自分も家族も成長させるパパの極意
パパこそ日記をつけなさい

パパこそ日記をつけなさい

著者:浅黄 祐樹
出版:幻冬舎
価格:1,430円(税込)

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本書の解説

経済的にも、子育てや家事の面でも、家庭におけるパパの役割は大きい。
父親が家庭内でどうあるべきかについては人それぞれ考えが違うはずだが、家族全員がやりたいことを見つけてチャレンジしている状態は家庭生活の一つの理想。そのためにまず、パパ自身がやりたいことに打ち込んでチャレンジする姿、成長しようとする姿を見せるのも一つの手だろう。

ただ、実際には仕事に疲れ、家庭内でのコミュニケーションでストレスを抱えて、自己実現にまで気持ちが向かわない人も多い。

この状況、どうにかならないのだろうか?

全男性が知るべき妻とのコミュニケーションの秘訣

『パパこそ日記をつけなさい』(浅黄祐樹著、幻冬舎刊)は、自分の夢に挑戦し、家族のチャレンジをサポートできるパパになるための考え方とやるべきことを紹介していく。

妻との信頼関係や子どもとの関わり方をとっても、うまくできていないと「チャレンジをサポート」どころではなくなってしまう。その意味で、家族とのコミュニケーションは重要なポイントだ。

夫婦といっても赤の他人。自分には自分の、パートナーにはパートナーの世界観があります。それぞれが持っている世界観の中で、如何に気持ちよく会話ができるかがポイント。(P 60)

長く結婚生活を続けると、だんだんと遠慮がなくなったり、コミュニケーションが雑になってしまう夫婦は少なくない。しかし、本書で指摘しているように、夫婦といえども元々は他人同士。一定の気遣いは必要だ。

・同情より共感を…ママ(妻)が悲しい気持ちになっている時、一緒に自分も悲しくなるのではなく、ママの気持ちを理解しつつも一緒に落ち込まない。

・「ありがとう・ごめんなさい」は会話の出だしに…感謝は照れくさく、謝るのは議論に負けた気がして悔しい。そんな理由から「ありがとう・ごめんなさい」を素直に言えないパパ(夫)は多い。

・お願いごとは主語をI(アイ)に変える…「子どもの寝かしつけしてくれる?」より「子どもの寝かしつけしてくれると(僕は)嬉しい」の方が相手を不快にさせない。

・断る時は代替案を…相手からのお願いを断る時は「言いにくいんだけど」「ごめんね」などクッション言葉をつけると同時に、代替案を伝える。

など、ちょっとした気遣いで相手の印象はまったく違ったものになる。本書にはこうした気遣いや接し方が多く紹介されており、参考になるはずだ。

なぜパパこそ日記をつけるべきなのか

ただ、先述のように家族全員がやりたいことにチャレンジしている家庭を作るためには、何よりパパ自身がチャレンジし、成長する姿勢を見せなければ説得力がなくなってしまう。本書では、生活や仕事に忙殺されて自己実現を諦めないために、パパに対して日記をつけることをすすめている。

・人生の目的、目標を明確にできる

・その日やるべきアクションが明確になる

・軌道修正すべきポイントが明確になる

本書では日記の持つこれらのメリットから、自己実現に有益だと説く。人間の意思はそれほど強くはない。慌ただしい毎日が続くと、昔持っていた夢も色褪せてしまう。「なりたい自分」を現実的な目標として繋ぎ止めておくためにも、日記は有効なのだ。



自分も家族もいきいきと生活し、自己実現を目指す家庭を作るためにパパがやるべきこと、考えるべきこと、家族への言葉がけや接し方まで、本書には多岐にわたり解説されている。

子どもからは尊敬され、妻からは愛される家庭人であるために、今何をすべきかがわかる一冊だ。

(新刊JP編集部)

インタビュー

■妻の愛情を失う男が犯す「ミス」とは?

