「つい自分に甘くなっちゃう人」こそ参考にしたい為末大の言葉
シドニー・アテネ・北京と3度のオリンピックに連続出場し、男子400メートルハードルの日本記録保持者(2019年7月現在)でもある元陸上競技選手の為末大氏。2012年に引退後、現在は株式会社Deportare Partnersの代表を務め、同時に4歳の息子の父親でもある。
陸上界の第一線で長く活躍し、会社運営に子育て。多くの人生経験を積んだ為末氏は「『生き抜くチカラ ボクがキミに伝えたい50のことば』(為末大著、まつおかたかこ絵、日本図書センター刊)で、今子どもたちに伝えたいメッセージをことばの絵本で紹介している。
■「完璧じゃない自分」をマネジメントするための為末大の言葉
オリンピック選手だからといって、そんなに強くない。苦しいときは逃げたくなるし、試合で負けたときは自分を嫌いになる。練習をサボりたい日もある、と為末氏は述べる。
そんな自分と上手に付き合うには、どんな考え方をして、工夫すればいいのかを考え、実践していく中で、人生を「生き抜くチカラ」を身につけたという。これは今でも為末氏を支えている力だ。
では、為末氏はどんな考え方を支えに人生を乗り切ってきたのか。本書から印象的ないくつかの言葉をピックアップしよう。
「自分をもっと知るために、『いいな』と思う瞬間を集めてみる」(P.26より)
「『わたしとあなたはちがう』という当たり前を忘れない」(P.28より)
「『好きなことをやる』ではなく、『世の中に求められていることをやる』もアリ」(P.64より)
「ものごとを知りすぎると、理由のない勇気がなくなってしまう」(P.96より)
「『努力』は『夢中』に勝てない」(P.100より)
親子で一緒に読むなら、これらの為末氏の言葉に親自身の経験談も合わせて子供に伝えるのもいい。また、子ども向けに書かれている本書だが、大人が読んでも学ぶことは多いはずだ。
日本中の期待を背負い、4年に1度のオリンピックに挑んできた為末氏が、どのように気持ちを整え、プレッシャーを乗り越えてきたのか。「生き抜くチカラ」は、仕事や人間関係に疲れた大人にも響く。スポーツだけでなく、仕事や勉強にも活かすことができるだろう。
子どもと一緒に読んでも、大人がひとりで読んでも、生きていく上でのさまざまな気づきのある一冊だ。
(新刊JP編集部)