だれかに話したくなる本の話

「地価」はどうやって決まるのか?―【書評】『「地価」はつくられている―あなたのその投資、大丈夫?』

資本主義国家において、すべての「物」の価格はその需給によって決定される。」

 一見、真実のように思えるこの言葉は嘘である。いや、嘘というよりは「建前」であると言った方がいいのかもしれない。

 本書は「地価」をテーマに書かれているが、その「地価」についても、今のところこの建前がまかり通っている。「地価」がどのように決定されるか、それは決して需給バランスが直接反映されるわけではないのだ。

 もし自分が手を出そうとしている土地の価格が、行政の意思や不動産鑑定士の腹一つでどうにでもできるものだとしたら、あなたは当初の予定通りその土地に投資することができるだろうか。

 結論を言えば不動産鑑定士は行政の思惑通りの「地価」を作り上げるための、言わば行政の手足である。本書は彼らの思惑を知った上でいかに投資をするタイミングを見極めるかという主眼で描かれている。

 「土地神話」は崩壊してはいない。それはバブル崩壊後も、近年のミニバブルと言われた投機ブームの中でも、そして現在も脈々と生き続けているのだ。

 目先の地価の上下に惑わされてはならない。土地神話が生き続けるための地価決定のカラクリを知っておくことは、投資をするうえでも決して損にはならないはずだ。

◆『「地価」はつくられている―あなたのその投資、大丈夫?』
著者:濠壱成
出版者:経済界
定価(税込み):840円
新書判/発売日