『パパこそ日記をつけなさい』についてお話をうかがえればと思います。まず、本書をお書きになった動機のところで、今のパパたちに対してどのような問題意識を持っているのかについてお聞きできればと思います。

浅黄: パパとしての役割についての知識や行動が追いついていない方が周りを見ても多いように思っています。もちろん、自分自身も例外ではないのですが。

周りのパパたちと会って話したりしていても、どのパパも抱えている問題や悩みが似通っていると感じています。日常生活に疲れてしまっていて、パパという役割を楽しめていない人がすごく多いんですよ。そこはやはり問題なのかなと考えています。

「共通する悩み」というのは、本書で書かれているような「家族とのコミュニケーション」についての悩みも含まれますか?

浅黄: そこはすごく大きいと感じています。背景としては、我々が子どもの頃の「父親像」と、今父親として求められているものがかなり違ってきていることがあるんでしょう。

もちろん「今のパパはこうあるべき」という正解はないのですが、少なくとも「自分はこういうパパでいよう」というイメージと、家族から求められることにギャップができてしまっている人は多いのが現状だと考えています。

自分の父親を想像して家庭で振舞ってしまうとギャップが生まれてしまう。

浅黄: そういうことだと思います。昔はパパが外で稼いで、ママは家事育児を引き受ける、というのがモデルとしてあったわけですが、今は共働きが当たり前ですから、男性も育児や家事をやらざるを得ない。仕事も家事も育児もかなり高いレベルで求められる環境になっているのかなと思いますね。

家族(特に妻)とのコミュニケーションに苦労している男性は少なくありません。これらの原因はどのようなところにあるのでしょうか。

浅黄: コミュニケーションはすごく難しくて、クイズのように正答があるわけではありませんし「これさえやっておけばいい」というものもありません。

夫にも妻にも別々の世界観があるので、基本的にコミュニケーションにはズレが生じるという前提をもって、そのズレを小さくしていくという考え方が大切なのかなと思っています。

私自身も苦労したのですが、一般的な男性として心地いいコミュニケーションと女性が求める心地いいコミュニケーションはまったく違うんですよね。それがわかっていない人が多い。

端的にいえば、男性はどうしても問題解決を求めるところがあって、なんらかの成果に向かって進むための会話を心地いいと感じることが多いのですが、女性はあまりそこは求めていないことが多くて、解決策よりも共感を求める傾向があります。

男性が解決策を提示すると、女性は不快になってしまうことが多いということですか?

浅黄: 本当に解決策を求めていることも、もちろんあると思います。ただ、単に聞いてほしい、共感がほしいというケースが7割、8割くらいでしょうね。

もし、男性側が解決策を話したいのであれば、ひと言前置きするのがいいと思います。相手の話をしっかり聞いたうえで「ちょっと解決策を思いついたんだけど、話していい?」という風に言えば、相手の受け取り方も変わりますからね。

いずれにしても、相手の話を丁寧に聴くのが大切なんですね。

浅黄: そうですね。ただ、人って基本的に他人の話を聴くのが苦手なんです。まして家族が相手だとそういう姿勢を持てなくて、「こっちも疲れて帰ってきているのに、まだ話を聴かなきゃいけないのか」となりやすい。家族だからこそ、コミュニケーションはかなり意識しないと雑になりやすいんです。

長年のコミュニケーションの齟齬が積み重なった結果、妻からの愛情を失ってしまう男性もいます。失った愛情は取り戻すことができるのでしょうか?

