だれかに話したくなる本の話

北海道の地場企業が 怒涛の快進撃を始めた理由

■見たことも聞いたこともない

地方ではまだまだ景気低迷にあえぐ企業が多い中で、北海道の札幌に目を見張る成長ぶりの企業がある。
知る人ぞ知る、旭イノベックスという会社である。2011年度に65億円だった売り上げを、2016年度には104億円まで伸ばした。

快進撃を続けるその原動力は、「オートゲート」という名の水門にある。これはそんじょそこらの水門とは、根本的な相違点があった。まさに「今まで見たこともなければ、聞いたこともない」水門である。

自分で動くのだ。

■ゲートには災害を食い止める使命がある

堤防には河川を流れてきた水を海へ放出したり、あるいは内陸部の農業地へ水を引いたりする時に、排水口・取水口となる水の通路がある。これを樋門(ひもん)と呼ぶが、多くの場合、門扉(ゲート)が取り付けられている。

このゲートは、主に排水や取水の量を調節するためのものであるが、洪水時には、ゲートを閉じることで逆流を防ぎ、被害を最小限に食い止める機能も与えられている。

■一人の犠牲も出さなかった

東日本大震災当日も、津波が迫り来る中を、命がけで水門の閉鎖作業に従事した消防団員たちがいた。もしも彼らの働きがなかったなら、犠牲者の数はさらに増えていたかもしれない。だがその作業中、痛ましいことに、人々の命と引き換えに自らの命を失った消防団員もいたのだ。
一方で、なんら人の手をわずらわせることもなく、まるで意思を持つかのように自ら閉じた水門があった。
それこそが、「オートゲート」だったのだ。一人の犠牲も出さずに多くの人命を救いきった。

■魔法の水門なのか? 「オートゲート」とは一体何ものなのか。旭イノベックスはなぜ、そしていかにこの魔法?の水門を創り出したのか。

『安心の門 オートゲート――それは魔法ではなく、科学の力で開閉する水門』(星野恭亮著、ダイヤモンド社刊)は、その不思議な仕組みと、それを生み出した旭イノベックスの驚くべき技術力、そして社会貢献にかける情熱を余すところなく著した。

第5回 ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞受賞、「オートゲート」のすべてが今明らかになる。
(新刊JP編集部)

安心の門 オートゲート――それは魔法ではなく、科学の力で開閉する水門

安心の門 オートゲート――それは魔法ではなく、科学の力で開閉する水門

東日本大震災で市街地を襲った巨大な津波。

その時自らの命を犠牲にして堤防の水門を閉じ多くの命を守った人たちがいた。

だが実は人の手をわずらわせることもなくまるで自らの意思であるかのように自動閉鎖した門があった。

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