だれかに話したくなる本の話

「一流のプレゼン」と「三流のプレゼン」はどこが違うのか?

どんな仕事でも人前で話す場面は必ずある。プレゼンや営業はもちろん、チーム内での自分の考えを伝えるときなど、相手の心を掴めるトークができるかどうかでその人の評価は大きく変わる。

そんなビジネスパーソンいとって必須スキルであるトークを磨ける一冊がある。『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』(ジェレミー・ドノバン著、中西真雄美訳、新潮社刊)だ。

「TED」とは、テクノロジー、エンターテインメント、デザインの分野から感動や衝撃をもたらすアイデアを紹介し、広めていくことを目的とした非営利組織(NPO)だ。その壇上では様々な人たちの一流のトークが披露され、スピーチやプレゼンのお手本として知られている。
本書では、そんなTED流のトーク術が「内容・ストーリー・構成」と「伝え方とスライドデザイン」の二つのポイントで解説されている。そのTEDのプレゼンスピーチ術の極意から、社内プレゼンや営業などに活用できるノウハウを紹介していこう。

■「間もたせの言葉」を防ぐ

人前で話すときにやりがちなのが、「えーと」「あのー」を多用し、間を持たせようとすることだ。
その発展型として、「それで」「実は」「要するに」といった、本来意味があるはずの接続詞を、文脈に関係なく使ってしまう人もいるだろう。

「間もたせの言葉」を多用すると、話し手の未熟さが露呈するだけでなく、内容が不確かだという印象を与えてしまう、と著者は述べる。これを防ぐには「一気に話し、適度に間を置く」テクニックが有効だ。

間もたせの言葉が口から出そうになったら、あえて間を置く。すると、自制のきいた人物というオーラが醸し出されるばかりでなく、聞き手にとっても、今聞いた内容を頭の中で整理する時間が与えられるというメリットがあるという。

■人前で話すときの理想的な立ち方

プレゼンやスピーチをするとき、どんな姿勢で立っているだろうか?
著者は次のような姿勢は絶対に避けた方がいいと述べている。

・両腕を下ろして体の前で組む(自信がなくておどおどしているように見える)
・休めの姿勢(隠し事があるような印象を与える)
・腰に手を当てる(挑戦的で傲慢な態度に見える)
・腕組み(拒否しているように見える)

理想的な立ち方は、「両手をラクにして身体の脇に下ろしている姿勢」だ。

もし、人前で話すときに、手を組んだり、腰に手を当てたりしているようなら、まずはラクな姿勢で立てるように意識してみることだ。また、顔や頭、髪、首の後ろなどを触るのも、落ち着きのない印象を与えるので避けた方がよいという。

■アイコンタクトの「3秒ルール」

大勢の前で話すことが苦手な人が迷ってしまうのが、視線の置きどころだろう。
視線は、聞き手の目に合わせる、つまり、アイコンタクトをとっている状態が基本だ。

アイコンタクトをこなすコツは、聴衆一人ひとりと、ワンセンテンス、あるいは、思考ひとつ(思いついたことひとつ)分くらいの会話を交わしているとイメージすることだという。 具体的には、聴衆の中の誰かに3~5秒ほど視線を止めるというパターンを、会場内でランダムに繰り返すのだ。

一人の聞き手をじっと見つめていると苦しくなってしまうので、ランダムに視線を移すというテクニックは緊張感を解くのにも役立つだろう。上級テクニックとして、ほんのわずかの間、目を閉じるのも効果的だという。

TEDトーク術は、日常的な仕事でのトーク術とは少々異なる部分はあるが、「人前で話す」という意味では基本は同じなので、活用できるテクニックが学べるはずだ。

さらに、本書ではトーク術を指南した書籍ではあまり見かけない、スライドや画像の効果的な使い方も解説されている。プレゼンや営業でビジュアル資料を使う際の参考になるだろう。

(ライター/大村佑介)

TEDトーク 世界最高のプレゼン術

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「TED」を徹底分析

この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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