だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1248回 「覚悟! 陽気な突破者 渡辺喜美」

みんなの党代表、渡辺喜美氏について書かれた一冊。同氏の生立ちから、政界進出、離党・結党に至るまでを、渡辺氏及び周囲の人々から取材した内容を元に書き記しています。著者である大下氏は、渡辺喜美の父・美智雄氏の半生記を執筆した事もある作家で、美智雄氏と喜美氏の共通点や違いの考察も興味深い一冊です。

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渡辺美智雄、渡辺喜美の人物伝

● 著者について 大下英治(おおした・えいじ)さんは、とりわけ著名人・政治家の人物伝に定評がある作家です。1944年広島生まれ。広島大学文学部卒業後、1970年、週刊文春の記者。記者時代に『小説電通』を発表し、作家としてデビュー。1983年に週刊文春から独立し、作家として政財界から経済・芸能・犯罪まで幅広いジャンルで活動を続けています。

● この本のテーマは?! 渡辺美智雄、渡辺喜美の人物伝

全8章立てで、最初の2〜3割が父である渡辺美智雄が現役だった頃のエピソード。氏が活躍した時代の政治や、幼少期・思春期・青年期の渡辺喜美について書かれています。

渡辺喜美が、父・美智雄から受けた言葉

大学を卒業してしばらくしてから、渡辺喜美は父・美智雄の秘書となり、父親から多くの薫陶を受けます。

「電話の応対の仕方」から始まり、 「人を見た目で判断しないこと」 「秘書とは人生の登竜門であり、毎日試験を受けているようなもの、人様から点数を付けられている」 など。

また、渡辺美智雄は息子と同様に他の秘書や、後輩にあたる政治家にも色々な言葉を残しています。

「上見て働け、下見て暮らせ」 「道は近きにあり(孟子)」 「派閥の前に党がある、党の前には国家国民がある」 「騙しても、騙されてもいけない」 「結婚式の祝辞でも、学校の講演でも、誰が相手でも印象に残る話を工夫するように」 など。

このように、渡辺美智雄は、政治家としてだけでなく、むしろ、人間としてあるべき姿を、息子を含む、後進の政治家達に教えてきました。

政治家としての原点、父との共通点

渡辺美智雄・喜美親子は、政治家としての共通点・違いはどのようなところにあったのでしょうか。 まず相違点は、美智雄は失言が多かったということです。一方、そんな父を反面教師にしてか、喜美は失言がほとんどありません。 また、美智雄は、時代もあってか、70人を超す子分達にお金を配る事がありましたが、喜美は、お金にクリーンであることを貫いています。

似ているところは、2人とも情が深い性格であるということです。美智雄は、多くの後進を育成したり、礼儀に反することをしないよう、自身にも側近にも常に言い聞かせていました。 喜美も、今現在「みんなの党」に人が集まってきており、党の公認候補選びにも寛容なところがあります。

本を読んでいると、2人の共通点や相違点が見えます。時代や、親子の世代を通して政治の世界に触れられるのも魅力の一つです。

前半の見どころは、渡辺喜美の政治家としての原点となった父・美智雄の存在や、自民党内での苦労話です。また、後半の見どころは、「みんなの党」の設立の経緯や、選挙の裏側のエピソードです。

今後、キャスティングボートを握る可能性のある「みんなの党」、その代表・渡辺喜美について知ってみてはいかがでしょうか。

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覚悟! 陽気な突破者 渡辺喜美

覚悟! 陽気な突破者 渡辺喜美

覚悟! 陽気な突破者 渡辺喜美

みんなの党代表、渡辺喜美氏について書かれた一冊。同氏の生立ちから、政界進出、離党・結党に至るまでを、渡辺氏及び周囲の人々から取材した内容を元に書き記しています。著者である大下氏は、渡辺喜美の父・美智雄氏の半生記を執筆した事もある作家で、美智雄氏と喜美氏の共通点や違いの考察も興味深い一冊です。