親友の不可解な結婚と殺人…2つの事件をつなぐ謎の真相は
ゼロから年商10億円企業を創る

ゼロから年商10億円企業を創る

著者:松本 剛徹
出版:ぱる出版
価格:1,540円(税込)

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本書の解説

経営者であれば誰もが、自分の会社の価値を高めたいと思っている。
魅力的な商品・サービスを世に出して売上を上げ、利益を伸ばし、顧客を増やしていくことで会社の価値は高まっていく。その視線の先には株式上場があるのかもしれないし、M&Aによる事業売却があるのかもしれない。

一方で、ほとんどの企業は「中小企業」だ。たとえば年商10億以上の会社は全体の5%ほど。自社の年商が10億円に到達したら、日本の企業の中では「かなりのもの」である。それこそ上場やM&Aなど、次のフェーズが見えてくるため、ここを目標にしている経営者も多いのではないか。

経営者は会社のフェーズに合わせて自分を変えろ

ただ、「業種・業界・ビジネス分野関係なく、年商10億にいくためには3つの壁がある」とするのが、『ゼロから年商10億円企業を創る』(ぱる出版刊)の著者で、自身でも多数の事業を立ち上げ、成長させてきた松本剛徹氏だ。

松本氏が言う「3つの壁」とは
・年商1億円の壁
・年商5億円の壁
・年商10億円の壁
である。それぞれのフェーズごとに、経営者のやるべき仕事も、必要なマインドも、適切なマネジメントも異なる。経営者は事業の規模ごとに自分を変えていかなければならないのだ。

経営者として成功するために超えるべき3つの壁

では、「壁」の内容とはどのようなものなのか。たとえば、年商0~1億円の企業で起こりがちな課題には、

・商品やサービスがなかなか売れない。
・売上が上がっても利益が全然残らない。
・創業資金が底を突きそうでヤバイ。
・社長だけが忙しく労働集約的になっている。
・人を雇うことに抵抗がある。
・眠れないほど不安に駆られることがある。
・1億円の壁がなかなか越えられない。
などがある、スタートアップ期の企業は特にこの傾向が強い。
この時期の経営者の仕事は苛烈を極める。商品企画から営業、財務、資金調達まで、何でも一人でこなすことになることが多いのがこのステージの特徴だ。

ただ、この状態では、今以上の売上拡大は望めない。ビジネスモデルを変えたり、人を雇ったり、自分の負担を軽くすることで、成長のための戦略づくりに割く時間を捻出することが必要になる。

また、年商1~5億円の企業では、

・良い人材がなかなか採用できない。
・チーム連携がうまくいかない。
・評価制度や賃金制度がない。
・社長が頑張っても売上が伸びない。
・第二、第三の商品がヒットしない。
・マーケティング施策が単一的になっている。
・新規事業を立ち上げたいがネタがない。

といった問題が起きやすい。「人」に関する悩みが増えること、そしてそれまでの成長を支えてきた商品・サービスに続くものの開発に苦慮するのがこのステージの特徴である。

年商が5億円を超えると、経営は安定してくるが、そこから10億円までにはまだハードルがある。このステージでは、

・売上が毎年横ばいになっている。
・右腕や左腕と呼べる人材がいない。
・古参社員と新参社員が揉めている。
・チームが一つにまとまらない。
・会議で発言をするのは社長ばかり。
・社長が節税対策ばかりを気にしている。
・仕事が人に依存してしまって仕組み化できていない。

といった課題が生まれるという。良くも悪くも売り上げが安定して、突き抜けられなかったりするほか、社内の派閥争いやもめごとが生まれやすいのがこのステージ。組織や業務プロセスの強化・改善が求められるフェーズである。



ここで紹介したように、会社で起こる問題や課題には、会社の規模ごとに大まかな傾向がある。本書では、それぞれの課題に対して、著者自身の失敗談・成功談を交えて対処法を解説。年商10億円という「ゴール」に向かって最短距離で走る方法を明かしていく。

事業を成長させ、経営者として成功するためのハードルは数多くあるが、どんな課題にも先人たちの知恵がある。本書は今後の経営への確かな指針となってくれるはずだ。

(新刊JP編集部)

インタビュー

■会社の成長を決める「経営者の器」とは

『ゼロから年商10億円企業を創る』はこれまでの松本さんご自身の事業立ち上げ経験から得た知見が散りばめられています。これまでにどのような事業を作ってきたのか教えていただきたいです。

松本: 2011年に立ち上げた最初の会社は、スマートフォンを使ったマーケティングや集客を専門にするサービスを提供していました。そこから事業を多角化していきまして、人や会社、サービスなどを対象にしたプロデュース事業や歯科クリニックの経営、AI関連事業などを手がけました。プロデュース事業は今でもやっています。

それだけ事業の立ち上げからグロースまで関わっているとなるとすごい経験値ですね。

松本: そうですね。ほぼほぼゼロイチで立ち上げてきたので。

「社長の器で会社の規模が決まる」とされていました。器の大きな経営者とそうでない経営者の違いはどのようなところにありますか?

