“労働時間”だけでは定義できない? 「良い会社」と「悪い会社」の違い
11月7日、「2018 ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート語30語が発表され、「時短ハラスメント(ジタハラ)」という言葉も選出された。
「残業時間をなくそう」「労働時間をできるかぎり圧縮しよう」といった試みから、働く時間を短くする、残業代を減らすことが目的化してしまい、生まれた言葉が「時短ハラスメント」だ。
働き方が問われるようになった今、どうすればやりがいを感じられ、幸せに働けることができるのか。そして、良い会社とはどのようなことなのか。
『パーパス・マネジメント』(丹羽真理著、クロスメディア・パブリッシング刊)では、根幹であるパーパス(存在意義)と「幸せ」について新しいコンセプトを提示し、どのようにすればパーパスが明確になり、組織の中で共有していくことができるかを紹介する。
■「良い会社」と「悪い会社」の大きな違いとは?
2013年に流行語大賞になった「ブラック企業」という言葉。望まない長時間労働を強いることが、ブラック企業の一つの定義だ。
ただ、ブラック企業と社員がいきいきと働くベンチャー企業は、傍目からは見分けがつきにくいことが多いと丹羽氏。皆が忙しく働き回り、長時間労働もいとわず、売上やシェア拡大という目標に向かって進んでいる様子はよく似ているからだ。
長時間労働を改善しようとした結果、時短が逆にハラスメントとなるおそれがあることからも分かるように、「時間」だけを軸に良い会社と悪い会社を判断することには、実は無理があるのだ。
では、「良い会社」と「悪い会社」の大きな違いとはなんだろう。
著者の考えは、社員が組織の存在意義を自分のものとして共有できているかという点だ。組織の存在意義が、そこで働く一人ひとりの存在意義と深いレベルで一致していれば、個人の幸せとも結びついていくという。
つまり、目的の共有やそこから生み出される幸せを、ある意味設計し、指標の一つとして高めていけるのが「良い会社」ということ。そして、「幸せ」というのが、キーワードとして重要なのだ。
「働き方改革」の本来の目的は、多様な働き方を可能性とすることで、誰もが幸せに働ける社会を実現することであるはず。
自分が働いている会社はどうだろうか。本書をきっかけに、働き方、幸せについて考えてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)