということに驚いたといいます。

● なぜ40代は後悔が残るのか。 大塚さんは、20代、30代の頃に勢いがあった人でも、多くの人は40代で「つまらない人」になってしまうと言います。 成長過程の段階では、失敗してもいくらでもやり直しがききました。しかし、40代となると、すでに積みあがった実績の上で判断しなければならないので、30代までと同じようにはいきません。

それは家庭においても同じです。 一つの判断で、その後の人生を大きく左右するような判断をたくさんしていかなければならない年代なのです。

そんな毎日が続いてくると、天才的に頭がよく回るとか、なんでも相談できる優秀なメンターがいるとか、もしくは、よほどメンタルが強くなければ、責任の重さにまいってしまいますよね。

すると、無難でも失敗の少ない判断、リスクの低い判断を選ぶようになってしまうのです。

40代になって、大きな判断ができる裁量を持ったとき、 果たして、無難だけどリスクの低い判断をする人になるか・・・。 大きな成功を手にするために、リスクがあってもチャレンジする人になるか・・・。

多くの人にとって、40代は分かれ道といえる年代なんです!

後悔したくない人が知ったほうがいいこと

本書には、大塚さんが1万人以上から教えてもらって、自分でも実践してきた「40代を後悔しないためにやったほうがいいこと」「考えたほうがいいこと」を、50のリストにまとめて、伝えてくれる内容となっています。

生き方、働き方、仕事、家庭、子育て、教育、介護、お金、出世などなど、テーマは多岐にわたっています。

その中からいくつか抜粋して紹介します。

● 自分にとって大切なことを優先できなかった 会社組織の中での40代というと、中間管理職的な役割を担うようになるので、良かれ悪しかれ、まわりに振り回されることが多い年代です。また、私生活においても、子どもの受験や、親の介護など、重苦しいライフイベントが集中する時期でもあります。 そんなことから、ややもすると公私ともに振り回され、なんのために生きているかわからなくなってしまうかもしれません。

大塚さんは、そうならないために、「自分にとっての優先順位を円グラフに描きだす」ということをすすめています。 自分の人生で手に入れたいものを円グラフ化します。 最初はいくつ出してもいいのですが、最終的には3つくらいに絞って、それらを円グラフの中に入れて、ウェイト付けします。 すると、自分の欲しているものがグッとリアルに見えるようになります。 もし、意思決定や判断で迷ったときは、そのウェイトに従えばいいのです。 後悔のすくない選択ができるというわけです。

● 時間がなくてなかなか本が読めなかった なかなか本を読めなかったと後悔しているシニアたちは、あまり本を読めなかった理由として、「忙しくて時間がなかった」ということをあげています。

新刊ラジオを聴いている方は本を読む人が多いと思いますが(本を読む時間がないから、聴いてるって人もいるかもしれませんが)、成長するためには、本を読むことは欠かせないことです。 しかし、時間がないというのであれば、それなりの本の読み方というものがあります。

大塚さんが勧めているのは、「バイブル読書」の「ばっかり読み」という方法です。 これは、自分にとっての「バイブル書」を見つけて、ひたすら読みこむという方法です。 それこそ、暗記するほど読み込んで、それをアレンジして講演できるくらいまで、自分のものにするのです。 すると、その本から得た知識は、深く、濃いものとなります。

大塚さんは、コトラーの「マーケティングマネジメント」を読み込んだと本の中に書いていますが、何か課題に直面したときは、どう分析すればよいか、どんな方法が合理的か、すぐに思いつくようになったと言います。

イメージとしては、自分の頭の中に、読み込んだ本の著者の「第二の脳」が宿る感じです。大塚さんだったら、大塚さんの頭の中に、コトラーの脳で考える判断が生まれるという。 これ、実はとても効果的なので、多読派の方も一度試してみてください。

やっぱり出世したかった!と思わないために

自分の会社で、役員になれるか、部長まではなれるかといった、いわゆる出世レースの結果は、だいたい40代までの蓄積で出るといいます。

「派閥とか、出世争いとかめんどくさいなあ」と思っている方もいると思いますが、それでもやっぱり、出世はしたいのではないでしょうか?

大塚さんは、「出世するには長いものには、8割巻かれる」というスタンスを勧めています。 残りの2割は何かというと、それは談合、裏金、闇カルテルといった組織犯罪などに退治する際の個人的な判断だそうです。 そういう、組織犯罪に対峙したときに、派閥から決別する意思は残しつつも、出世のためには、派閥には入ったほうがいいということなんです。

なんだか少し残念な気もしますが、出世というものは、成果や会社への貢献度のほかに、上からの「引き」というものが、大きなカギを握っているのです。 もしかしたら、みなさんの会社でも、「なぜあの人が役員に??しかもこんな時期に???」なんて、思ったことはありませんか? そういうのって、やっぱりあるみたいなんです。

●まとめ 本書は、大塚さんが1万人以上の人に聞いたことと、自身の体験を組み合わせて、後悔しないための人生をすごすためのアドバイスです。 きれいごとや、単純な自己啓発ではなく、世の中の真実が詰まっていると思います。

話題は、仕事をメインに、人間関係、家庭、人生における選択におけるさまざまなアドバイスがつまっています。 先人の知恵を受けられるので、「あぁ、本ってこういうものだな」と思える一冊でした。

ラジオを聴く

40代を後悔しない50のリスト

←前の新刊ラジオへ

40代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則

40代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則

定年退職後、40代の過ごし方を後悔している人が多いことをご存知でしたか? 一般に、40代は自分の裁量で自由な仕事をできる一番若い年代です。その貴重な世代を、30代の延長と考えてしまうと、今までの積み重ねが生きてこないのです。本書は、リクルート出身の著者が1万人に聞いて実践してきた“後悔しない生き方”50のリスト。