浅黄: イエスでもありノーでもあると思います。というのも、何でもかんでも続ければいいというものでもないので、離婚は悪いことではありません。ただ、長年我慢を重ねた結果の熟年離婚だけは避けた方がいいでしょう。本当に相手と合わないなら次の人生に行く方がいいと思いますね。

では、男性はどこで妻の愛情を失いやすいかというと、産後だと言われています。そこをうまくできずに妻の愛情を失ってしまうと、関係の修復はかなり難しいんですよね。

ただ、コミュニケーションの齟齬は男性側だけに問題があるわけではなくて、女性側の問題でもあります。今回の本は一応「パパ」に向けて書いていて、コミュニケーションはお互いの問題だけど、相手の問題はひとまず置いておいて、パパはまず自分ができることをやりましょう、ということで読んでいただきたいですね。

■結婚し子どもができたパパは「やりたいこと」を諦めざるを得ないのか

「パパ自身がやりたいことをやる」というのが本書の大きなキーワードです。ただ、結婚し、子供が生まれると自己実現を放棄してしまう人が多いのはなぜなのでしょうか。

浅黄: まず自分の時間が圧倒的に減りますよね。自分の経験からいっても、朝の保育園の送迎があったり、土日は公園に行ったりで、自分のために使える時間があまりなかったです。妻がフルタイムで働いていたりすると、平日はほぼ時間がない。

そうなると目の前のこと、毎日を過ごすことに手一杯になって、未来の自分について考える時間が圧倒的に少なくなってしまうんです。うちは託児所に預けたりして極力自分のために使える時間をキープしていた方ではあるのですが、これも結構ジレンマがあるんですよね。

できれば子どもと一緒に過ごしたいということですか?

浅黄: それもありますし、今は世間的にはだいぶ和らぎましたけど、自分の子どもは親が責任を持って育てるべき、とか祖父母に預けるのはまだしも、お金を払ってまで第三者に子どもを預けるなんてとんでもない、という風潮って結構まだあったりするんですよ。

話を戻すと、自分の時間をいかに作るかに関しては、子育て中は特にかなり強い意志を持って意識的に作ろうとしないと難しいかもしれません。

自己実現のための時間もそうですし、自分の楽しみのための時間もそうですよね。

浅黄: おっしゃるとおりで、趣味なり楽しみなりの時間を作ってエネルギーチャージをできないでいると、「自分がこの先どうしたいのか」という方向に考えが向かわないんですよね。そうなると当然新しいチャレンジどころじゃないですし、色々なことを先延ばししてしまいます。

解決策としては、自分の家族で自分の子どもを見るだけでなく、複数の家族でお互いの子どもの面倒を見合う環境を作れるといいのかなと思います。お互いに子どもを預け合えれば、自分のための時間を作りやすいので。

「家族全員がやりたいことに向かってチャレンジする家族」にするためにパパがやるべきは「家の中で生じるコミュニケーションの問題を解決して、挑戦のための成長をすること」とされています。家族全員に挑戦する気概を持ってもらうために、普段からどのようなコミュニケーションをすべきでしょうか。

浅黄: まずはパートナーとのコミュニケーション。パートナーのやりたいことを実現するために、パパとしてどんなサポートが出来るのか?という観点が大切です。現在、妻は仕事で2回目の海外勤務で、娘と海外で二人暮らしをしています。その為、私は2人の息子達と3人暮らしをしています。家族別々で暮らすことに皆さんから驚かれるのですが、妻の強みや将来やりたい事を叶えるために行動で示すことが大切です。最初は子供とのワンオペ生活には、自信がありませんでしたが、今や国内組として男子チームでの暮らしを楽しむ余裕も出てきました。

また家族全体で考えると家の中では、心理的安全性の確保が重要です。やりたいこともやりたくないこともちゃんと声に出せる状況をつくることがすごく大事だと思います。何かやりたいとなった時にすぐに反対されると、やはりチャレンジはしにくくなりますからね。

ではこの状況をどう作るかというと、エラーに対していちいち怒らないことです。ごはんを食べていて子どもが何かこぼしてしまった時に、親はつい怒ってしまうものなのですが、ミスって誰でもするものじゃないですか。でもその時に「だからあなたは~なんだ」という風に、人格を否定するようなことまで言ってしまうケースって結構あるんですよ。

親子でもあるんですか?

