児童文学好きが選んだ「大人にもおすすめしたい児童文学」ベスト3
提供: 新刊JP編集部こんにちは、金井です。
前回の日記「おすすめされた本をおすすめする」が思いのほか好評だったので、いろいろな人におすすめの本を選んでもらう企画をはじめました。
今回は「audiobook.jp」運営ブログの連載コーナー「目利きのイトウ書店」で毎週おすすめのオーディオブックを紹介している児童文学好きのイトウさんに「大人におすすめしたい児童文学」を3冊あげていただきます。
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カナイ:お題は「大人におすすめしたい児童文学ベスト3」ということなんですが。
イトウ:ベスト3ですか…。なんだろう。まんべんなく読んでいるわけではないからなあ。その中であげるとすると、『ナルニア国ものがたり』『たのしい川べ』、あとは『トムは真夜中の庭で』を入れたいです。これはすごくいい本です。
カナイ:では、一冊ずつ紹介していただきます。
(1)『ナルニア国ものがたり』
C.S.ルイス著、瀬田貞二翻訳、岩波書店刊
書影は第1巻『ライオンと魔女』
イトウ:ナルニアは年代記でスケールが大きいんです。主人公たち(少年少女たち)が自分たちの生きる現実世界とナルニア国側の2つの世界を行き来するんですけど、読者はナルニア国の歴史を全部体験できる。ファンタジーの世界を丸ごと経験できるんですよ。
カナイ:ファンタジーの世界をまるごと。
イトウ:こちらの世界では会えない想像上の生き物が全部ナルニアにいるんです。竜にもペガサスにも会える。まさにファンタジー!って感じなので、そういう世界に没頭したいときはオススメです。
(2)『たのしい川べ』
ケネス・グレーアム著、石井桃子翻訳、岩波書店刊
イトウ:特に前半はひたすらまったりしてるんですよ(笑)。もぐらとかヒキガエルとか川ねずみとか、川辺にいる人間以外の生き物が出てきて、その日常が描かれている本なんですけど、ちょっとしたことで大騒ぎになったりして、ちっちゃなことが大事件みたいな。子どもの頃を思い出すというか。
カナイ:たしかに子どもの頃はうわさ話程度でも大事件になっていたなあ。
イトウ:本当にそんな感じです。すごくまったりしていて、子どもの頃は楽しかったなーって想いを馳せてしまうというか、遊んでいる時間がずっと続いている世界みたいな感じです。川辺の生き物たちなので生活習慣が人間とは違うけれど、彼らからすごく人間くささを感じるんですよね。
(3)『トムは真夜中の庭で』
フィリパ・ピアス著、高杉一郎翻訳、岩波書店刊
イトウ:『トムは真夜中の庭で』は、『思い出のマーニー』に結構似ていると思ったんですよ。男の子が女の子と仲良くなるんですけど、なぜか真夜中にしか会えないんですよね。それで少しだけネタバレをすると、女の子は実は違う時代を生きているということにだんだん男の子は気付いていくんです。
カナイ:タイムリープものですか。
イトウ:そうです。でも、その結末は多分ここで言っちゃうと完全ネタバレになるので言わないようにしますけど(笑)、「ああ、こうなるのか」と思いました。
カナイ:それ以上は言えないけど、驚きがあるわけですね。
イトウ:そうです。驚きます。
イトウさんが選ぶ「大人にもおすすめしたい児童文学」ベスト3
・『ナルニア国ものがたり』
・『たのしい川べ』
・『トムは真夜中の庭で』
疲れた心の回復にもなりそうです。ぜひ読んでみてください。
このコーナーはおそらく不定期連載化すると思います。また、人生で影響を受けた本を1冊取り上げてもらいながら、自分の成長について語ってもらう「私と本の物語」もそろそろ再開したいなあと考えております。引き続き宜しくお願いします。
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さて、この新刊JP編集部日記ですが、今年の12月をもって一区切りすることにしました。編集部員が本のネタ関係なく自由に書き続けてきましたが、長くダラダラと続けるのも良くないのでね。
しかし、それだけでは終わらないのが新刊JP編集部。
また告知することになりますが、11月からはネットラジオ界隈で新たな試みが始まり、さらに2019年1月からは編集部日記のリニューアル版をスタートさせようと考えております。
そしてコアなファンも多かった伝説のネットラジオ番組「新刊ラジオ第2部」のあのコンテンツを〇〇〇〇にしようと思い立ち、自宅で奮闘しています。