松本: これは大きく二つありますね。一つは、どれだけ「他人」の範囲を広げられるかです。

事業を興したばかりの頃は、みんな「自分が儲けたい、稼ぎたい」なんです。それが満たされると次は周りの人を豊かにしたい、という考えになるのですが、それが自分の家族で終わるのか、従業員まで広がるのか、もっと広がって業界全体や地域、日本、世界を視野に入れられるのかというところです。もう一つは「修羅場」の数ですね。

修羅場というのは経営上の困難ということですよね。

松本: そうです。やはり経営していると大変なことはたくさんあるので。それを経験すればするほど、自分の足りないところがわかるといいますか、「自分のこういうところは改めないといけないな」というのがわかってきて、それによって経営者としての人格が形成されていくところがありますね。

「他人」の範囲が狭いと、そこを満足させるくらいの成功しか掴めない、ということですね。

松本: 結果的にそうなることが多いです。だって、従業員は社長を稼がせるために働くわけじゃないじゃないですか。だから、まず社長の方が従業員のことを考えないと、彼らだって協力しないですよ。

この本は、年商10億円未満の会社を3段階に分けて、課題やその乗り越え方、経営戦略などについて解説しています。松本さんご自身がこの3段階それぞれで直面した問題と、それをどうやって乗り越えたのかについて教えていただきたいです。

松本: まずは、「年商1億円の壁」があります。僕が起業した時も、1年目の年商は5500万だったんですよ。2年目は2億2000万で4倍になったのですが、「年商1億円」を超えられたのは、1年目から2年目に行くときに、単価を上げてビジネスモデルの設計を変えたからなんです。最初の壁を超えるのはそこが大事だと思います。

値上げはタイミングが難しそうですね。

松本: 結局は上げただけの付加価値をつけられるかどうかですよね。サービス自体の付加価値もそうですが、こちら側のブランディングで付加価値をつけるやり方もあります。

それはすごくよく分かります。どうやってブランド力をつけたのでしょうか?

松本: 簡単なのは著作です。本はやはりすごくブランディングになる。あとはメディア出演でしょうね。

次の段階の年商1億円から5億円の企業の壁についてはいかがですか?

松本: ここは人材の壁だと思いますね。この額になると、一人では無理なので、誰かを雇うなり、業務委託をするなりしないといけないのですが、その時にマネジメントをうまくできるかがポイントです。

人を雇うとなった時に、社長の目が届く範囲というのはどれくらいですか?

松本: 経験上、7人が限界かなと思います。それ以上になったら中間管理職を置いた方がいい。

最後の年商5億円から10億円の企業の壁についてもお聞きしたいです。

松本: ここも人材関係なのですが、どちらかというと経営チームの作り方が課題になりやすいです。年商10億円を超えるとなった時に、既存の事業を伸ばして達成するやり方もあれば、同じくらいの売上がある事業をもう一つ育てるやり方もありますが、どちらにしてもここでは社長である自分のブレーンをいかにつくるかで結果が変わってきます。

かならずしも自前でブレーンを育てなければいけないわけではなくて、外部から連れてくることも選択肢に入れて、自分の右腕になる人を作るのがこのステージですね。

第2段階で出てきた人材の悩みについては、小さい中小企業だと、リソース面で自社で育成するのが難しいと聞きます。こうした育成の課題はどのように乗り越えるべきでしょうか。

松本: 自分で学んで成長できる人や成長意欲の高い人をいかに入れるかが最大のポイントです。だから育成よりも採用ですね。

じゃあそういう人をどう連れてくるかというところですが、私は新卒学生から見つけてくるのがいいと思っています。面接で成長意欲までを見抜くのは難しいですから、インターンとして一定期間一緒に働いてみて、その間に判断するというのがいいのではないでしょうか。

■社長がボトルネックになって成長が止まる会社と伸び続ける会社

社長がボトルネックになって会社の成長が止まるケースもあると書かれていました。これは具体的にはどういうケースなのでしょうか?

