38人が目撃した殺人事件はなぜ通報されなかった? 「ありえない」ことの正体
1964年、アメリカ・ニューヨークの住宅街で起きた「キティ・ジェノヴィーズ事件」は、悲惨な結末を迎えたことで有名な殺人事件だ。
キティ・ジェノヴィーズという女性は、35分にわたり「助けて!」と悲鳴をあげ、逃げまわっていたが、最終的に犯人に惨殺された。
この事件で最もメディアの目をひいたのが、殺されるまでの35分もの間、住民たちは誰一人として警察に通報しなかったという点だった。当局発表によれば、その事件の目撃者は38人にのぼるという。
しかし、ニューヨークタイムズ紙の記者たちが目撃者に対して「どうして通報しなかったのか」と質問すると「わかりません」「通報するのが怖かった」などといった答えが返ってきた。そして、紙面上で「目撃者たちは無関心だったから誰も通報しなかった」という可能性が指摘された。