「売上」ではない「粗利」にこだわれ
乗り越え力: 僕ががんから生還して年商1億円フリーランスになった理由

乗り越え力:
僕ががんから生還して年商1億円
フリーランスになった理由

著者:奥村 哲次
出版:日本ビジネス出版
価格:1,430円(税込)

Amazonでみる

本書の解説

私たちの人生は常に平坦ではなく、大小さまざまな壁が立ちはだかる。そして、その困難を乗り越えるために考え、動いたときに初めて成長できる。

34歳のときにステージIIIの精巣がんが見つかり、即手術。その後も狭心症で心臓を手術したり、頚髄損傷を負ったりするなど、病気やケガに悩まされた。また仕事においても、大規模なシステム開発で納期に間に合わず、訴訟沙汰になりそうになったこともあった。
それでも立ちはだかる困難を乗り越え、挑戦を続けた。がんの手術から2年後、会社から独立をして自分のビジネスを立ち上げ、1人で年商1億円を稼ぐまでになった人物が奥村哲次氏だ。

奥村氏は困難を克服する力を「乗り越え力」と名づけ、成長し続けるために必要なことを『乗り越え力: 僕ががんから生還して年商1億円フリーランスになった理由』(日本ビジネス出版刊)という一冊の本にまとめた。

■失敗こそ愛する。乗り越える力を身につけるための土台

奥村氏は本書の冒頭で、こう述べている。

苦しみは、それを乗り越えることで自分を成長させてくれます。苦難を乗り越え、それを成長の糧に変えていける力があれば、人生は何倍も楽しくなります。そして、それはちょっとした心の持ち方や考え方を変えることで身に付くのです。(p.6より引用)

困難を乗り越え、人生を楽しくするためには、心の持ち方や考え方を変えたり、身につけることが大事だ。
しかし、それを阻む心理もある。「失敗」に対する恐れだ。

どんなに小さな挑戦であっても、失敗はつきもの。そして、その失敗が怖いと思っている人も少なくないだろう。
しかし、奥村氏は失敗したからこそ、前進があると述べる。そこで大切なのは、失敗をしたプロセスを分解し、一つ一つ点検していくことだ。「ここで躓いた」というポイントを発見し、それをどう改良するか。多くの反省点から、教訓を得る。成功せずとも、大きな成長ができる機会なのだ。

アメリカ・シリコンバレーのベンチャーキャピタルは、失敗の経験を持つ起業家に将来性を感じて投資するとも言われる。「失敗経験はプラス評価」という考え方は、乗り越える力を身につけるための土台ともいえるはずだ。

■病床で気持ちを「切り替え」。それが人生の決断のスピードを上げた

本書では「乗り越え力」とともに3つの思考法が紹介されている。「切り替え力」「合理化思考」「アイデア術」だ。そのいずれも「乗り越え力」とつながっていて、失敗から学び、成長し、挑戦するための必要不可欠な要素となっている。

例えば「切り替え力」。
父親の手術に立ち会う機会を利用して受けた診察で、突然がんを宣告された奥村氏は、当初何も考えることができず、駐車場で1時間ほど泣いていたという。すぐに手術を受け、無事に成功。その後の経過も良好だったが、奥村氏はその病床で自分に与えられた時間の短さと大切さを実感していた。

悩む価値のないことを、いつまでも悩んでいる時間はない。「がん」との対峙は奥村氏にとって、悩む問題ではなかった。それは悩んだとしても、自分で解決できることはないからだ。

その「切り替え」がすばやかったからこそ、奥村氏は人生を加速することができた。いずれは社長になろうと思って計画を立てていたが、予定を1年前倒しする形で、手術から2年後に独立を果たした。
大規模プロジェクトの責任者をやりきった自信、新しいステージへの期待、自分が大病を患ったときにサポートをしてくれた仲間たちの存在という背景も大きいが、「自分に残されている時間は短い」という思いへの「切り替え」が、奥村氏のジャッジを加速させたのだ。

 ◇

もう2つの「合理化思考」や「アイデア術」では、奥村氏のビジネス観がつづられている。なぜ毎年1億円近い年商を上げながらも、時間に追われることなくサーフィンを楽しむことができるのか、その秘訣が明かされている。

困難が目の前に聳え立った時に、どのように考え、いかに早く行動をするか。それがその後の人生に大きく影響を及ぼす。もし失敗が怖いと思うなら「乗り越え力」を身につけてほしい。一つ一つクリアしていけば、いつの間にか「挑戦体質」になっているはずだ。

(新刊JP編集部)

インタビュー

■34歳のときにがんで手術。そこで変化したものとは?

