部下をダメにする上司がやりがちなコミュニケーションの特徴
なかなか部下が言うことを聞かない。アドバイスをしても反応がない。自分から動いてくれない――。部下とのコミュニケーションやマネジメントに苦労している上司は少なくないはず。
こうした状態が続けば、部下がまったく成長せず、チームが機能不全に陥ることになりかねません。しかし、その原因をつくってしまっているのは、上司であるあなた自身かもしれないのです。
上司として、チームを束ねる立場として、どのように部下をコーチングし、モチベーションを高めていけばいいのでしょうか。
グローバルトレーニングトレーナーの山口博さんによる『ビジネススキル急上昇 日めくりドリル』(扶桑社刊)の内容を参考にしながら、部下の成長をストップさせる上司のNGコミュニケーションと、その対処法を3つにまとめてみました。
■メールの内容が「○○しろ」という命令・用件だけ
部下のモチベーションを上げるのは上司やリーダーの役割。部下を巻き込み、どんどんアイデアを出して行動してもらえるような「巻き込み型リーダーシップ」を発揮できれば、チームのパフォーマンスは上がるはずですし、部下一人一人の成長の角度も劇的に上がります。
ところが、部下をダメにしてしまう上司はそれと逆のことをしてしまうのです。
その例の一つが、「ああしろ」「こうしたほうがよい」というトップダウンの指示や命令です。山口さんは、こうしたコミュニケーションは、上司側に「忙しくなった」「自信がでてきた」というような変化があるときに起こると指摘します。
忙しいと議論をしたり、丁寧にメールを書いたりする時間も取れなくなり、「こうしろ」「ああしろ」と短文で用件だけのメールを送って済ませてしまいがち。でも、こうしたコミュニケーションの不足が部下から反発や「あきらめ」を呼び起こすのです。
部下が活発に動くボトムアップ型のチームをつくるには、コミュニケーションの時間が必要です。コーチングの視点から見ても、メールで短文で済まさずにちゃんと話をすることは部下やチームにとって大いにメリットのあることなのです。
■面談の内容が「ダメ出し」ばかりになっている
目標設定や業績確認など、上司と部下の1対1の面談で「ダメ出し」ばかりする。こちらも部下を委縮させ、パフォーマンスを下げてしまう悪要因になります。
こうした面談は、上司が話しているだけだったり、改善点を指摘するだけだったりして、相手に話させないケースが実に多いと山口さん。「ここがダメ」「ここをやれ」と言われ続けた部下は、「詰められている」「叱られている」と感じ、何も言えなくなるでしょう。
部下のパフォーマンスを最大限発揮させるのが上司の役割の一つ。
そのために、上司は部下に対して段階的に質問をしていきながら、改善点の克服と将来自分が活躍するために何をすべきなのかを考えてもらうことが必要です。「ダメ出し」だけでは、視点は未来に向きません。
■「こうすれば部下はモチベーションが高まる」と思い込んでいる
「自分はこうすればモチベーションが上がるから、部下も同じだろう」と勝手に思い込んでいないでしょうか。それは違います。モチベーションを高める要因となる「モチベーションファクター」は人それぞれ異なるのです。
山口さんはモチベーションファクターには、2つの志向と6つの要素があると述べます。1つ目の志向である「牽引志向」には「目標達成」「自律裁量」「地位権限」の3要素が、そして2つ目の志向である「調和志向」には「他者協調」「安定保障」「公私調和」の3要素があるのです。
「目標を達成するために仕事をしている」という人もいれば、「人の役に立つことに働きがいを感じる」という人もいるでしょう。
大事なのは、どの要素もビジネスに貢献するものだということ。自分が「目標達成」タイプだからといって、全員が同じことでモチベーションが高まると勘違いし、それを押しつけようとすると、部下のモチベーションは逆に下がります。
個々のモチベーションファクターを把握し、それにそったマネジメントをする。こうすることでマネジメントはグッとやりやすくなります。
ここでは、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』の中を参考に、どんなマネジメントがNGで、どんなマネジメントが部下を成長させられるかについて触れてきましたが、本書はそのタイトルの通り、1日1問、4ヶ月間「ドリル」形式で、マネジメントやコーチングの方法を身に付けていきます。
本を読んだからといって、急にその通りにできるようになる人はそういません。1日1問ずつ、意識をしながら地道に自分の考えや言動を変えていく。腰を据えて、じっくり実践したい一冊です。
(新刊JP編集部)