松本: これは簡単で、社長が全部ひとりでやろうとがんばりすぎているケースです。

年商1億円までは、営業から商品開発、事務にいたるまで社長が一人でこなすケースは珍しくないそうですね。

松本: そうですね。ただ、年商5億円くらいになってもまだその状態だと、それ以上の成長ができなくなってしまいます。社長が一生懸命目の前のことに取り組みすぎると、案外会社は伸びないことが多いんです。

がんばって目の前のことに取り組んでいないと不安なのかもしれないですね。

松本: そうですね。そして、そういう経営者ほど、仕事を他の人に任せるのが苦手だったりします。結局、仕事は任せられないと会社は大きくならないんですよ。社長がボトルネックになるというのは、そういう意味です。

今回の本は経営者に上場やM&Aといった「ゴール」を提示しているのが特徴的です。本書で目安としている「年商10億円」に達すると、このようなゴールが見えてくるということでしょうか?

松本: ゴールは人それぞれなのですが、たとえばバイアウトをするとなった時に、売上1億円で利益1000万円の会社をバイアウトするといっても、そこまで高く売れるわけではないんです。バイアウトの時に得られる金額は最終利益の3年分から5年分くらいなので、多くて5000万円ですよね。

決して少ない金額ではないですが、一生安泰というわけでもない。

たしかにそうですね。

松本: でも、売上10億円で1億円の利益が出ている会社であれば3億円から5億円は入ります。それならおそらく一生大丈夫ですよね。バイアウトをするなら、そういう金額でゴールを迎えられるように、この本では「年商10億円」を一つの目安にしているんです。

今おっしゃったような、売上10億円利益1億円の会社であれば、事業売却するとなったら買い手が簡単に見つかるものなんですか?

松本: いえ、そんなに単純ではないです。買う側は自分の事業や会社とのシナジーを考えますから、そこで合理性があるなら買いましょうとなるということです。売上や利益だけで決まるわけではないです。相性があるという点では結婚に似ているかもしれません。

タイミングについてはいかがですか?

松本: これはもうまちがいなく、バイアウトするなら右肩上がりの時期です。

そういう時期は経営者も「もっと伸びる」と思うはずなので、なかなかそのタイミングで売却するのは難しそうですね。

松本: そうですね。だから、ちょっと落ちかけた時に売ろうとするんです。だから買い手が見つからないという。買い手からしたら、この先見込みがないから売ろうとしているんだなと思いますからね。

今回の本はすでに会社を経営されている方だけでなく、これから起業する人や、今まさに起業を考えている人にも学びが多い内容です。「どんな風に使ってほしい」「こんな読み方をすすめる」というようなものがありましたら教えていただきたいです。

松本: 今、会社を経営している方は、自社の年商ステージのところを繰り返し読んでいただけたらと思います。経営していると本当にいろいろな壁にぶつかるので、そのたびに開いて、ヒントになるところを見つけていただきたいですね。迷った時に帰ってくる場所として使っていただけたらうれしいです。

これから起業する人、いつか起業したいと思っている人は、実際に起業して事業をやってみたらこんなことが起こりえるということを知っておく意味でも、この本は役に立ってくれると思います。

最後に読者の方々にメッセージをいただけたらと思います。

松本: 年商が上がっていくにつれて、社長の役割や仕事は変わってきます。だから、経営者はどんどん自分を変えていかないといけないのですが、その時にこれまでの成功体験が足かせになることがあります。

たとえば年商5億円を超えて、これから10億円を目指そうというとき、本当はこれまでやってきたことや自分の仕事、メンタルなどを変える必要があるのですが、「これでうまくやってこれたんだから」と、そのままのやり方に固執してしまう人が多い。それだと、社長自身が会社の成長のボトルネックになってしまうんです。

過去の成功にとらわれず、うまくいっていたことも大胆に変えていくことが、経営者には必要です。今回の本はそのことをわかっていただくためにもいいのではないかと思っています。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. ゼロから年商10億円企業を創る
  2. 年商0~1億円【幼少期】の経営戦略
  3. 年商1~5億円【青年期】の経営戦略
  4. 年商5~10億円【成人期】の経営戦略
  5. 会社売却・M&A【卒業期】の出口戦略

プロフィール

松本 剛徹(まつもと・たかのり)
松本 剛徹(まつもと・たかのり)

松本 剛徹(まつもと・たかのり)

シリアルアントレプレナー(連続起業家)
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒で富士通株式会社に入社し、その後に株式会社DeNA に転職してモバイルマーケティングに従事。スマホ集客やマーケティングを専門にする会社として、2011年に株式会社リアルネットを創業。2014年には化粧品通販事業を展開して、事業を拡大していき年商10億円、利益1億円にまで成長させ、20代経営者のベストベンチャー30に選出される。2019年10月に大手企業に会社売却。
全10事業を多角的に展開し、経営する会社の年商規模は30億円超。事業売却、事業譲渡や会社売却も経験してきた。

ゼロから年商10億円企業を創る

ゼロから年商10億円企業を創る

著者:松本 剛徹
出版:ぱる出版
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