浅黄: あります。忘れ物をして先生から怒られた時に、「あなたはいつもだらしないからこうなる」と言うのも、「過去」の事例を持ち出して子どもを攻撃しているわけで、これはやはり人格に言及するものですから良くありません。

失敗したことと人格は絶対に分けて話すべきで、それができないと心理的安全性は保たれないですし、子どももチャレンジができなくなってしまいます。チャレンジってほとんど失敗するものなので、その失敗を受け入れてリカバリーする能力をつけさせるには心理的安全性は不可欠なんです。

本書ではパパに対して日記をつけることを推奨しています。パパ自身がチャレンジしたり自己実現を目指すために「日記」はどのようにかかわってくるのでしょうか。

浅黄: 人が前向きに生きるのに、自己肯定感や自己効力感はすごく大事なんです。ではそれをどう味わうかというと、2つ方法があります。1つは他人から認めてもらうこと。もう1つは自分で自分に〇をあげることです。そのためには自分がやったことを振り返ることが必要で、そこに日記が役に立つと考えています。

おすすめの日記の書き方はありますか?

浅黄: 色々な書き方があっていいと思いますが、おすすめなのはその日うまくできたことを簡単に書く「1行日記」です。これを続けていくと、あとで振り返った時に、自分の成長ポイントが見つかるようになります。

誰でも1年間で学ぶことってたくさんあるはずです。日記をつけることでそれが見えやすくなりますし、毎年「今年は今までで最高の1年だった」と思えるようになります。自分の成長を実感できるようになったら、「次もがんばろう」と思えますし、未来に向かって行動する活力に繋がるはずです。

最後に家庭内の人間関係などでストレスを抱えているパパにメッセージをお願いいたします。

浅黄: 繰り返しになりますが、コミュニケーションには正解がなくて、トライ&エラーを繰り返してお互いの心地いい環境を作っていくしかありません。今回の本ではそのトライ&エラーのための33のヒントを書いています。

妻とのコミュニケーションであれば、男性と女性の求めるコミュニケーションの違いを理解したうえで、日々トライ&エラーを重ねつつ日記で振り返りながらやっていくのがいいのかなと思っています。

本の中ではパパの自己実現について書いていますが、日常生活が整っていないと未来へのエネルギーも出てきません。だからこそまずパパ自身が、日記を通して自分に〇をあげてみる。そうして自己肯定感が出てくれば家族に対してもサポートの意識が持つことができたり、家族に対しても〇をあげられるようになる。そのように「足もと」から始めて、最終的に自分の未来にエネルギーを向けていくという考え方を持つとうまくいきやすいのではないでしょうか。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. パパを取り巻く現状
  3. 即実行出来る学び方のコツとは
  4. パパの心と行動をプラスにする33のプチ工夫
  5. パパの成長を爆上げする
  6. 日記をつけてヒーローパパになる
  7. おわりに

プロフィール

浅黄 祐樹(あさぎ・ゆうき)
浅黄 祐樹(あさぎ・ゆうき)

パパコーチゆーき(浅黄 祐樹) / パパコーチユーキ(アサギ ユウキ)

外資系企業の教育研修マネージャー/コーチ
2000年ベンチャー企業でセールス及びセールスマネージャーで全国表彰。2004年外資系企業で、セールス、マーケティング、教育研修部を担当。教育研修マネージャーとして、コミュニケーション、スキルトレーニングを提供しながら、15年間の日記をベースにパパママ、ビジネスパーソン向けコーチとして、目標達成、夢実現をサポート。保育園送迎14年間の3児のパパ。国内海外の2拠点生活の中で、仕事、家庭、地域の3本柱で活動中。「子供は地域で育てる」をモットーに、8年間の少年団サッカーコーチを経て、現在は小中学校の読み聞かせ活動、自治会活動などの地域活動に従事。

パパこそ日記をつけなさい

パパこそ日記をつけなさい

著者:浅黄 祐樹
出版:幻冬舎
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