だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1328回 「怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話(11)」

役立つ初期仏教法話シリーズ。今回は、「生命と自我のしくみを解き明かし、ブッダが教える、怒りを克服する人生論」です。なぜ人は怒ってしまうのだろう。「怒る」という行為が人生に及ぼす影響とは?生命の根源にあるもの・・・それは「怒り」。「怒り」そのものを解き明かし、その克服法を教えてくれる一冊です。怒ってばかりいては決して幸せにはなれませんよ。ドキッとした人、たくさんいるはずです。

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怒った後のモヤモヤ感をなくす

最近、怒ったことはなんですか? それは、自分の意思によるものですか?それとも、我慢できずに爆発してしまった怒りですか? 「怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話11」は、仏教の教えを通して、怒りへの対処法や、自分や相手が苦しまなくていい、幸せの道へ導いてくれる本です。

● 著者に付いて アルボムッレ・スマナサーラさんは、スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老。 1945年、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニア大学で仏教哲学の教鞭をとっています。1980年に来日。駒沢大学大学院博士課程を経て、現在は、宗教法人日本テーラワーダ仏教教会で、初期仏教の伝道と瞑想指導に従事しています。 以前、新刊ラジオで「ブッダの集中力 役立つ初期仏教法話」をご紹介しました。仏教からみた“集中力”によって、こころを成長させる内容でした。

● この本のテーマ 今回の本のテーマは、「怒り」。 仏教での「怒り」に対する考え方、教えがとてもよく分かる本です。

人間、我慢しようと思っていても、ついつい怒ってしまいますよね。みなさんは怒ったあと、どんな気持ちになりますか? 「怒ってスッキリした」「怒って楽しい気分になった」ということは少ないのではないでしょうか。 たとえ、相手や物事が間違っていたり、悪かったから怒ったのだとしても、怒ってしまった後は気分が悪くなるものですよね。 だったら、「怒らない」ことを心がけてみませんか??というのが、本書のメッセージです。

怒りのメカニズム

仏教では、嫉妬、物惜しみ、後悔、軽視など十種類の感情も、怒りの姿を変えたものだといいます。本文の一部を抜粋します。

「怒らないこと。それは人生を幸せに生きるために欠かせない、大切な心構えです。しかし、「怒ることは悪い。だから怒らないようにしよう」と頭ではわかっていても、実際はそうはなりません。「怒る」ということは、そうとうに根深い問題なのです。 「怒らないこと」というのは、実は人が生涯をかけるにふさわしい、人生の目標とするに値するテーマなのだということです。怒らないということは、とても勇気のいることです。だらしのない人格には到底無理なことです。心を成長させるということなのです。その道のりを一歩一歩、階段を上がるように実践していくなら、人生は間違いなく幸せになります。 せっかく人として生まれて生きているのですから、「幸せになる」という、とても大きな仕事をやりきってみてはいかがでしょう」

「生きる」「生命」とはなにか?

本書では、まず「怒り」のメカニズムを紹介して、そして、「生きる」とは?「生命」とは?と、問いかけてきます。また、「欲」が、「怒り」の別バージョンであることや、人が「怒り」で駄目になってしまうことなど、ショッキングな内容も組み込まれています。

「怒り」ってなんなんだろう?「怒る」とどうなってしまうんだろう?「怒り」の怖さなど。読み進めていくうちに、「怒る」ことは自分にとってどのようなことをもたらしてしむのかが分かってきます。

なぜ、人は「怒って」しまうのでしょうか。 アルボムッレ・スマナサーラさんは、「「怒り」の根源は、「無常」。ブッダのもっとも根源的な発見が「無常」。そしてその、「無常」こそが「怒り」の原因である」と言います。そして、こう続きます。

「無常の本当の定義は、「ものごとは瞬間、瞬間で変化し、消滅していく」ということです。自分も世界も、けっして一瞬たりとも同じではありません。無常とは、一切ものごとの真理です。私であろうが、他人であろうが、環境であろうが、世界であろうが、宇宙であろうが、すべて無常です。つまり、変わり続けているのです。そして、この「変わり続けている」ということが、怒りを生む原因なのです。一切のものごとは無常であり、「無常が怒りの起源だ」とすると、一切が怒りに通じているように聞こえるかもしれません。しかし、その通りなのです。はっきり言ってしまえば、実は、生命は基本的に怒りの衝動で生きています。 怒りの衝動で生きるということは、悪いとか良いとかいえることではなく、われわれの生命はそういう構成になっているのです」

「怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話11」では、怒りをもたずに生きることに挑戦することを、提唱しています。それは「怒らないことは人生目標にふさわしい大仕事」であることを意味しています。

「怒りの対処法」のひとつに、「怒りの繁殖を抑える」 というものがあります。 これは、とにかく怒りに気づいたら早く消すことです。とにかく怒りが繁殖しないようストップさせるのです。怒っていると、どんどん怒りが膨張していくからです。

本書は、「怒り」をテーマに、アルボムッレ・スマナサーラさんが、「幸せの道」へと導いてくれる本です。仏教の生き方が随所に織り込みながら、「幸せ」「人生」「成功」「慈悲」といったものを考えるきっかけをつくってくれます。

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怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話11

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