だれかに話したくなる本の話

サリンはいかにして撒かれたか 「オウム」を描いたバンド・デシネが手塚賞最終候補に

『MATSUMOTO』(LF・ボレ著、フィリップ・ニクルー画、原正人訳、G-NOVELS刊)

1995年3月20日午前8時頃。
帝都高速度交通営団(現・東京メトロ)、丸ノ内線、日比谷線、千代田線の車内で、強い毒性を持つ神経ガス「サリン」が散布され、駅員、乗客ら13人が死亡。実に6000人以上が負傷した。

日本の犯罪史に残る、化学兵器を使った同時多発テロ「地下鉄サリン事件」から23年が経とうとしている。あまりにも凄惨でセンセーショナルなこの事件は、「オウム真理教」を巡る一連の騒動のある種の臨界点となった。この二日後、警視庁はオウム真理教への強制捜査に踏み切り、5月16日に首謀者として教祖の麻原彰晃を逮捕した。

MATSUMOTO

MATSUMOTO

暴力と祈り。今、世界には過激派組織ISILによる戦争、頻発する無差別テロと、死と神話的暴力が広がり続ける。20数年前のこの事件とは、混沌と破壊的暴力の21世紀に対しての黙示録だったのか!