新刊ラジオ第1212回 「話が通じない人とも話せる傾聴力」
あなたは相手の言葉が理解できていますか?そして相手にその理解を伝えられていますか?お互いに気持ちがちゃんと伝わらないと、会話も関係もギクシャクします。掛け違えたボタンをつくらずに、心地よい会話を楽しむために10万部のベストセラー『雑談力』の著者が書く、「聴くこと」に注目した会話術を解説した一冊です。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
話しを聴く力がある人の会話とは?
「聞く」と「聴く」を辞書でひくと微妙に意味が違います。 「聞く」は、音・声を耳に受ける、耳に感じ取るの意味。 「聴く」は、注意して耳にとめるの意味。 つまり、後者の「聴く」のほうが、より意識的・能動的ということです。
今回紹介する本は、「聴く」ことに焦点を当てた会話術の本です。
● 著者について 武藤清栄(むとう・せいえい)さんは、東京メンタルヘルス所長。カウンセラー。シニア心理相談員・臨床心理士。前著の『雑談力』が10万部のベストセラーになり、著者としても成功されている方です。
● この本のテーマは!? 自己表現や自己主張ができるようになるために、相手の話をしっかりと聴く力を作る
武藤さんの主張で特徴的なのは、相手の言葉にだけに耳を傾けるのではなく、自分の言いたいこと・自分の本音にも耳を傾けることが大切だという点です。
相手の話を聴き、相手の着目しているポイントや主張を理解した上で、どうすれば自分の言いたいことが正確に伝えられて、理解してもらえるか? 自分が話しているときにも、これは相手にとって聴きやすいか? といった、「聴く」「話す」というコミュニケーションの基本について、会話の実例を挟みながら解説しています。
次のページでは、あなたも知らないうちにやっているかも? 話しを聞くときの8つのタブーを紹介します。
話しを聞くときの8つのタブー
話を聴く際は、あくまでも相手が主役だということを忘れてはいけません。自分の知りたいことを聞くのではなく、相手が話したいことを聴くのが大切だと、武藤さんは言います。 では実際、どういう聴き方がタブーになるのでしょうか?
タブー1 「興味本位で質問しない」
A はぁ…。最近、彼女と上手くいってないんだよね。 B 彼女さん、何してる人だっけ? A 外資系の会社の事務だけど。 B おー、すごいじゃん。給料とかいいんだろ? A 別に。普通だよ。 B どこで知り合ったの? A ……大学の同級生だけど。
「興味本位で質問しない」という第1のタブーです。 この場合、聞き手の男性は彼女の「職業」や「属性」に関心が向いてしまっています。しかし、話を切り出した男性は、悩みを聞いて欲しかったはずです。
このように「自分の興味本位」で次々と質問してしまうと、相手は話したい内容を切り出すタイミングを逸してしまいます。相手の話を「聴く」ときには、自分が知りたいことを聞くのではなく、相手が話したいことを引き出すのがコツです。
A 最近、彼女と上手くいってないんだよね。 B うまくいってないの? A うん。お互い忙しくてさ。会う時間がなくて。 B 忙しくて会えないんだ。 A でさ、彼女に好きな男が出来たんじゃないかって思うんだよ。 B なんでそう思うんだよ? A それがさぁ――。
これなら、相手も話しやすいですよね。
「これだけはやってはいけない。話を聴くときの8つのタブー」 残りの7つは以下です。 ・ 「イライラした様子を見せない」 ・ 「目を見つめすぎない」 ・ 「責めない・非難しない・決めつけない」 ・ 「結論を急がない」 ・ 「いきなりアドバイスしない」 ・ 「安易に同情したり、感情的になったりしない」 ・ 「すぐに自分の体験話をしない」
思いあたるものがあった方は注意して下さい。
次のページでは、開いての話しをじっくり聞く3つの心得を紹介します。
相手の話をじっくり聴く3つの心得
心得その1 「相手の話をさえぎらずに聴く」
好きな人ならどんな話でも「うんうん」と受け止められるものですし、嫌われたくないと思えば一生懸命になって聴きますよね? でも、関係に距離がなくなったり、本音で言い合える関係になると、ついアドバイスや、質問、反論など口を挟みたくなってしまいます。 しかし、ここであなた自身の価値判断はとりあえず脇におきましょう。そのままを受け止めることを、「受容的態度」といいます。まずはこれを身につけましょう。
心得その2 「あなたの立場は理解できる」という気持ちで聴く」
「あなたの話が聴きたい」と真剣に思えば、その気持ちは表情や態度にも表れます。相手に肯定的な関心を持って聴く、前述の「受容的態度」をさらに、「私はあなたの立場に立って聴いていますよ」「あなたの話をもっと聴きたいですよ」という態度にしていきます。これが「支持」です。こうなると、双方にもっと強い信頼関係が生まれます。
心得その3 「相手の感情を疑似体験するように聴く」
これは「支持」と連動するものです。相手の不安や悲しみ、葛藤といったネガティブな感情を受け止めようとすると、思わず居た堪れなくなって、話しを明るい方向に持っていこうとしたり、逆に相手を責めてしまいがちになってしまいます。しかし、武藤さんは、「聴く力がある人は、ここで勝負をする」といいます。
相手に起こったことが自分にも起こったらと想像し、相手の気持ちを疑似体験するように味わおうとします。これを「共感的理解」いいます。こうすることによって、相手は自分の立場や感情に共感してもらえたと感じて、安らぎを覚えます。話の内容によっては共感しようとしても理解できないこともありますが、その場合はわからないことを認めつつ、それを表明し、相手を理解したいという旨を伝えればいいのです。
話が通じない人とも話せる傾聴力」
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