「保険代理店大淘汰時代」勝ち抜くマネジメントはこれだ!
人材が続々集まる、メキメキ育つ! スゴい保険代理店経営

人材が続々集まる、メキメキ育つ!
スゴい保険代理店経営

著者:稲葉 晴一
出版:パノラボ
価格:1,760円(税込)

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本書の解説

人材確保や社員の定着率の改善はどの会社にとっても課題であり、会社の未来にかかわる重要なテーマである。

それは保険業界も例外ではない。もともと、「売れば売っただけ稼げる」という成果報酬型が根づいている保険業界は、必然的に少数の「勝者」と多数の「敗者」を生む。そのため「3年離職率が8割」と、社員定着率の低い業界だった。結果として、多くの保険代理店が人手不足にあえいでいる。

「とにかく稼ぎたい人」が減った日本で保険営業は魅力的な仕事なのか?

この成果報酬型こそが保険業界自体の首を絞めている、とするのが『人材が続々集まる、メキメキ育つ! スゴい保険代理店経営』(パノラボ刊)の著者である稲葉晴一氏だ。

稲葉氏は本書で保険業界を取り巻く現状と問題点を解説するとともに、これからの保険代理店経営に必要とされる考え方やシステムを考察している。

そもそも、保険業界は長年、営業マンそれぞれが「どれだけ売ったか」が給与に反映される成果報酬型の給与体系をとる企業が多かった。年収が数千万円に達するようなスター営業マンがいる一方で、まったく売上が立てられず、会社にいづらくなって辞めていく営業マンも多々いる。

こういった世界は「稼ぎたい。いい暮らしをしたい」という人材を惹きつけるが、そういう人がどれほどいるのかという問題もある。

「スマホさえあればいい」と言うほど物を欲しがらなくなった若い人たちの間では、「寝食を忘れて働けば2000万円、3000万円も夢じゃない」という保険業界のあり方が魅力的に見えない人が、ますます増えているのではないでしょうか。(P3より)

これまでと同様、「やればやっただけ稼げる」を売りに人を集めようとする限りは、保険業界で働きたい人は減っていく、と本書では指摘されている。

保険業界こそ成果報酬型をやめるべき

また、成果報酬型には様々な弊害もある。 その一つが「顧客に合った商品」よりも「代理店が売りたい商品」を優先的に売ってしまう可能性がある点だ。

保険商品の中には月々の支払金額も補償内容も大体同等だが、コミッション率(商品を販売した時に営業マンが保険会社から得られる販売手数料の割合)が異なる商品が多々ある。保険代理店が成果報酬型である限り、営業マンがその商品が目の前の顧客に合うかどうかよりも、自分により多くのお金が入ってくる商品を売ろうとしてしまうことが起こりうるのだ。

保険商品の中にはコミッション率が200%というものもあり、こうした商品は常に営業マンを誘惑し続ける。営業マンが悪いわけではない。「顧客に最適な商品をすすめる」というこの仕事で最優先にしなければならないことを、成果報酬型という保険業界のシステムがやりにくくしてしまっているのである。



本書では保険業界は成果報酬型をやめ、一律型の報酬制度を導入することを提唱し、そのためのマネジメント手法を解説している。インセンティブなしにどのように社員のモチベーションを保つのか。そもそも保険業界に一律型の報酬制度はなじむのか。

保険業界の根本を揺さぶる一冊だ。

(新刊JP編集部)

インタビュー

■「成果主義を捨てるべき」人材不足にあえぐ保険業界への提言

『人材が続々集まる、メキメキ育つ! スゴい保険代理店経営』は保険代理店の経営に一石を投じる内容となっています。冒頭の「成果主義の考えは捨てるべき」というお考えが印象的ですが、稲葉さんがこのように考える理由を教えていただければと思います。

稲葉: 保険業界には、いまだに保険商品を売った量を表彰する制度があります。それはそれですばらしいことなのですが、顧客の視点からすると、その営業マンが売った量には価値を感じないじゃないですか。そうではなく、どんな代理店のどんな営業(どんなサービスを持っていて、どれだけ顧客を理解しているか)から買ったか、つまり「誰から買ったか」が価値になるはずです。

顧客からすると、どれだけ営業マンが自分のことを考えてプランニングしてくれたり、先のことを見通して商品をすすめてくれたか、というところが大事ですよね。

稲葉: 顧客からすると、どれだけ営業マンが自分のことを考えてプランニングしてくれたり、先のことを見通して商品をすすめてくれたか、というところが大事ですよね。

成果主義を採り入れていない保険代理店はあるんですか?