本書では、ご自身の半生を振り返りながら「チャレンジし続けよう」というメッセージが込められています。どのような想いを込めて「乗り越え力」というタイトルをつけられたのでしょうか。

奥村: 私の前にはこれまでさまざまな壁が立ちはだかってきました。たくさんの病気やケガ。アグレッシブさゆえのチャレンジするときの壁。さらには、20歳の頃からサーフィンをしているのですが、はるか沖からやってくる経験のない巨大な波。

そうした困難に立ち向かうときの意識は共通しています。少しずつ大きな波に立ち向かい、それを乗り越えていくんです。そのための力を「乗り越え力」と名付け、本のタイトルにしました。

「乗り越え力」のモチーフの中に、ご自身の日課であるサーフィンのイメージが入っていることは一つのポイントだと思います。サーフィンと仕事や人生との共通点はどこにあるのでしょうか。

奥村: サーフボードはスノーボードのように足を固定せずに乗るため、とても不安定なんです。さらに波で不規則に動いている水の上にそれを浮かべるわけですから、さらに不安定さは増します。日によって波のサイズも違うし、風向きや潮の満ち引きによって波の質も変わります。だから「同じ状況で波に乗る」ということが一回もなく、毎回本番のような感じです。

その不安定性、不規則性が私たちの人生に共通しているわけですね。

奥村: そうなんです。人生も常に本番ですよね。だからいろいろな困難がやってくるわけで、ひたすら頭を使わないといけません。

そうした中で、サーフィンであればまずは小さい波からチャレンジをしていって、どんどん大きい波も乗りこなせるようにしていきます。一方の仕事や人生も小さなチャレンジから始めていって、一つ一つ乗り越えていくことでスキルアップしていくというところは共通していると思います。

奥村さんはケガや病気などさまざまな困難を乗り越えてきました。その中でも34歳で精巣がんが見つかったことは一つの転機だったと思います。がんが見つかる前と乗り越えてからのご自身でどのような変化がありましたか?

奥村: 時間に対する感覚はおおいに変わりました。病気を経て、自分には絶対的に時間がないと感じたんです。まだまだやりたいことがありすぎるのに、このままでは死ねないという思いでした。そして、いずれは死ぬのだからやりたいことは全部やるという生き方を選びました。

それから時間の使い方を徹底的に合理化して、自分のやりたいことを優先するように切り替えたのですが、これがハマりましたね。仕事自体もどんどん楽しくなりました。

死が先にあることを意識し、やりたいことを優先するようになったというお話は、スティーブ・ジョブズの「もし今日が人生最後の日だとしたら、私は今日やろうとしたことを本当にやりたいだろうか」という言葉にも通じます。

奥村: おっしゃる通りなんですが、それともう一つ自分の中に入ってきた言葉があります。それがマハトマ・ガンジーの「明日死ぬがごとく生きよ、永遠に生きるがごとく学べ」という言葉です。明日死ぬと思うくらい全力で生き、永遠に生き続けようとするくらいに学ぶという、こちらの言葉の方が実感に近かったです。

がんの手術を受けてから2年後には独立をして自分のビジネスを立ち上げています。それも病気をしたことがきっかけとなっているのですか?

奥村: そうではなく、自分でビジネスを立ち上げることはそれ以前からの目標でした。30歳のときの人事面談資料の目標・夢の欄に「36歳までに社長になる」と記載していたこともあります。

前職ではプログラマーから始まり、システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、会社のグループリーダー、グループマネージャーと7年間でどんどん昇進していきました。その中で役割と責任を痛感しながらも、この先のポジション、つまり経営者になったときに見える景色はどんなものなのかという興味を抱いたんです。

では、最初はその興味から社長を目指すようになったんですね。

奥村: そうです。ビジネスの中身よりも興味が先行していました。そして、起業の2年前に、大きなシステム開発のプロジェクトでチームを組織し、全工程に携わり、無事にリリースできました。このことが、自分なら起業できるという確信につながりました。

今はサーフボードのビジネスを仕掛けようと思っているのですが、そこでは「資本家の目線とはどういうものなのだろう」という興味が沸いています。

チャレンジをしていく中でどんどん興味の目線が高まっているわけですね。そうした目線の高め方ができる秘訣を教えてください。

奥村: もともと昔から「この人は何を言っているんだ?」と思われるような規模の大きなことを言うタイプだったんです。27歳で工場をやめてIT業界に転職するときも、友人から「今からITは無理じゃないか」と言われましたが、自分としては言ったからには絶対に実現しよう思って、実際に有言実行しました。

