だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1335回 「明日香出版社創業40周年記念企画」

明日香出版社は今から40年前に誕生した、ビジネス書と語学書の出版社です。累計150万部を突破した「あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール」シリーズや「たったの72パターンでこん なに話せる英会話」シリーズなど、忙しいビジネスパーソンを助ける本を作り続けています!

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矢島が唸った言葉「営々黙々花が咲いても咲かぬでも」

本日は、明日香出版社さんにお邪魔しまして、 代表取締役の石野栄一様と、経営企画室長の落合絵美様に お話を伺っていきたいと思います。

宜しくお願いいたします!

―まずは、明日香出版社創業40周年おめでとうございます! さっそくですが、40年の歴史を石野社長から語っていただけますでしょうか。

石野社長:はい。創業は昭和48年の2月1日ということで、私もまだ生まれていない頃です。私の父が創業して、現在は相談役となっています。 社名の由来ですが、相談役から聞いた話では、当時、高松塚古墳が発見された年ということで、「明日香村」に因んで。また、私の姉に当たる人が、「明日香」という名前だったので、そこから社名の明日香をいただいて立ち上げたと聞いています。

―石野さんは社長になられてから、何年目になりますか?

石野社長:6年目ですね。入社したのは20歳の頃です。非常勤取締役として入社しました。 実際に出勤という形で通うようになったのは、25歳の頃からです。経理部をメインに、営業などを経て、社長業に入りました。

―会社としては40年の歴史があるわけですが、先代と比べて、自分の代のカラーはどのようなものだといったことは感じられますか?

石野社長:さすがに35年近く先代がやってきている会社ですので、今も先代の残された足跡は色濃く残っている会社だと思います。 私の考えとしても、急に何かを変えていこうという考えはないんです。先代が残してくれた会社を「幹」とたとえると、その「幹」を削っていくのではなくて、太くしていきたいと思っています。 もちろん、この5年で少しずつ変わってきたところはありますが、先代のカラーは色濃く残っている会社だと思いますし、みんなの仕事のやり方の中でも、先代の考え方はよく染み付いていると思います。

―先代の石野誠一さんの言葉で、経営理念に「営々黙々花が咲いても咲かぬでも」という言葉がありますね。これにはどのような意味があるのでしょうか。

石野社長:この言葉の意味としては、「努力が報われようと、報われまいと、自分のやるべきことを営々黙々と実行していく」ということを意味して作られていると聞いています。

―なるほど。出版社にとって、「育てる」ということはとても大切なことなのですね。これまで、色々な出版関係者とお会いしてきた中でも、何かを「育てる」という意識が強い方が多いように感じています。

「ピンチは常にあった。本が出せなくなった時もあった」

―40年間の歴史の中で、明日香出版社が大ピンチだったことはありますか?

石野社長:父から聞く話では、「ピンチは常にあった」というところですね(笑) 実は創業して1年で、出版事業としては頓挫しているんです。実質、出版活動ができなくなったということがありました。

創業して、第一冊目に出した『俺の軍歌』という本があります。当時、赤井電機の社長(赤井三郎氏)に書いていただいた本です。 この本はたちまち重版となり、どんどん売れていきました。ただ、父は編集畑で育ってきたものですから、営業のことを知らなかったのです。注文が来たら、その分だけ刷って出荷していました。

しかし、ひと月ふた月が経つうちに異変に気づき、だんだん返品が来はじめ、そこではじめて出版活動がどんなものか分かったそうです。出荷したものがすべて売れたわけではなくて、いったん市場に出たらあとは読者が買わなければ返品されてくることを学んだそうです。 その後、2点目、3点目を出しますが、なかなか売れずに返品で戻ってきて、最終的には本を出せない状態になってしまったのです。 それとは別に、物流会社も作っていまして、そちらは順調でしたので、10年ほど出版を休んでいた時代があったのです

そして10年後に、出版を一緒にやっていた仲間たちが合流して、そこから、今の明日香出版社がはじまったのです。 「第一の創業、第二の創業」と父はいいますが、そういった流れがあります。