稲葉: ないかもしれません。もちろん、きれいごとばかり言っても仕方なくて、保険がちゃんと売れていることは言葉を変えれば、それだけ多くの顧客の課題に対して保険という商品で応えたということにもなりますし、売れていないとそれこそ会社の成長につながらないのですが、この仕事って顧客への準備が整っていなくても偶然契約が取れて、大きな保険料をお預かりできることもあるんです。

完全な成果主義でいうと、こうした「偶然」による契約であっても評価されることになります。だけど、それでは再現性がありません。本来なら営業としての力がついて、再現性の高いやり方で契約をお預かりする、お客さんからの信頼も積み重なっているからこそ会社は高く評価をしたいわけで、「契約件数」だけを見る形の成果主義だとここのプロセスの部分がないがしろになるんですよね。

逆にこれまでの保険業界でフルコミッションをはじめとする「成果型」が採用されてきたのはなぜでしょうか。

稲葉: 私が思うには、終身雇用で年功序列といった昔の日本型経営を採用している会社が主だった時代は、若い人は稼げなかったんですよ。でも、保険業界はキャリアもなにも関係なくて、売ったら売っただけ稼げたわけです。そこに魅力を感じて集まる人が多かったので、このスタイルが続いてきたのではないかと思います。

それに、フルコミッションであれば時間をかけて、人材に投資したり、教育したりするよりも、新たに人を採用した方が、効率がよく。一定期間、成長できなかった人材は退職していく事が多いように思います。つまり、マネジメントが必要ないので会社側は楽なんですよね。一方で企業文化や風土などは育たず、経営ガバナンスは弱くなりがちです。そのため、保険業界はストックビジネスで、属人性の高い業界ですので、法人化している保険代理店でも「個」が強く「組織」が脆弱なのは人材に投資をしようという、普通の会社なら当たり前の企業活動への意識が薄いからかもしれません。

本書ではこうした成果主義を続けていると今後保険業界は立ち行かなくなると指摘されています。その理由の一つとして、営業マンをやりたがる人が減ってしまう点を挙げていましたね。

稲葉: お金を稼ぐためにプライベートを犠牲にして体を酷使して、という人はどんどん減ってきているように思います。お金はほどほどでいいけど、自分の時間を楽しみたいというようなメンタリティの人にとって保険業界が魅力的に見えるかというと、そうではないと思うんです。

■保険代理店が成果主義をやめた結果起きたこと

一般的に「保険業界=売上に対するインセンティブで従業員のモチベーションを高めている」というイメージがあります。稲葉さんの会社はそのやり方をやめて、一律報酬型の給与体系だそうですが、一律報酬型と保険業界の相性はいかがですか?

稲葉: あまり良くないとは思います。なぜそのモデルでやっていけているかというと、うちの会社は財務情報を社員に公開しているからというのと、あとは営業のプロセスを細分化して分業にしているからです。

財務情報を公開しているというのは、たとえば稲葉さんがどれくらいお金をもらっているかというようなことも公開しているんですか?

稲葉: そうです。会社の中にどれくらいお金が入って、何にどれくらい使ったのか、どこに投資したのかということをすべて公開しています。同時に、会社がどこを目指しているのか、なぜ会社のために利益をあげないといけないのかといったことも社員と共有するようにしています。

営業のプロセスの分業化についてもうかがいたいです。

稲葉: リード作成、アプローチ、クロージング、アフターフォローというプロセスがあるとしたら、それを全て分業にしています。だから一般的な営業のように「契約をとった人が一番偉い」とはなりません。

稲葉さんの会社が成果報酬型のシステムをやめた理由は何だったのでしょうか。

稲葉: 人を教育したいと思ったのと、あとは本当の顧客本位とは何なのかを考えて決めました。私たちはお客さんよりも圧倒的にたくさんの情報と知識を持っているわけじゃないですか。だから、お客さんを誘導することもできれば、先生になって知識を授けることもできるわけです。「これがいいと思いますよ」と言ったら、「あなたが言うならこれにするわ」というお客さんも多い。

成果報酬型だとこうした環境でどんな商品を勧めるかといったら「手数料が高い商品」を勧めますよね。それって顧客の利益とは別の観点から商品を売っているわけで、顧客本位とは言えないと思ったんです。

この変革によって入社してくる人のタイプや従業員のメンタリティはどのように変わりましたか?