大きなことを言うと批判されたりもしますが、その批判には何の生産性もありません。今やりたいことがあったらどんどん言うべきですし、どんどんやっていくことが目線を高めていく秘訣だと思います。

また、もう一つあります。経験した上でそれを発信すると、言葉に重みが出てきます。いわゆる説得力ですね。自分自身、経験がない状態で大きなことを言っていたから冷ややかな目で見られていたのだと思いますが、それを実行することで説得力が増したのだと思います。

おっしゃる通り、この「乗り越え力」も奥村さんが様々な困難を乗り越えてきたからこそ、説得力があるのだと思います。ただ、そうした振る舞いができるのは、奥村さんご自身のポジティブなパーソナリティが根幹にあるのではないでしょうか。

奥村: それはあるかもしれません。そもそも私は「悩む」ということをほとんどしないんです。困難や壁に立ちふさがれたときに、それが今の自分に解決が難しいのであれば、悩む必要はないと思いますし、解決できる悩みならば、その方法を調べて、知ればいいだけのことだと思います。

それが本書に書かれている「切り替え力」の根底にあるものですね。

奥村: 考えてすぐ答えが出るものは、すぐに回答を出して実行します。一方で考えても答えが出ないものは、その時点ですぐに考えたり、悩んだりすることをやめます。そこで考え込んでしまうのは時間の無駄です。

また、課題や悩みが大きい場合は、それを細分化して、簡単に解決できることを優先して取り組みます。小さく砕けば、解決のスピードも飛躍的に上がりますからね。だから、私は「悩む」という行為をほとんどしないんです。

■「仕事とプライベートを分ける必要はない」そのメリットとは?

現在、フリーランスとして年商1億円に迫るビジネスを展開しながら、サーフィンをはじめ自分のやりたいことをしっかりできている奥村さんですが、ビジネスをする上で大事にしている勘所を教えてください。

奥村: ビジネスで最も重要なのは、自社のサービス力をプラスして、そのサービス分の対価を得ることです。

では、「プラスする自社のサービス力」とは何かというと、お客様の時間を創出するためのサービスだと思っています。簡単な例で言うと、作業の代行や要件検討、企画の代行といったものです。さらに、受託した業務を簡易化したり、工夫をしたりすることが必要です。

私が案件を受けたとき、はじめの3ヶ月でこの簡易化と工夫を徹底的に行います。その結果、お客様からの依頼数や金額単価は上がっていきますし、簡易化、可視化してマニュアルも作成しているので、外注に依頼するときに安くできるんですね。

私が「仕事が楽しい」と思えるのは、「言われ仕事」の感覚がなく、簡易化や可視化・プログラミングに集中し、工夫力として発揮しているからです。案件を受けるたび、まだまだ世の中のお客様側の情報システムに工夫するところがあると感じるので、そこも楽しいところだと捉えていますね。

「透明なサーフボード」や「コンテナホテル」など、新たなアイデアのプロジェクトも推進されています。もちろん、すべてが実現に至るわけではないですが、その取り組みから奥村さんの推進力がうかがえます。そうした推進力を発揮するために必要なことは何でしょうか。

奥村: 知らないことを試してみたいという気持ちが強いのだと思います。例えば本を読んで、新しい知識や意見があれば、実際に試すようにしていますし、その経験が着実に自分の実になって、ノウハウ化できています。

もちろん知らないことを何でも実践したいというわけではありません。自分にとって興味があるかどうか、それが大事です。興味を持つことであれば情熱も一緒についてきます。

推進力には「周囲の人を動かす」という要素も含まれます。人の動かし方で悩んでいるビジネスパーソンは多いと思うのですが、奥村さんが人を動かすときに気を付けていることはなんですか?

奥村: 人を動かす方法を自分の中でパッケージングしているんです。まずは、自分がそのプロジェクトを進めるためのルールをつくり、マニュアル化します。そのマニュアルをメンバーに説明をして、タスクを作業に落とし込んでいきます。メンバーはそのルールに沿って作業をしていけばいいので、意見は出なくなりますし、混乱もきたしません。

確かにルールが決まっていないと、メンバー各々が勝手に動いてしまうということが起こります。

奥村: ルールがあるのとないのでは全然違いますね。自分が何か言うよりも、ルールに書いてあるからこれに従ってください、という方が進みやすいです。

ただ、ルールづくりはかなりのコストだと思います。

奥村: 実はそれも高速でできる仕組みをつくっています。これまでつくってきたルールやノウハウをパワーポイントでまとめて残しているんですよ。すでにテンプレがある状態なんです。それをお客様ごとにカスタマイズしていきます。

本書の中で「ビジネスも日常も趣味もすべてがリンクする」と書かれていますが、仕事とプライベートを完全に分ける考え方についてはどのようにお考えですか?

