新刊ラジオ第1261回 「アイデアの接着剤」
「いいアイデアがでない」「発想がとぼしい」こんな風に悩んでいる人がいたら、まず知識を呼び込むことからはじめてみてはいかがでしょうか?アイデアのかけらを拾い集めることで、発想の幅はぐんぐん広がっていきます。NTTドコモ「iD」などを手がけた話題のアートディレクターが“組み合わせ”でアイデアを作りだす発想法を伝授します!
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
ヒットメーカーの頭の中は?
☆音声ですぐに聴くなら・・「新刊ラジオショート3分版」 3分でわかる『アイデアの接着剤』(再生)
● 著者について グッドデザインカンパニー代表。ブランド作りの根本から、ロゴ、パッケージ、店舗デザインまで、トータルにディレクションを行うアートディレクターです。主な仕事に、NTTドコモの「iD」や、東京ミッドタウン、ルミネ、アディダス、ユニクロの「UT」、農林水産省といったデザインのディレクションを行っています。
● この本のテーマは?! 「ちいさなアイデアのかけらを集めて、画期的なアイデアを作る発想法」
この本は、水野学さんが、“アイデアの広げ方”について語った本です。 アイデアをぽんぽん出すには、頭の回転の速さや、ひらめきも重要なのかもしれませんが、そういった単なる思いつきではなくて、継続的にアイデアを出し続けるためには、いくつかコツがあります。この本では、アイデアを広げるためのコツや、習慣、考え方といった方法論を紹介しています。
そのひとつのコツが、“アイデアのかけら”を集めて形にするということです。 水野さんは、「アイデアを生み出したことは、一度たりともない」と言っています。そして、「これから先も、“アイデアを生む”ことはない」とも言っています。
水野さんが実践している、発想の広げ方は、まず自分自身の中に情報や経験をため込み、そのため込んだ“アイデアのかけら”を組み合わせて、発想を広げていくという方法です。
ゼロからアイデアを生み出そうとすると大変ですが、知識の集積や、組み合わせでアイデアを作っていく方法なら、一度やり方さえマスターしてしまえば、面白いように出せるようになっていきます。
そのためには、まずは世の中に散らばっているたくさんの出来事や、情報や、経験の中から、ちょっとしたアイデアのかけらを拾い集めて自分の中にストックしていくことが大切です。そのストックの中から、直面している問題にぴったり合うかけらを組み合わせてみたり、ときには違和感のあるものを組み合わせてみることで、化学変化が起こって、まったく新しいアイデアが生まれてきたりするのです。
そうしていくことで、発想の幅はぐんぐんと広がっていきます。
次のページでは、水野さんがいつも意識しているという、アイデアのかけらをブレイクダウンするコツを紹介します。
知識の結合をイノベーションにつなげる
水野さんは、子どもと一緒にぼんやりテレビを見ているときに、「あ、これだ!」とつぶやいてラフを描きはじめたり、打合せに行くためにスタッフと一緒に歩いていて、「あの本のカバーデザイン、これがいいよね」と、一本の木を指差したりするそうです。
周りの人は、そんな水野さんの姿を見て、「水野は突然ひらめくタイプの人間だ」と思っているそうです。しかし、実は水野さんは突然ひらめいているわけではなくて、普段から、膨大な量のアイデアのかけらを拾い集めているだけなんだそうです。
頭の中には、「A社の新製品の広告」とか、「B出版の本の装丁」といった、考えるべきテーマを、頭の片隅に置きながら生活しているので、見るもの、聞くもの、体験するものの中から、テーマにぴたっとはまる“アイデアのかけら”をひろいやすいそうなんです。 「ひらめく」のではなくて、「見つけ出す」のほうがしっくりくるかもしれません。見つけ出したアイデアのかけらとかけらを接着することで、発想が広がったり、新しいアイデアが生まれてきたりする、すなわちイノベーションが起こるということなんだそうです。
自分が「何かをやろう」と思っていることや、考えるべきテーマを、常に頭の中に入れておくことで、日常生活も “アイデアのかけら”が次々と見つかる、刺激的なものになるというわけなのです。
アイデアの接着剤
ヒットメーカーの頭の中がわかりました。 |