だれかに話したくなる本の話

大きな成功を収める人と何事も失敗する人。その違いは「脳の使い方」にあった

何か新しいことをはじめようとしても、なかなか踏み出せず、いつもチャンスを逃してしまう人がいる一方で、大きな夢を語り、次々にそれを実現していく人もいます。

同じ人間であるはずなのに、なぜここまで違うのでしょう。
そもそも、両者の間には一体どんな違いがあるのでしょうか。

持っているスキル? 生まれ持った素質? それとも学歴?

オリンピックメダリストの指導経験もあるメンタルトレーナーの西田一見さんは、『一流になる勉強法 脳の使い方を変える「脳だま勉強法」』(現代書林刊)で、成功のために必要なことをこう述べます。

ただ「アホ」になってくれればいいのです。(p.16より引用)

この言葉を聞いて、多くの人は「アホになっただけで成功できたら苦労は要らない」と思うかもしれません。ですが、この言葉の意図はもっと深いところにあります。それは「いらぬことを考えない」ということです。

■現代人は自分で勝手に自信を失っている

仕事でもプライベートでも、何か新しいことを始める前には「でも、もし周囲から否定されたらどうしよう」「とはいえ、上手くいかなかったらどうしよう」という不安が頭をよぎるもの。

しかし西田さんは、この「でもな」「とはいえ」といった自信を打ち消すような言葉が、これから挑戦することを失敗へと向かわせると指摘します。

失敗に敏感な現代人。何かをやる前からあれこれと考え、徒労に終わることもしばしばあるでしょう。それは、「でもな」「とはいえ」から始まるネガティブな感情が脳から出力され、それがそのまま再入力してしまうという負のスパイラルに巻き込まれているからです。

■人は自分が想像できないものになることはできない

著者の西田さんはトップアスリートやビジネスパーソン、受験生などのメンタルコーチとして活躍。その経験から、成績を飛躍的に伸ばす秘訣を「脳の使い方」に見出します。「脳のしくみの使い方」の上手、下手で成果はまったく変わるというのです。

ここで必要なのは、「既成概念を捨てること」、そして「自分の理想形をイメージすること」です。

まずは、足かせとなる「自分はできない」を取り除きましょう。ここは「アホ」なくらい自分に自信を持ってください。その上で、自分のベストをひたすらイメージとして植え付けさせます。

勉強ならば、初級の問題集を開くなどして「なんでも分かる」状況を経験し、自分は「できる」と脳をだまします。スポーツならば、自分の得意なことだけをひたすら繰り返す。そうして「できる自分」をイメージ付けます。

また、「将来こうしたい」という自分像を持つことも必要です。
例えば「世界中の子どもたちの命を救っている自分」を想像する。自分はもう世界中の子どもたちの命を救うべく、活動をしている――そうやって脳に思い込ませれば、あとは勝手に身体が動いていくはずです。

 ◇

本書は2012年に出版された『脳だま勉強法』を再編集した新装版。そのタイトルの通り、「脳をだます」ことで、自分の能力を高めていく方法がつづられています。

社会人も日々、勉強することは重要ですが、一体何のために、どんなことをしたくて勉強をしているのか定まっていなければ、その集中力を保つことはできません。成功をするためには疑いなく突き進むことが大事。そのために脳をだますことが必要なのです。

まずは、「でもな」「とはいえ」を禁止し、ネガティブな気持ちを追い出してみてはいかがでしょう。そして、イメージを持って動けば動くほど、新たな世界が見えてくるはずです。

(新刊JP編集部)

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