だれかに話したくなる本の話

おじさんはどこから来たのか おじさんは何者か おじさんはどこへ行くのか

ども。アラフォーおじさんのオオムラです。

突然ですが、「エアポート投稿おじさん」ってご存知ですか?
チケットや空港内の写真とともに「いってきます」だの「東京離れます」だのとコメントをして、空港にいる自分をSNSでアピールする「おじさん」が、20代女子にイラっとされているのだとか。

もう去年のことになりますが、「おじさんLINEごっこ」も流行ってましたね。
いかにもおじさんが書きそうなウザいテンションの文章を書く、おじさんをディスった遊びです。
私も読んでみたことがありますが、「この感じわかるわぁ~」と思ったものです。

他にも「おじさん」というキーワードで色々探してみると「セクハラおじさん」「5時から仕事おじさん」「歴史修正主義おじさん」など、大体がネガティブな文脈で語られています。

それに付随してくるのは「キモい」「ウザい」「エロい」「迷惑」「不快」「害悪」「帰れよ」「マジかよ」「意味わかんない」「浮かれてんじゃねーよ」「いなくなってほしい」と、これまたネガティブワードのオンパレード。

もう立派におじさんの一人である自分としては「おじさんに基本的人権はないのか!」と思うとともに、ゲンナリしてしまうわけです。

さて、このままでは私も単なる「グチおじさん」と化してしまうので話を進めますが、まあ、おじさんに対して風当たりが強い理由もわかるんですよね。

まず、おじさんの社会的信用度が低い。
あくまで個人的な見方ですが、ビジネスの問題だったり、性的なことだったりとジャンルは多岐にわたりますが、世の中の不祥事は「おじさん」が起こすことが多いですよね。

ビジネスに関しては、組織上層の役職に就いている人がおじさんなので、ニュースになるような不祥事が明るみに出ると、その対象は当然、おじさんになります。
性的なことについては、血気盛んで性欲を持て余している若者ならいざ知らず(若者だからって、無論、許される話ではないですが)、客観的に見れば「その年でまだエロイのかよ!」「金持ってるんだからそういうお店にでも行けよ!」と言いたくなる。

印象として元々、信用度が低いことが背景にあるのかなぁという気がします。
そこへもってして、個々のおじさんになんとなく共通する嫌われる特徴みたいなものがあるわけですから、そりゃあネガティブワード連発にもなるわけです。

共通する嫌われる特徴は、たとえば、「昔自慢」「粘着質な説教」「人生の先輩トーク」「クソつまらないダジャレ」「皆無なファッションセンス」「清潔感のなさ」などなど。数え上げればキリがないですね。

個々のおじさんは、なぜ、こんな周りから疎まれるような特徴を抑えるどころか、逆に磨きをかける言動をしてしまうのか?

それってある種の「免罪符」を持っていると勘違いしているからだと思うんですよね。
つまり、「“おじさん”なんだからしょうがないよね」という免罪符(言い訳)です。
はた迷惑な嫌われる勇気を持っている、とも言えるかもしれません。

自分を振り返ってみても、学生の頃に「おじさん」に対して持っていたイメージって、先に挙げた特徴なんですよ。

で、自分が「おじさん」と呼ばれる年齢になって「おじさん化」していくと「それがおじさんというものだから」と、自然に受け入れてしまう。
よっぽど「オレは絶対あんなおじさんにはならないぞ!」という確固たる意志がないと、その流れに逆らえないんでしょーね。

なので、「おじさんはどこから来たのか おじさんは何者か」を考えると、「先代のおじさんたち」から来て、「おじさん的要素を免罪符によって受け入れた者たち」だと言えるのかも。

それを踏まえて「おじさんはどこへ行くのか」というと「空港」だったりするわけです(笑)
これは半分冗談、半分マジメな話。

空港って「オレは仕事やってるゼ!」という矜持も持てながら、職場でもなく、周りに自分を評価する人間がいないリアルの場所なんですよね。
そこでなら、周囲の目を気にせず自分の「おじさん性」を思うさま発散できる。

エアポート投稿おじさんが甘いのは、それをSNSに投稿することによって他者の目に触れてしまうことなんですが、SNSよりもリアルでの人間関係(それが本音の関係でなくても)に重きを置く人が多い世代である「おじさん」にとってみれば、面と向かって「それチョーウザイですよ」「マジキモい」と言われない限り、関係のないことなんですよね。

かくして、エアポート投稿おじさんは急増したのではないかと思いますが、すでにネット記事などでそのことが明るみに出始めたので、おじさんたちはまた別の楽園を目指すことになるのでしょう。

「オレは仕事やってるゼ!」という矜持が保たれ、職場ではない何処か。

たとえば、待ち合わせで使うホテルのロビーとか?

どこかいい場所があったら、おじさんである私にどうか教えてください。
絶対に行かないから(笑)

ちなみに、「おじさん」になりたくない人のための書籍を発見。

『いちばんよくわかる「おじさん病」』 (サダマシック・コンサーレ著、西東社刊)
おじさんって、病気らしいです(笑)

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この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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