さくらももこも大ウケ まちがえるのに憎めない「和田さん」とは
誰にでもある「まちがい」や「失敗」。
多くの場合、これらは周りに迷惑をかけてしまったり、怒られる原因になるが、それがあまりに度を越していると、かえって人気者になるケースもあるようだ。
■まちがえるのに憎めない「和田さん」とは
『まちがう人 まちがい大将・和田さんの迷言&迷事件集』(和田さん研究家・K著、ダイヤモンド社刊)は、広告会社に勤める「和田さん」なる人物が起こしてきた「さまざまなまちがい」や「ビジネスマンとしては、あり得ない勘違い」、「常識を超えた、不思議な行動」を身近で見てきたK氏が、記憶の限り丹念に記録したものだ。
日々、次から次にまちがえる和田さん。そんな和田さんの「あり得ない行動」は不思議と周囲を和ませるものだったようだ。
ちなみに「和田さん」は決して完全なる「無名」の人物ではない。2000年末、和田さんの言葉や行動の「まちがい」を集大成した「Wadadas(ワダダス)’01」という小冊子が自主制作され、東京ビッグサイトのコミックマーケットで販売された。この小冊子はマスコミ関係者、広告業界関係者、作家、ゲームクリエイターなど、人づてに広められ、「幻の書」として噂されることになった。その幻の書が書籍として再編集されたのが本書である。
では、書籍化までされた和田さんのまちがいとは、いったいどんなものなのか。
たとえば、封筒に切手を貼るときも和田さんはまちがえる。封筒に書かれた「郵便番号の数字」と同じ値段の分だけ、切手を丁寧に貼ってしまうのだという。勤め先の広告会社の北九州支店の郵便番号が803番だったので、和田さんは803円分の切手を貼っていたという。
そんな和田さんは、漫画家・さくらももこさんのエッセイにも「まちがう人」として度々登場している。さくらももこファンからすると「あの和田さんか!」となるはずだ。
そしてこの和田さん。さくらさんのエッセイの話でもまちがっている。K氏との会話で、「『かにのかんづめ』っていうエッセイもなかなか評判で」と言う和田さん。おそらく『もものかんづめ』(集英社)のこと。さらには「ちびまる子ちゃん」を「ちびっ子まるちゃん」「まるっ子ちびちゃん」と呼んでいた。さくらさんはこの話に気を悪くするかと思いきやそんなことはなく、すごくウケていたという。
和田さんの周りの人だけでなく、さくらさんのエッセイの読者、本書の読者まで和ますことになった和田さんの「まちがい」。本書と合わせてさくらさんのエッセイも読むと、より魅力に引き込まれ、まちがえるのに何となく憎めない和田さんを楽しめるだろう。
(新刊JP編集部)