奥村: 私は分ける必要がないと考えています。プライベートで仲の良い人と意気投合してプロジェクトを立ち上げることができればそれは良いことですし、仕事で仲良くなった人ならば、プライベートでも遊ぶと良いと思います。

なぜそう考えるのかというと、信用が重要だと考えているからです。仕事でもプライベートでも、人と付き合っていくためには信用が必要です。

仕事でもプライベートでも、裏切り行為に遭遇したことがあるのであれば、それは真に信用を得られるほどのお付き合いができていなかったか、その人のことをちゃんと見ていなかったかだと思います。逆に仕事でもプライベートでも自然体でいられる人は信頼を構築しやすいでしょう。

仕事がプライベートのようになれば、それって仕事が楽しくなるってことですよね。逆にプライベートを仕事にできるのではあれば、稼ぎながら楽しく過ごせるということじゃないですか。だから、仕事とプライベートを分けるメリットよりも、仕事とプライベートを分けないメリットを私は考えています。

ただ、プライベートで仲が良かった人と一緒にプロジェクトを立ち上げたものの、仕事の関係としては上手くいかなかったということも多々あると思います。プライベートの関係では合うけれど、仕事の関係では合わないという人もいるのだと思いますが、奥村さんの仕事のパートナーを選ぶ基準を教えてほしいです。

奥村: 私は根本に、話し合えば分かり合えるという考えを持っています。人それぞれ考えていることは違いますが、もし揉め事が起きたときも、お互い折り合える点、妥協できる点があって、着地点が絶対に見つけられると思うんです。

ただ、そういう議論の場から逃げてしまう人っていますよね。そういう人とは、仕事でもプライベートでも付き合えないと思っています。何かあってもしっかり議論できる人、お互いの違いを認識して吸収できる人と友達になりたいですし、仕事のパートナーにしたいと思います。

ちゃんとコミュニケーションを取ってくれる人ですね。

奥村: そうです。だから一緒に仕事をする人のSNSはちゃんと確認するようにしています。どういうコミュニケーションを取っているのか知ることができるので。SNSにはその人の本質が出やすいので、表面の印象以上にその人のことを知ることができると思います。

最後に本書をどのような人に読んでほしいとお考えですか?

奥村: 仕事がつまらないと思っている方々、天職が見つからないと言っている方々ですね。

私がこの本で書いた「乗り越え力」は、自分だけでなく、皆さんも発揮できるものだと思っています。特殊な能力であったり、運やカリスマ性は必要ありません。気の持ちようで人生を変えることができるので、ぜひ参考にしてほしいです。

(了)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. なぜ人は、乗り越えられないのか?
  3. 困難の限りをくぐり抜けた乗り越えの極意
  4. がん手術で入院後すぐに起業に踏み切った「切り替え力」
  5. たった一人で1億円近い売上をつくった「合理化思考」
  6. 透明なサーフボードを発明した「アイデア術」
  7. すべてはつながり、意味を持つ
  8. おわりに

プロフィール

奥村 哲次(おくむら・てつじ)
奥村 哲次(おくむら・てつじ)

奥村 哲次(おくむら・てつじ)

IT 企業でシステムエンジニアとして勤務。大手小売業のクライアントへ多数の事業提案を通すなど実績を重ねたのち、2014 年にIT コンサルティング業の株式会社ラフティを創業、代表取締役に就任。徹底した自動化と合理的仕事術により、代表者一人の法人で1 億円に迫る年商を達成する。趣味のサーフィン歴は四半世紀、波乗りは玄人はだし。愛猫が一匹、愛車はダッジ・マグナム。

好きな言葉:明日死ぬがごとく生きよ、永遠に生きるがごとく学べ
座右の銘:宇宙規模

乗り越え力: 僕ががんから生還して年商1億円フリーランスになった理由

乗り越え力:
僕ががんから生還して年商1億円
フリーランスになった理由

著者:奥村 哲次
出版:日本ビジネス出版
価格:1,430円(税込)

Amazonでみる