稲葉: 新しい環境に飛び込む不安よりも希望を抱いて入ってくるようになりましたね。というのも、成果報酬型のシステムをやめてから、うまくいっていない人に対して、「うまくいかせるために周りのみんなができることは何なのか」を全員が考える風土が育ってきたんです。成果報酬型だとなかなかそうはならないんですよ。

「保険代理店の大淘汰時代が始まる」ということが示唆されていました。淘汰される代理店というのは顧客からの信頼を得られない、あるいは従業員からの信頼を得られない代理店ということになるのでしょうか。

稲葉: これは「手数料開示」が義務化された場合という仮定の話ですね。もし、手数料が見える化してしまうと、顧客である自分のためを思ってアドバイスをしてくれていると思っていた営業マンが実は別の思惑を持って営業をしていることがわかってしまう可能性がありますし、「こんなに高い手数料をもらっているのに、何もしてくれない」と感じる顧客も出てくる可能性があります。だからこそ、顧客目線で顧客の潜在的な課題をくみ取り適格に課題解決のソリューションを提供していくことができれば、顧客は価値を感じていただけると思います。
それを追求していく事が我々のビジネスとなっていくでしょう。

これから生き残る代理店の条件として「従業員からの信頼」が挙げられています。経営者はこの信頼を得るためにどのような取り組みをすべきでしょうか。

稲葉: やりがいを与え続けることに尽きると思います。あとは、なぜこういう会社にしたいのか、なぜこういう仕事をしたいのか、という「なぜ」をちゃんと持っていた方がいい。別に、経営者の「なぜ」に従業員がみんな賛同しなくてもいいんです。でも、少なくとも言語化はできていないといけません。

会社って本来は経営者の「なぜ」を達成するために集まっている集団なんですけど、いつのまにか追い求めるものが「なぜ」ではなく売上や利益になっているのが、伸びていない会社に共通しているのではないでしょうか。

当社は『人生のベストコンディションを追求する』を理念とした会社です。保障を持つことは人生をベストコンディションにしていく為に必要なソリューションです。また、税務、法務、労務、行政や社会情勢の変化によって求められるソリューションは変化していきます。だからこそ「追求」がなければならないと考えています。

最後に、本書の読者となる保険代理店の経営者の方々にメッセージをお願いいたします。

稲葉: 人材の採用と教育で悩んでいない経営者って、私も含めていないと思うんです。そういう意味ではこの本はどの業種・業界の方に読んでいただいても役立つのではないかと思っています。特に若い人が入ってこなくなって高齢化していると言われている保険業界にとっては、人手不足の解決策になるんじゃないかと思っています。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. 保険代理店の大淘汰時代が始まろうとしている
  3. 生き残る保険代理店に必要な業務の構造化
  4. 顧客増・売上増につなげるには会社を一つのチームにする
  5. 選ばれる保険代理店には「信頼」を生む仕組みがある
  6. 経営者が決意すれば、どんな代理店も変われる
  7. おわりに

プロフィール

稲葉 晴一(いなば・せいいち)
稲葉 晴一(いなば・せいいち)

稲葉 晴一(いなば・せいいち)

1982年生まれ。埼玉県出身。
2002年に保険代理店として独立した後、卓越した生命保険・金融のプロフェッショナルの組織であるMDRT会員となる。
TOT(Top of the Table)会員
2018年よりIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として株式会社イナバコンサルティングカンパニーを設立。
企業型確定拠出年金の普及や金融教育にも尽力してながら、これまで培ってきた経験と個性を生かし、顧客が思い描く人生のゴールの実現の為、資産形成だけに限らず、保険全般、経営に関するアドバイスを提案。
現在は保険代理店の経営者を対象とした講演やコンサルティング領域にも取り組む。

人材が続々集まる、メキメキ育つ! スゴい保険代理店経営

人材が続々集まる、メキメキ育つ!
スゴい保険代理店経営

著者:稲葉 晴一
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