新刊ラジオ第1278回 「読解力の基本」
「読むこと」が楽しくなる!「読み方」の基礎と裏技までを伝授。「主語・述語の対応」「敬語の知識」「順接と逆接」といった日本語の基礎から、ビジネス文書・新聞雑誌等の報道文・小説・法律文書・研究論文などの多種多様な文書の「読み方」のポイントをわかりやすい文章とユーモラスな例文で解説した、面白く、且つ、ためになる一冊。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
この文章、どこが変かわかる?
「私が彼女を愛した理由は、彼女は美人だ」
感覚としておかしいのはわかると思いますが、誤りを文法的に指摘することはできますか?
●著者について 速越陽介さんは、出版社勤務、大学でのティーチング・アシスタントなどを経て、現在、ライター、高校講師(国語)、日本文学研究者。研究者としては、昭和初期の文学を中心に多数の論文を発表している文章のエキスパートです。
●この本のテーマは?
文章を“読解する”ことを解説する
本書は、「書く・話す」というメッセージを“発信する”側の技術ではなく、「読む・聞く」という、メッセージを受け取る技術を解説する内容です。
「私が彼女を愛した理由は、彼女は美人だ」
この文章の問題点は、主語と述語の関係がおかしいというところにあります。 国語学者の大野晋教授によれば、日本語の基本的な型は、「AはBである」 か 「AはBする」 の2つしかないんだそうです。どんなに難解な文章でも、突き詰めると、この2つに集約されるのです。
主語とは「Aは」の部分。述語は「Bである」「Bする」の部分です。 それを踏まえて例文をもう一度考えてみましょう。
私が彼女を愛した理由は、彼女は美人だ
この場合「述語」、Bに相当するのは「美人だ」です。この述語に対応した「主語」は、「彼女は」になります。しかし「私が彼女を愛した理由は」に対応する述語がないのです。
つまり解答は、「理由」という主語に対し、その「『理由』とは何なのか」を示す述語「○○だ」がないということになります。日本語は主語を省略するということはありますが、述語を省略することはありえないのですね。
この基礎が理解できていると、どんなに長い文章でも、何が「主語」で何が「述語」かを把握できるので、きっちり内容を理解することができるのです。仕事の書類などでも、意図をきちんと理解できるでしょうし、逆に不明な部分をしっかり指摘できるというわけです。
今日の新刊ラジオでは、 ・尊敬語と謙譲語の違いを、座布団と土下座にたとえて紹介 ・日本語の本なのに、なぜか英語がでてくる著者のユーモアセンス
などについて話しています。
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