だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1250回 「マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか?」

マルコム・グラッドウェル傑作選1「ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”」、傑作選2「失敗の技術 人生が思惑通りにいかない理由」に次ぐ、第三弾は、心理学、統計学、社会学とあらゆるデータを駆使して“直感の本質”に迫る一冊。就職面接に強い学生は何が違う?将来成功しそうな人物はどこでわかる?などなどグラッドウェル・ワールド全開です。

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採用担当者は“2秒”でどこを見る?

● 著者について マルコム・グラッドウェル 1963年イギリス生まれ。カナダ・トロント大学、トリニティカレッジ卒。「ワシントン・ポスト」紙のビジネス・サイエンス担当記者を経て、現在は雑誌「ニューヨーカー」のスタッフライターとして活躍中。 これまでの著書はいずれも世界で200万部の大ベストセラーになっています。いま世界でもっとも人気のあるコラムニスト。

翻訳をしているのは、経済評論家の勝間和代さんです。

今回の本は、マルコム・グラッドウェル傑作選の第三弾です。 第一弾「ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”」では、TVショッピングにヘアカラー広告、犬の調教といった、アイデアと先見性とで未来の世界を大きく変えた、小さな業界の天才たちの物語でした。

第二弾「失敗の技術 人生が思惑通りにいかない理由」では、問題や課題を解決しようとしてもなかなかうまくいかないのは、問題解決のためのセオリーや前提が間違っているからではないだろうか? というところから始まっていくコラム集でした。

今回の第三弾「採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか?」には、6つの作品が収録されています。

・大器晩成、天才は果たして早咲きの花なのか? ・成功しそうな人、誰がこの仕事に向いているのか分からないときの雇い方は? ・危険なプロファイリング、犯罪者分析は容易につくられる? ・“才能”という神話、優秀な人材は常に過大評価されるのは何故か? ・採用は2秒で決まる、面接で本当にわかることっていったい? ・トラブルメーカー、犯罪を知ると何がわかるのか?

どれも興味深く、読みやすいのであっという間に読み終わってしまいます。

“大器晩成”になるための条件とは何か

「大器晩成 天才=早咲きの花か?」の章には、こんなコラムが書かれています。

世間一般の考えによると、「天才」は「早熟」であって、真に創造的なことを為すためには、みずみずしさやあふれ出るエネルギーが必要だと考えがち。例えば、オーソン・ウェルズが『市民ケーン』を監督・主演したのが25歳。ハーマン・メルヴィルが『白鯨』を完成させたのが32歳。モーツアルトがピアノ協奏曲第九番変ホ長調『ジュノーム』を書きあげたのが21歳。では、その真意のほどはいかに……。

このようにシカゴ大学の経済学者、デイヴィッド・ギャレンソンが数年前に調べた“若さの神話の真偽”を取り上げて、具体的に説明しながら本文は進んでいきます。中でも天才と呼ばれていたパブロ・ピカソと、人生の後半に才能が開花したポール・セザンヌの話しが面白いです。

この2人の違いを比べながら、“大器晩成”になるための条件とは何かを探っていきます。

『ピカソは鮮烈な輝きを放った早熟の天才だ。本格的な画家としてのキャリアのはじまりを告げる“招魂(しょうこん)・カサヘマスの埋葬”』は20歳のときに描かれ、時をおかずしてピカソは代表作を次々と完成させた。 “アヴィニョンの娘たち”は26歳のときの作品である。

ピカソは、私たちが考える天才のイメージにぴったり一致する。 だが、セザンヌは違う。

パリのオルセー美術館・・・・・・ セザンヌの作品の世界で最も優れたコレクションを誇る・・・・・ のセザンヌルームに行って数々の傑作の脇にある小さな札を見れば、それらが人生の後半に描かれたものだとわかるだろう。

ギャレンソンは簡単な経済分析を行った。つまり、オークションでピカソとセザンヌの作品に支払われた金額を、ふたりがそれらを描いた年代によって一覧表にしたのだ。

ピカソの場合、二〇代半ばに描いた絵は平均して一点につき、六〇代に描いた絵の四倍の値がつけられていた。 セザンヌは反対だった。 六〇代半ばに描いた画は、若いころに描いた画の一五倍もの値がつけられていたのだ。みずみずしさやあふれ出るエネルギーは、セザンヌには意味がなかった』

この他にも、成功しそうな人を確実に見つけ出すことはできるのだろうか? 危険なプロファイリングにからくりがあったとすれば・・? “才能”を信じてしまっていいのだろか? 就職面接で受かる人は何社でも受かる。落ちる人は・・・。この違いはどこからくるのだろうか?

などといった身近で興味津々なコラムばかりです。

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マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか?

マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか?

マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか?

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