だれかに話したくなる本の話

ラーメン屋で女子に恥をかかせない「男のやさしさ」を考える

提供: 新刊JP編集部

新刊JP編集部きってのラーメン好きのオオムラです。こんにちは。

熱中症の搬送者が非常に多くなっています。こんなときは水分と塩分の補給が欠かせません。
水分と塩分の補給に適しているのはポカリスエットなどの機能性飲料ですが、飲み過ぎるとお腹がダボダボになるので日頃の食事でも補給したいところ。

そこでうってつけなのがラーメンです。

私は週一、二回ほどラーメンを食べるくらいのライトな愛好家ですが、普通の人よりはラーメン屋さんに行く頻度は高いと思います。
最近は、もっぱら引っ越した先の近所のラーメン店を新規開拓すべく巡り歩いております。

先日も、あるお店で塩ラーメンをすすっていたのですが、そこで「モヤっ」とする人を見ました。

私はなるべく混み合う時間を避けてラーメン屋に入るのが常なのですが、その日はたまたまランチタイム直前にお店に入ることに。
通されたのは、カウンターの一席。隣では若いカップルがラーメンを食べ始めているところでした。

待つこと数分で着丼。
三割ほど食べた段階で外を見ると、数人の待ち列ができていました。

しばらくして、ふと隣を見ると、カップルの男性はすでに食べ終えた様子。女性の方の丼にはまだ半分ほど残っていました。

さて、問題はここです。

男性はさっさと食べ終えて時間を持て余したのか、女性にあれやこれやと話しかけ、話に応じるたびに女性の箸が止まるのです。

こんな状況に遭遇することはたまにあります。
その度、私はいろんなことを考えて「モヤっ」としてしまうのです。

男女でラーメンを食べていると、早く食べ終えるのはたいてい男性の方。
心情的に女性を一人ポツンとお店に残していくのも気が引けるし、気を使って話しかけているのだろうと思います。

でも、「その気づかいは逆効果じゃない?」と思うのです。

男性が食べ終えてしまった段階で、女性は「早く食べなきゃ」というプレッシャーが生まれる。
にも関わらず、話しかけてくるたびに箸を止めざるを得ない。
結果として、プレッシャーの時間も長引くし「食べるのが遅い女性」という晒し者状態もつくってしまう悪循環。

簡単に言えば**「女子困るやん、男子は恥をかかせるなよ!」**ってことです。

これが、食後にコーヒーが出てくるようなお店だったり、ドリンクバーがあるファミレスだったら、女性もそれほどプレッシャーを感じないと思います。
しかし、ラーメン屋さんは客の回転もそれなりに早く、長居するには向いていない種類のお店。
席数も少なく、場合によっては店外や店内で席が空くのを待っている客の視線も近いので、「早く食べ終わらなきゃ迷惑がかかる」というプレッシャーが、他のお店に比べて高い気がします。

同じような状況で、男性が「食べてるよアピール」のために、残り少ないスープをちびちび飲んでいたりもします。
しかし、これは誰の目から見ても食べ終わっていることは明白。女性からしても「ああ、待たせてしまっているのだな」と、結局はプレッシャーになります。 席が空くのを待っている客の立場になれば「お前、明らかに食べ終わってるんだから、さっさと出ろよ。何を小賢しい時間稼ぎしとるんじゃい!」となるでしょう。

かくして、店内の誰もがあまり幸せでない状況の完成。せっかくの美味しいラーメンも台無しです。

では、こんなとき、男性はどうすればいいのか?

そもそも、「混み合う時間にラーメン屋には誘わない」という方法があります。 ラーメン屋さんはだいたい11時開店なので、開店直後に行くと、ゆっくり食べられることが多いです。
もしくは、ピークを過ぎた13時以降。昼夜営業の間に休憩が入る店ならば、昼の部が終わる14~15時がベストです。夜も似たような感じでピークを外します。

これなら少なくとも、女性が感じる「食べるのが遅いことで席を占領している罪悪感」や「待ち列の人から受けるプレッシャー」は軽減されます。

しかし、これでは根本的な解決にはなりません。
なぜなら「男性を待たせてしまっているプレッシャー」があることに変わりはないからです。

だから、変えるべきは男性の行動です。

実際、私自身がこの男女の立場になることは過去に何度もありました。
小心者の私としては、そんな状況に陥るたびに、

「ああ……早く食べ終えたことで、相手にプレッシャーを与えてるんだろうなぁ」
「待ち列の人は、さっさと出ろよ、って思ってるんだろうなぁ」

と、それはそれでモヤっとして時間を過ごしていました。

そんな経験を重ねて、見つけ出した解決策は意外にシンプル。

「食べるペースを相手に合わせる」

これなら相手の女性に気まずい思いをさせることもないですし、待ち列の人から見ても「食べているなら仕方がない」と納得してもらえるはず。我ながら小賢しくも涙ぐましい努力です。

まぁ、相手からしたら「食べるペースを合わせてくれているんだな」と、それはそれでプレッシャーになっているのかもしれませんが、それを言い出したらキリがありません。
男がベストだと思っている「女性に対してのやさしさ」と、女性が求める「男性のやさしさ」には、ズレがあるのが世の常ですからね。

というわけで、今週末も新規開拓をすべくラーメン屋を巡ってこようかと思っています。 ……1人で。

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この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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