新刊ラジオ第1320回 「フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)」
今や世界中で5億人ものユーザーを抱えるまでに成長したSNS「フェイスブック」。その成功に至るまでの挑戦と苦悩の歴史とは?フェイスブック創始者であり、若き天才CEOマーク・ザッカーバーグ氏の人物像に迫り、巨大SNSの真実が初めて明らかになる一冊です。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
世界に広がるソーシャル・ネットワーク・サービス
SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)使ってますか? 日本でも、mixiやTwitter、GREEをはじめとして、色んな切り口のSNSが提供されています。その中でも、群を抜く勢いでユーザー数を増やしている「フェイスブック」は、世界中に5億人ものユーザー数を抱えています。 今回紹介する本は、「フェイスブック」生みの親にまつわるドキュメンタリーです。
● 著者について デビッド・カークパトリックさんは、「フォーブス」や「フォーチュン」で、IT・テクノロジー分野の専門記者として活躍され、現在は外交問題評議会のメンバーとしても幅広く活躍されている方です。
今回紹介する「フェイスブック 若き天才の野望」は、フェイスブックの創始者マーク・ザッカーバーグ氏と仲間たちの挑戦や成功、苦悩を描いたノンフィクション作品です。 同じく、フェイスブックをテーマにした「ソーシャルネットワーク」という映画も、1/15に封切りされます。ゴールデングローブ賞にノミネートされるなど、こちらも注目されています。
● フェイスブックをめぐる物語 今や世界で五億人以上のユーザーを抱えるSNS「フェイスブック」のルーツは、ザッカーバーグ氏が学生の頃に大学で流行らせた、あるゲームで使ったシステムが元となっています。それを仲間の学生たちと発展・改良し、誰にでも使える「コミュニケーションツール」へと完成させたのがフェイスブックなのです。 リリース後も成長を続け、今やあのGooelをも脅かす存在になったフェイスブックですが、そこに至るまで仲間との別れや裏切り、マイクロソフトやヤフーといった大企業からの買収危機などに直面してきました。 物語は、若き創設者たちが苦悩と挑戦を繰り返しながら、自分たちの描いた理想のためフェイスブックを育てていくというストーリーです。
「フェイスブック」生みの親、素顔は変人?!
フェイスブックの産みの親、ザッカーバーグ氏について書かれた一文を抜粋して紹介しましょう。
●「小柄でスリムな体つきで、カールした茶色の髪にそばかすが目立つマーク・ザッカーバーグは、いつも何かに集中した内向的な雰囲気を漂わせている。当時、彼は19歳だったが、一見15歳にしか見えなかった。だぶだぶのジーンズにTシャツが彼の制服で、冬でもゴムのサンダルを履いていた」
●「彼は見知らぬ人々の間ではひどく物静かに見えたが、それは上っ面だった。ひとたび口を開くと強烈な皮肉が飛び出すのだ。 彼は相手が言いたいことを言い終わるまで黙って待つ。相手が喋っている間、彼は相手を見つめたまま一言も口を利かない。相手が意味のあることを言った場合にのみ口を開き、自分の考えを述べ始める」
●「女性たちは彼のいたずらっぽい笑顔に魅了された。女性は彼のユーモア、自信、不遜さに惹かれるようだった。 彼はいつも『自分のやっていることは自分でよく分かっているぜ』とでも言いたげな満足そうな笑みを浮かべていた。そして身の回りには『僕がなにをやろうと最後には必ずうまくいく』というような雰囲気を漂わせていた。実際、彼はそれまで何もかもうまくやってきたのだ」
本書にはさらに詳しく書かれていますが、この一文だけでも、ただ者ではない感じが漂ってきます。 続いて、この頃大ヒットさせた「フェイスブック」の原型となったサービスについてご紹介しましょう。
フェイスブックの原型となった“ゲーム”?
フェイスブックには、原型となったある“ゲーム”がありました。本書では、このように触れられています。
●「コースマッチの成功で大胆さを増したザッカーバーグは、さらに自分のアイデアを試してみるべく、「フェイスマッシュ」というサービスをリリースした。 このサービスの目的は簡単だ。キャンパスで誰が一番「ホット」な人間かを決めるというものだ。チェスプレイヤーのランクを決めるコンピュータプログラムを利用して2人の 同性の人物のどちらがよりホットかを、ユーザーが投票出来る様にしたサービスであ る。ホットだと判断されると、さらにホットな人物との対決が用意されるアルゴリズムになっていた」
●「フェイスマッシュのサイトで利用した写真は、学生がオリエンテーションに出た際に撮影されたもので、殆どの学生が忘れたいと思っているひどく写りの悪い写真だった。ザッカーバーグは様々な悪巧みを用いて、12の寮のすべてから写真のデジタル情報を入手した」
●「サイトのホームページには、『我々がハーバードに入れたのは美男美女だからだろうか?』と大きく書かれていた。『その答えはもちろんノーだ。しかしイエス、これからは我々同士で判断できる』。 ザッカーバーグは何人かの友達にサイトのアドレスをメールした。彼は後に『テストしてもらって意見を聞きたかっただけだ』と説明した。しかし、ユーザーがひとたびサイトを使い始めると、トラフィックは止めようがなかった。彼のベータテスターたちは、次々に友達にサイトのことを知らせた。フェイスマッシュは即座に密かな大ブームを巻き起こした」
――これが「フェイスブック」の元となったサービス「フェイスマッシュ」が生まれた瞬間でした。このサービスはアッという間に学内に広がり、サイト終了後に立ち上げたフェイスブックはさらに大ヒットしユーザーは爆発的に増えていきました。 ここからフェイスブックの成功と苦悩の歴史が始まっていくのです。
印象的なのは、ザッカーバーグ氏の「自分たちの会社はガスや水道と同様の公益事業である」「自分は会社経営をしたいのではなく、世界と人の繋がりをもっと自由に広げたいだけ」という姿勢です。 始めからビジネスのためでやっていたら、あっさり買収され、ここまで成長しなかったかもしれません。「純粋なコミュニケーション拡大ツールを作りたい」という夢はどのようにして実現されてきたのでしょうか? その成長の足跡は本書で確かめてみてください。
フェイスブック 若き天才の野望
天才たちの野望はどこまで行くのでしょう・・・ |