―「人に歴史あり」と言いますが、明日香出版社にも、そんな歴史があったのですね。

―今後の、明日香出版社の展望についてお聞かせください。

石野社長:出版業界自体が、15~16年マイナス成長を続け、売上高も2兆円を割ってしまいました。これからの展望といっても、業界がシュリンク(縮小)していく流れは、そう簡単に止まるものではないと思っています。 そんな中で、われわれがやっていくべきことは、「読者に支持される本づくり」です。これをやっていくことによって、今いるメンバーと、その家族が幸せに生活していける会社にしていかなければならないと考えています。 今あることをコツコツと続けていきます。経営理念にあるとおり、「営々黙々花が咲いても咲かぬでも」これに沿って、忠実にやっていこうと考えています。

編集と営業は不仲?明日香出版社の企画力。

―続いては、本作りについて伺っていきたいと思います。 新刊ラジオでもたくさん紹介させて頂いてきた、「ルールシリーズ」ですが、本当に色んなバックグランドの著者さんが書かれていますね。このシリーズについて、テーマ設定や著者探しといった、企画についてお話いただけますか?

石野社長:企画については、企画から著者探しから、すべて編集者に任せています。特に会社から指示することはありません。それぞれの編集者が考えて、著者と企画をマッチさせて、企画会議にもってきます。それを役員の方で見て、決済するという流れですね。

―「ルールシリーズ」はどのように誕生したのでしょうか?

石野社長:今は独立して、クロスメディアパブリッシングの代表をしている小早川さんが、ルールシリーズの第一号を作りました。 当時、彼がこの本を作った理由は、ある一人の後輩男性社員に、「お前のために作った本だ」と言っていました。その後輩の、仕事のできないところを頭に入れながら企画を立てて、世に出したわけです。 それが、『あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール』です。

―「お前のために作った本だ」って、かっこいいですね(笑) 『もしドラ』の著者の岩崎夏海さんに聞いた話ですが、ルイス・キャロルは『不思議の国のアリス』は、隣に住むアリスちゃんのために書いたそうですね。岩崎さんも、AKB48のあるメンバーのために『もしドラ』書いたそうです。 そういう意味では、誰か特定の個人を狙って書くということは、意外と世間にもウケるのかもしれませんね。

―出版社にとっての編集者は権限を持っているとよく聞きますが、明日香出版社においての編集とはどのようなチームですか?

石野社長:よく出版社では、営業と編集は仲が悪いと聞くことがありますが、明日香出版社では、営業と編集は同じフロアにあります。私が社長になったとき、フロアが分かれていた部を、ひとつにまとめました。窮屈になってしまいましたが、その分、コミュニケーションや、連携はよくなったように思います。 その中での編集の位置づけとしては、営業も編集も同じような扱いになっていますね。どちらかが偉いというわけではなく、制作・販売が、とても良い形で連携していると思います。

―経営企画室では、どのような業務を担っていらっしゃるのでしょうか?

落合さん:社長の秘書的な業務から、経営に関わるような取り組みをしています。最近では、インターネット関連などの新しい取り組みをするときに、先行を切って調べたり、チャレンジしたり、という立ち位置となっています。

―新しい取り組みのひとつとして、書店や空港などで、新刊ラジオの音源を流して頂いたりしましたね。

落合さん:そうですね。書店においては、ポップも宣伝にはなるのですが、忙しいビジネスマンの方は、ポップをじっくり読んでいられない方も多いので、「音」というメディアを活用することで、目を引くことができるんです。 「書店なのに誰かがしゃべっているな」と、つられてそちらにいくと、うちの本が置いてあるわけですね。実際に、数字としても良い効果が現れています。

―それは嬉しいことです!(笑)

ふたり同時に、せ〜の!答えて「イエス or ノー」

石野社長と、落合さん(経営企画室長)が、矢島の質問に、「せ〜の!」で、同時に答えるコーナーです! 質問は以下の4問です。

1.明日香出版社の本が、どこの出版社の本よりも優れていると思う! 2.実は、「○○○○○○」と思いながら本を出しちゃったことがある。 3.実は、「○○○○○○」への進出を密かに目論んでいる。 4.私には、出版業界への未来への、明るい展望が見える!

お二人の自社に対する評価は? これからの出版業界の展望は? ベストセラー編集者を育てるための石野社長の方針とは? とっても気になる話題が、次々と飛び出しました。

これからの展望においては、紙の本を大切にする一方で、日々新しい試みにも積極的に挑戦する明日香出版社らしい「さすが」と思う、力強いメッセージをいただきました。

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