新刊ラジオ第1344回 「それって、大人のADHDかもしれません」
人の話を聞かない、朝起きられない、よく物をなくす。身に覚えのある人はいませんか? それって、もしかしたら「大人のADHD」かもしれません。ADHDとは注意欠陥・多動性障害のこと。なんと、日本人の10%程度が、このADHDなんだそうです。深刻な病気と思わず、「もしかしたら自分もそうかも…」と興味を持って読んで欲しい一冊です。
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日本人の10%が患者(?)大人の発達障害
ADHD(注意欠陥・多動性障害)という病気をご存知ですか? 近年では、日本人の10%程度が患っているという「発達障害」もしくは「行動障害」ですが、次のようなことに当てはまる人は、もしかしたらADHDの疑いがあるかもしれません。
・ 人の話を聞かない(聞けない) ・ 朝起きられない ・ 飽きっぽい ・ よく物をなくす ・ 「空気を読めない」と言われる ・ いつも不安でたまらない ・ 気が散って一つの事に集中できない ・ でも、好きな事にはトコトン熱中できる
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大学教授で精神科医の星野仁彦さんは、「それって、大人のADHDかもしれません」(アスコム/刊)の中で、「ADHD」という発達障害について、医療の知識がない一般人にも分かりやすく解説されています。
ADHDは、知的障害のない「発達障害」の一種です。 (1)不注意 (2)多動性 (3)衝動性の3つの症状が、人によってさまざまなレベルと割合で見られます。
一般的に子どもの病気と思われがちですが、近年では成人した大人にも症状が見られるそうです。自分がADHDであることに気付かないまま大人になり、壁にぶちあたる人がたくさんいるのだそうです。
次のページで、セルフチェックしてみてください。
あなたは大丈夫?? ADHDセルフチェック
ADHDは特徴が分かりやすいので、自分でチェックすることができます。
● 次の20項目を、「しょっちゅうある」「ときどきある」「めったにない」の3つで答えてください。
1.本来の力が出し切れていないと思う 2.行き当たりばったり 3.用事を先送りにする、大事なことが後回しになる 4.あれこれ手をつけて、どれも完成しない 5.頭に浮かんだことをすぐ口に出す 6.新しいものや強い刺激を求める 7.飽きっぽくて、じっとしていられない 8.気が散りやすいのに、いったんハマると寝食を忘れてのめり込む 9.なんでも自己流でやりたがる 10.キレやすくストレスに弱い 11.衝動的、攻撃的 12.小さいことにクヨクヨする 13.ひらめき、直感、創造力には自信がある 14.気分の浮き沈みが激しい 15.気ぜわしい動きを見せる 16.不安感が強い 17.依存、中毒になりやすい 18.劣等感が強く、自尊心が持てない 19.家族・親戚にADHD、うつ状態、依存や中毒、衝動的、気分障害の人がいる 20.人からどう見られているか分かっていない
● 3つに分類できたら、次に以下の要領で計算します。 計算の結果によって、あなたがADHDの疑いがあるかどうか判断できます。
・「しょっちゅうある」………5点 ・「ときどきある」………3点、 ・「めったにない」………1点
50点以上の人は、ADHDの疑いがあります。 75点以上の人は、医学的にはADHDと認められる状態にあります。
もし、困っていることがあれば早めに専門医に相談した方がよいかもしれません。
あの人もADHDだった? 時代を作ってきた偉人たち
ADHDは、発達障害の一種とされています。 発達障害というと、日本ではアスペルガー症候群や、自閉症といったものが有名ではないでしょうか。 彼らは社会性に障害がある一方で、一芸で驚くべき才能を見せるため、“変わり者の天才肌”という見方もされます。
ADHDも然りで、日常生活を送る上では多少の障害にもなりますが、それは悲観するほどのものではないと著者はいいます。 過去、時代を作ってきた偉人や天才たちの中には、ADHDだったと思われる人が多く存在するそうです。
たとえば、坂本龍馬です。 彼は、新しいもの好きで、はまるとトコトンという性格す。 「これからは短刀の時代ぜよ」「これからは拳銃の時代ぜよ」「これからは話合いの時代ぜよ」と、ころころ変わっていますが、結果、うまくいっています。
また、エジソンの自己流でやろうとする精神もADHDの特徴です。 彼は、学校に行かず、毎日実験室にこもって、1万回失敗した末にフィラメントを作りました。
その他にも、ベートーヴェン、リンカーン、『のだめカンタービレ』の登場人物、のだめなど。 ADHDの特徴が見られる人物について、本書の第2章で詳しく紹介されています。
ADHDに周囲の的確なサポートを
著者は本書を通して、「ADHDの人に対して、周囲は的確なサポートをしてほしい」「自分がADHDだと思う人は、悲観せず、個性と思って活かしてほしい」と言います。
まず、周囲にADHDだと思われる人がいる場合。 歴史の偉人たちにみられるように、ADHDの人は周囲の的確なサポートがあれば、自尊心を持って、集中力を維持し、創造力を最大限に活かす事ができます。
一方、自分がADHDだと思う人。 もしかしたら、今まで「キレやすい」「時間を守れない」「物が片付けられない」「飽きっぽい」といった自分の性格を疎ましく思ってきたかもしれません。そういう人は、自分はそういう病気なんだと思って割り切って、得意な分野を伸ばすことを考えた方が、状況は好転するかもしれません。
また、どうしても社会生活を送るのが困難な場合は、専門医の治療を受けることをおすすめします。 ADHDを病気として認定してくれる精神科医もいますので、治療を受けたり、カウンセリングを受けることも可能です。
自分はダメだと思いがちな人、周囲にADHDっぽい人がいる人は、この本を参考にADHDと向き合うきっかけにしてほしいと思います。
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