だれかに話したくなる本の話

もはや金持ち国家ではない?エスニックジョークに見る日本のイメージ

・地球滅亡の前日に思うこと
イタリア人「愛人と一緒に過ごそう」
日本人「仕事を今日中に終わらせよう」
ロシア人「今日は二日酔いを気にせず飲もう」

これは、イタリア、日本、ロシアの国民性をネタにしたエスニックジョークである。
様々な個人をひとくくりにしてしまう乱暴さはあれど、こうしたジョークは世界で日本人がどう見られているかを示すいち材料ではある。上の例で言えば、「ワーカホリック」という古くからある日本人のイメージは、まだまだ健在のようだ。

■天国と地獄

『新・世界の日本人ジョーク集』(早坂隆著、中央公論新社刊)は、日本人が「イジられ」ているエスニックジョークの数々を紹介。そこから浮き上がる世界の日本人観を紹介する。

・天国と地獄

問い1:天国とはどんな世界か
答え1:コックが中国人、政治家がイギリス人、エンジニアが日本人、銀行家がドイツ人、恋人がイタリア人

問い2:それでは地獄とはどんな世界か
答え2:コックがイギリス人、政治家が日本人、エンジニアが中国人、銀行家がイタリア人、恋人がドイツ人

近年は「技術大国」という看板に翳りが見えこそすれ、テクノロジー分野での日本の評価は依然高いようだ。それにしても、これを真に受けると日本の政治は「地獄」ということになるが…。

■二つのニュース

一人の韓国人の元に友人から電話がかかってきた。友人は興奮した声でこう告げた。
「悪いニュースといいニュースがある」
「いったい何だい?」
「一つは今、日本に北朝鮮のミサイルが落ちて、東京は壊滅状態だそうだ」
それを聞いた韓国人が言った。
「なるほど。よくわかった。それで、悪いニュースっていうのは何?」

こうしたジョークの世界で、必ずと言っていいほどネタになるのが日韓関係、日中関係である。
今ふたたび摩擦が強まっている日韓だが、「日本の失敗は韓国の喜び」という心情を持つ人が伝統的に多い一方で、「日本への憧れ」を持つ人も少なくない。韓国人の日本観は「反日」だけではくくりきれない、複雑なもののようである。

国民性やお国柄をイジるエスニックジョークにおいて、「治安がいい」「勤勉」「英語が苦手」「丁寧」といった日本・日本人のイメージは古くから変わらない一方で、「お金持ち」というイメージは薄くなってきているようで、この手のジョークの「金持ち役」は中国人に取って代わられてつつあるそう。その意味ではエスニックジョークは時代を映しているのかもしれない。

うなずけるものあり、「それはないよ」と思うものあり、色々なことを思わせるこの種のジョークだが、人種差別や民族差別と紙一重なものもあるため、公の場で使うのには注意が必要。本書も、自宅で一人楽しむにとどめておくほうが賢明かもしれない。

(新刊JP編集部)

新・世界の日本人ジョーク集

新・世界の日本人ジョーク集

やっぱりわれわれは
世界中でこんなにイジられている!
不思議な国、日本
面白き人々、日本人……

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