新刊ラジオ第1280回 「逃げる中高年、欲望のない若者たち」
なぜ、若者の○○離れは収まらないのでしょうか?それは、若者の欲望が退化しているからなのかもしれません。本書は、作家・村上龍が、“欲望の退化”をテーマに、“現代社会の素顔”を書いたエッセイです。中高年層と若者と接する中で感じた違和感を、明快に書き著した文章が面白く、すっきりとした読後感が得られます。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
村上龍の挑発エッセイ!
● 著者について 村上龍さんは、日本の作家。武蔵野美術大学在学中の1976年、『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞及び、芥川龍之介賞を受賞。ヒッピー文化の影響を強く受けた作家として村上春樹さんとともに時代を代表する作家として注目されました。 ベストセラーとなった『13歳のハローワーク』『半島を出よ』の著者、『カンブリア宮殿』(テレビ東京)のホスト役、最近では電子書籍の会社設立でも話題になっています。
● この本のテーマは?! 本書は、“欲望”をキーワードに、“現代人の素顔”に迫る、村上龍さんのエッセイです。 基本的には、バブル期に青春時代を生きた中高年と、現代の若者を比較して論ずるといった書き方をしていますが、テーマによっては村上龍さんらしい(とでもいいましょうか・・)、断罪的でウィットに富んだ文章になっていて、それがまた痛快で、読んでいてとても面白いです。
題材は多岐に渡り、マスメディア、政治、経済、若者、中高年、格差、音楽、映画、スポーツ、サッカー、うつ、自殺、フリーター、雇用問題などなど。村上さんのアンテナがキャッチした様々なシチュエーションにおいて、現代の素顔を切り取っています。 とりわけ、若者や、中高年と接する中で気になるギャップや、違和感について書いているところなんかが面白かったです。
でも、今の若者はこれこれこうだから→ダメだ。 ・・・という構図ではもちろんなくて。 今の若者は、こんな幼少期を過ごし、昔と比べて変わったものは何で、逆になくなってしまったものはこんなもので〜 →だから、こうなっている。 という、分析を通して、若者の素顔に迫っています。そして挑発しつつ突き放しているところが面白い。
エッセイの魅力のひとつでもありますが、世代によって色んな感じ方ができる一冊になっています。
今回の新刊ラジオでは、アラサー世代の矢島・石橋が、エッセイについて激論を交わしています。
逃げる中高年、欲望のない若者たち |