近年話題の「糖質制限」、継続のコツは「ストイックに考え過ぎないこと」
近年話題のダイエット法といえば「糖質制限」だが、その一方で批判の声も多くあがっており、「本当に大丈夫なの?」と思っている人も少なくないだろう。
では、そもそも「糖質」とは一体どんな物質なのだろうか。ただ単純に「糖質を抜けば痩せられる」という「手軽さ」だけに踊らされているのであれば、それは危ないこと。ダイエット一つするにしても、体のこと、栄養のことを知る必要がある。
『炭水化物が人類を滅ぼす』(光文社刊)は「糖質制限」ブームの陰の火付け役として知られる夏井睦氏による新書で、著者自身も糖質制限を試している。昨年、この続編となる『炭水化物が人類を滅ぼす 最終解答編』が出版されているが、今回は本書を振り返っていこう。
■「糖質」とは一体なんなのか? 食べてはいけないものとは?
夏井氏はもともと外科医。なぜ糖質制限の本を書いたのだろうか? それは単純に「科学的に糖質制限が面白いから」という理由で、自分の体を実験台にしつつ、自分の体形、体重、体質が変化する面白さを感じていたようだ。実験開始からわずか数日で変化が自覚できるスピーディーさが、実験屋・科学者の魂に火をつけるのだという。
では「糖質」とは一体何なのか。夏井氏の説明によると、「血糖値を上げる栄養素(食品)」で、摂取した後にすみやかに血糖に変わる。実は問題の本質は、血糖を上げるか上げないかだけなのだと夏井氏は述べ、血糖が増えると、糖尿病だけでなく、さまざまな健康被害の原因となると指摘する。
血糖をもっとも効果的に上げるのがブドウ糖。もし、糖質制限ダイエットをするならば、ブドウ糖そのものが含まれる食品はなるべく避けるべきで、体内でブドウ糖に変わるデンプンも控える必要があるという。
しかし、同じ炭水化物であっても、食物繊維のように人体が分解も吸収もできないものがあり、こちらは食べても太ることにつながらない。
糖質制限において食べていいものは、「肉、魚類、卵」「大豆製品」「野菜」「キノコ類、海藻類」「乳製品」「ナッツ類」「油類」など。
一方で、食べてはいけないものとして、「米、小麦、蕎麦」「砂糖が含まれているもの、砂糖が味付けに使われているもの」「お菓子類、スナック類」「無糖と表示しているもの以外のジュース、炭酸飲料、缶コーヒー、スポーツドリンク」などを夏井氏は挙げている。
また、果物に含まれる果糖は、血糖値を上げないが、ただちに中性脂肪に変化して太る原因となるため、アボカドのような一部を除き、果物も食べないほうがいいという。
他にも本書にはお酒についても触れており、日本酒、ビールなどの醸造酒は糖質制限的にはNGだという。
■ストイックにやり過ぎないほうが糖質制限は続く
糖質制限が流行したとき、「揚げ物は食べられる」という触れ込みがあったがこれは本当なのか。夏井氏の経験からすれば、糖質制限をするなら、あまりストイックに考えないほうが長続きするという。つまり、「この食品には糖質が何%含まれているか?」などと気にし過ぎてしまうと継続しにくくなるというのだ。
唐揚げやフライの衣に含まれる糖質は、問題になるほどの量ではないと夏井氏。衣が分厚い食べ物は避けたほうがいいが、もともと衣が厚くないフライドチキンや唐揚げなら、大量摂取しなければ良いという。
本書では、糖尿病の糖質制限治療の提唱者である江部康二氏の3パターンの糖質制限を紹介している。
1、プチ糖質制限…夕食のみ主食抜き
2、スタンダード糖質制限…朝食と夕食のみ主食抜き
3、スーパー糖質制限…3食とも主食抜き
糖質制限に興味を持った人はまずプチ制限からスタート。この場合、焼酎の水割りを飲みながら、野菜炒め+焼き魚+唐揚げ、あるいは1人用鍋でも食べて、そのあとでラーメンや雑炊などの炭水化物を食べなければいい、という程度だ。
続いてのスタンダード制限は、プチで糖質抜きに慣れたサラリーマン向きで、最後のスーパー制限は糖尿病患者、あるいはストイックな人向け。ちなみに、夏井氏は「スタンダード以上スーパー未満」で、3食ともに主食は抜いているが、天ぷらや唐揚げもあまり気にせずに食べているという。
しかしながら、糖質制限はそれなりのストレスを伴うことも多く、特に主食を抜く傾向にあることから、ご飯が好きな人にとっては苦痛になる可能性もある。
良いパフォーマンスを出すうえで、健康であることがまず優先されるべき。自分の身体を整えるためにも良い方法でダイエットを行いたいものだ。
(新刊JP編集部)