だれかに話したくなる本の話

編集部オオムラの「地名論」

提供: 新刊JP編集部

前回は「自炊論」として食にまつわるどうでもいい考察を述べた編集部オオムラです。

さて、今回は東京生まれ東京育ちの私による「地名論」です。

私、ラーメン好きであります。
ラーメンのためだけに一時間かけてお店に行き、一切寄り道をせずに帰る、などということがよくあります。

先日も、ラーメンを食べるだけのために京王線仙川駅に降り立ちまして、そこそこの距離を歩き、それはそれは美味しいラーメンを食べてきました。

また食べ物の話じゃないかとお思いの方。話はここからです。

いつもの如く、食べたら即刻帰路についたわけですが、そこで何気なく見たアパートの名前が目に留まりました。

「××ハイツ成城(仮名)」

成城と言えば、田園調布と並んで知られる高級住宅地。
で、京王線仙川駅から南下すれば、たしかに小田急線成城学園前駅があります。

なので「あ、ここはすでに成城の領域なのか」と思ったのですが、すぐ近くの電信柱には「調布市入間町」の文字。

はい、出ました。**「建物名における地名の騙り」**です。地名カタルーニャです。
すいません。ワケが分からなくなるので「地名騙り」と言い直しておきましょう。

ともあれ、この手の「地名騙り」はよくありますよね。

ただ、いつも疑問に思うのが、建物名にブランドのある地名が入っているからといって、入居者はそれを重視するのかということ。

不動産物件として他のすべての要素がまったく同じだった場合に、

「じゃあ、名前の響きがいいほうにしよう!」

と考えることもあり得るでしょうが、そんなことって現実にはほとんどないですよね。
そう考えると、あれは物件名を決めるオーナーさんや不動産会社の自己満足でしかないような気もします。

ただ、もうちょっと考えを進めてみると、地名というのは、いつの頃からか地図上で線引きがされたわけであって、そもそもその境界線は曖昧だと考えることができるわけで。

それでも千葉県袖ケ浦市にある施設を**「東京ドイツ村」**と呼んでいいものか。
もう「東京」なのか「千葉」なのか「ドイツ」なのか、アイデンティティの在り処すら曖昧です。

※ それよりもう少し東京寄りの浦安の某テーマパークに関しては、何か色々と怖いので言及しません。

まあ、「東京」を冠している建物や施設は無数にあるのでキリがないのですが、以前銀座で立ち寄ったお店は「東京ドイツ村」と同じくらい曖昧でした。

その名も**「銀座スイス」**。

何のお店か確認してみたら、洋食屋さんでした。

立地は銀座なのでそれはいいとして、「スイス」なのか「洋」なのか。範疇が広すぎです。ドイツ村を超える曖昧さです。

ちなみに、このお店はカツカレー発祥の店として知られる人気洋食店。
それからしばらくして、再度銀座に立ち寄った際に食したのですが、それはそれは美味しいカツカレーでした。

近くに立ち寄った際は、ぜひご賞味あれ……あれ……あれ?

結局、食べ物の話じゃないか。なんかすいません。

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この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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