だれかに話したくなる本の話

『逆ソクラテス 』伊坂幸太郎著【「本が好き!」レビュー】

提供: 本が好き!

伊坂幸太郎待望の新作で、少年少女の学校生活の思い出を描いたライトな作品集。あいかわらず飄々とした筆致なのでファンとしては安心して読めるのですが、彼にしては珍しく低年齢層を主人公に持って来たな、と思いました。そのあたりが今回の伊坂のねらいであったようです。

小学生時代という、感受性の強い一方で大人の世界をまだよく理解できない時期に起きる様々な出来事。子供同士のいじめ、頼りなさそうな先生への嫌がらせ、指導者の高圧的態度、親の過干渉、片親問題、わけありの転校等々。    どの問題もそんな簡単に解決するわけがない。簡単に善悪で分けられるものでもない。いじめる側や、犯罪を犯す側であっても何らかの事情があるのかもしれない。

だから伊坂は旧来の強制的指導や感情的叱責をよしとしません。びしっと叱りつけないから子供がつけあがるし、いじめや学級崩壊が起こるのだ、なんてよくある意見にも同調しません。

一見軟弱優柔不断、飄々として定見がないように見えて、実はその思考はしなやかでかつ芯は靭(つよ)い。これぞ伊坂幸太郎!

と、ファンは思うわけです。これからもずっと読み続けたいと思います。先生、作家生活20周年おめでとうございます。

(レビュー:Yasuhiro

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逆ソクラテス

逆ソクラテス

敵は、先入観。
世界をひっくり返せ!

伊坂幸太郎史上、最高の読後感。
デビュー20年目の真っ向勝負!

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