だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1347回 「安売りしない会社はどこで努力をしているか?」

安売りしない会社なんて生き残れるの?価格競争が激しい昨今、安売りしないなんていう会社は大丈夫なのかと心配してしまいますが、そんな心配は無用なんです。価格を下げずに価値を上げる、その会社の努力をお届けします。起業している人だけでなく、会社の雰囲気を作る立場の皆さんにお勧めの一冊です。

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お金を掛けずに利益を上げる方法

配信でも何度か話していましたが、矢島さんの実家は八百屋さんです。 もし、矢島さんが実家の「矢島成果食品店」を継いでいたら、三代目になるそうです。

いわゆる個人経営の八百屋さんですが、近所にデパートができたり、客層が変わってくると経営にも転換が必要になるそうです。

二代目(矢島さんのお父さん)は、安売り信奉タイプでした。 かつては、「他店より1円でも安ければ、お客様は買ってくれるだろう!」という経営方針でやっていましたが、価格競争では、どうしても大手郊外店には勝てないことが分かり、あるとき、卸売りに転換を図ったそうです。

個人経営で卸売りが上手くいく理由は、「迅速な対応ができること」だそうです。 たとえば、居酒屋でサワー用のグレープフルーツが足りなくなったときは、電話1本で5個とかの単位で宅配することができる、そんなフットワークの軽さが武器になったのです。

もうずっとデフレ経済の影響で、牛丼チェーンをはじめ、価格競争をよく目にします。 でも、値段を下げることは、多くの企業にとって望ましいことではないでしょ??

「安売りしない会社はどこで努力しているか?」は、タイトルのとおり、価格を下げずに利益を伸ばす経営をしている会社を紹介した本です。

今日はこの本を紹介しました。

クイズ。アイスコーヒーを高く売るには?

みなさんは、入るお店を選ぶときや、買い物をするときに何を重視していますか?

たとえば、喫茶店に入るときならどうでしょうか? タバコを吸う人なら、スタバより、ドトールやベローチェを選びますよね。

ルノアールは、他のお店に比べると、少し高いかな? と思いますが、なぜ人が入るのでしょうか。ルノアールは、静かな雰囲気、ソファの座り心地、お店の中に流れているBGMなど、色々強みは考えられますが、安売りをしないお店には、必ず何かしらのしくみや企業努力があるんです。

その秘密を探る前に、頭の体操代わりに、 ちょっと、シュミレーションしてみましょう!!

頭の中で想像してください。 あなたは、カフェを出店します。 ゆっくりお話をしながら、アイスコーヒーを飲めるようなカフェです。

<条件> ●商圏内で、ライバルになりそうなカフェは全部で8軒。 ●平均価格はだいたい400円。

○そんな中、あなたが出店するカフェで、アイスコーヒーをいくらで提供するか、プライシングを話し合った結果、ここは大胆に地域平均の2倍の値段、つまりアイスコーヒーを一杯800円で出すことにしました。

○しかし、お店の内装は特にゴージャスなわけでもなく、立地もずば抜けて良いわけではありません。

○さてここで、800円という値段をお客様に納得してもらうように、なるべくコストをかけずに800円分の価値をアイスコーヒーにつけるには、どうしたらよいのでしょうか??

皆さんならどうしますか? なるべくコストをかけない方法で考えてみてください。 もちろん800円を値下げしてはダメですよ。

良い方法を思いついたら、Twitterで、ハッシュタグ「#skjp」をつけて、つぶやいてみてください。

価格以外の競争力をつけるアイデア

ここで大切なのは、価格を下げてライバル店に対抗するのではなく、商品の価値を上げることで、差別化を図る発想で考えることだそうです。

たとえば・・・

○ギンギンに冷えたグラスに入れて、「南極あいすこーひー」として売る。差別化を際立たせるために、普通のアイスコーヒーを600円で売る。

○銅のカップで出して高級感を出す。

○デキャンタとグラスを用意して、コーヒーを注ぐ体験を感じてもらう。

などなど。

本には、色々なアイデアの例が載っていますが、この話の最後に、 「お客様を好きになる」「お客様に興味を持つ」ということが書いてありました。

値下げをしたり、おまけをつけたりすることも大切なのでしょうが、まずは、お客さんがどういう人なのか、どういう時にお店を利用してくれているのかを知って、それに合わせたサービスを提供することが大切なのだそうです。

確かに、値下げサービスだと、その値段が安い時期にしか行かないかもしれませんが、お店と自分の間に少し特別な関係ができていると、別に値下げをしていなくったって、そのお店に行こうとするかもしれませんね。

その関係を築くための努力を欠かさない会社、それが安売りしない会社の努力なのです。

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安売りしない会社はどこで努力をしているか?

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エピローグ 利益を出すことから逃げない  「価格」を下げずに、「価値」を上げる  価格競争からどう抜け出すか  「商品」ではなく「会社」のファンをつくる  大企業にできないことを徹底する

エピソード1 「安売り」で起こる10の問題  むやみな「安売り」はなぜいけないのか?   1.売上は出ても利益はでない   2.理不尽なクレームが増える   3.リピーターが減る   4.他店との安売り競争から逃れられなくなる   5.お客さまと価格のことで戦うようになる   6.アイデアのない会社になる   7.組織づくりに時間が割けない   8.仕事が増える   9.協力会社に迷惑をかける   他

エピソード2 あなたは「価値」を打っているか?  価格以外で「お得感」を出す  「より安く」を捨ててみる  タクシーのワンメーターは高いか安いか  業界自体のシフトを考えてみる

エピソード3 あなたは「価値」を打っているか?  プライシングのセオリーを忘れる   1.キャッチコピーのように価格を決める   2.コストに振り回されない   3.「買う前の不安」は取り除けているか?   4.「お客さまをつくる」という営業活動   5.「待たせる」欧米型の戦略   6.プレゼンテーション(見せ方)にこだわる   7.購買意思は誰が決めるのか?   8.値づけの仕組みを変えてみる   9.リブランディングでイメージを刷新する   他

エピソード4 「スタイル」のある会社になる  「見た目のテーマ」を決める  OKとNGのルールを共有する  「らしさ」のリストをつくる  誤植や時代遅れの表記に気をつける  読後感を大切にした「文章」にこだわる  「出るメディア」「組む会社」は慎重に選ぶ

エピソード5 会社自体のファンを増やす  必要なのは、「つかみ」ではなく「深み」  安定した品質はリピート絶対条件  会社の伝説、社長の伝説が口コミを生む  発見されやすくなる「専門」化  ファンは「売った後」のフォローで生まれ変わる  未来の顧客をつくっていく

エピソード6 「スタッフ力」こそ会社の底力  「良い会社」とは、スタッフが辞めない会社  「良いスタッフをそろえる」と「値下げしない」はニアリーイコール  正社員だけがチームじゃない  スタッフのモチベーションを上げる仕組み  新しいヒントは「社会科見学」から  「イケア」的プライシングポリシーをつくる

エピソード7 「ライフスタイルブランド」構築への挑戦  価格を自ら上げられない会社の場合  目指したのは、「ライフスタイルブランド」  大切なのは、「ちょっとだけ自慢できる」こと

エピソード8 「新しい価値を生む」という社会貢献  「より安く」とは逆の方向に歩む勇気  いつも終わりはポジティブに  「ありがとうの数」を数える  「みんなの一分一秒がつまっている」という敬意

 会社訪問時に確認・質問する“5つのこと”  値下げしないための宣言書

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安売りしない会社はどこで努力をしているか?

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