だれかに話したくなる本の話

一つのストーリーを99の文体で書く 表現力を高めるのにうってつけの本

毎週月曜日から金曜日、朝7時から文化放送で放送中の情報ラジオ番組『The News Masters TOKYO』。さまざまニュースやトレンドについて、タケ小山さんとレギュラーコメンテーターが切り込んでいく番組だ。

その中で、本の目利きたちが出演し、今ビジネスマンが読んでおくべき本を紹介するコーナーがある。毎週火曜日の8時25分頃からの5分間のミニコーナー「トレンドマスターズTOKYO BOOK」だ。

1月29日(火)は、新刊JP編集部の金井元貴が出演し、1947年に出版されたフランス文学の名作『文体練習』(レーモン・クノー著、朝比奈弘治翻訳、朝日出版社刊)を紹介した。

本書は、「混みあったバスの中で、ソフト帽をかぶった首が長い男性が隣に立っている乗客と口論し、席に座る。その後、今度は駅前の広場でその男が友人からファッションについてアドバイスをもらっている」という短いストーリーを99の文体で書き分けていくというもの。
物語性の乏しいひとつのシーンを、まったく異なる文体で表現していくことで豊かな文学性が帯びてくる。

その文体は様々で「男の主観」から「尋問形式」「短歌」「女子高生」など、ユニーク。翻訳者の凄みというものも味わうことができる。
放送内では西川文野アナウンサーが「いんちき関西弁」という文体で書かれたものを一部朗読。これは、もともとクノーが書いたのは「イタリア訛り」だが、日本語への翻訳不可能ということで、翻訳者が「東京の人が話す関西弁」として訳した。

本を紹介した金井は「伝えるためには、何を書くかということも大事だが、どう書くかということも大事。表現は一つだけではないことに気づかせてくれるという意味で、ビジネスパーソンも役立つのでは」と語り、コメンテーターの楠木建さんも「これは本当に面白い本です。読んだことがあります。かなりよく知られている名作ですよね」とコメントしていた。

The News Masters TOKYO公式ホームページ
・タイムシフト試聴はこちらから…radiko(The News Masters TOKYO)(2/3まで試聴可能)

(新刊JP編集部)

文体練習

文体練習

究極の言語遊戯。

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