どこにでも転がっている“石ころ”にロマンあり その探し方とは?
道端や河原に転がっている石ころに普段から注目している人は少ないだろう。
だが、石ころにはロマンがある。素晴らしい景観を作り上げた壮大な自然の営みを感じることができるものなのだ。
そう述べるのは、『素敵な石ころの見つけ方』(中央公論新社刊)の著者であり、石ころ探し人の渡辺一夫氏である。
本書では、石ころの見つけ方、楽しみ方など、石ころ探しの魅力を紹介している。
渡辺氏の石ころとの付き合い方は、研究者のようにフィールドを定め、データを整理し、論文をまとめる、といった学術的な姿勢とは対極にある。
「この河原に行けば、この石ころに会えるはず」
「あの海岸に行けば、あの石ころに会えるはず」
こんな風に、わくわく感を大切にして石ころを探しに行く。
また、石ころ探しは、コレクションとは違うという。
「集めたい」という感情の赴くままに持ち帰るのではなく、まずは手に取り眺めて楽しむ。収集はあくまで「自然を楽しむ方法の一つ」だということは忘れてはいけないのだそうだ。
石ころには火成岩、堆積岩、変成岩などの種類がある。
ただ、石ころ初心者の人ほど、種類や名前のことは横に置いて、とりあえず気になったものを手に取るのがいいと渡辺氏はいう。
また、「収集する石ころは手のひらに載る大きさにとどめたい」というのが、渡辺氏が決めた「石ころ」と呼んでいい大きさの標準だ。
では、どこに探しに行くのがベストなのだろうか?
まずは川原から始めるのがいいという。近所にどんな川があるかを地図帳やネットの地図サイトで調べておこう。
歩きやすさでいえば、下流から上流に向かい、前方に山並みを見ながら歩くのが楽しめるが、川原歩きはハイキングコースを歩くのとは違う。適度な緊張や判断、運動能力が必要だ。探検と同じなので、注意して挑んでほしい。
また、川の仕組みを知っておくと、川原歩きのコツがつかみやすく、石ころのある場所がわかると著者。
そして、探した石ころには、採集地を記しておくのが基本中の基本だ。渡辺氏は、手に取ったその場で油性ペンを使って、河川名や海岸名を小さく記しておくという。これをしておかないと、持ち帰って時間が経つと、どこで見つけた石ころかわからなくなってしまうからだ。
どんな分野でもよく覗いてみると、奥が深いもの。石ころの世界も奥が深い。そして、渡辺氏の石ころ愛を感じる一冊だ。
(新刊JP編集部)