うまくいかない仕事・人間関係の問題を解消する「哲学的思考法」
「従う」「間をとる」「感じる」「結ぶ」―。
どれも私たちが日常、何気なく使っている言葉です。
しかし、これらの言葉の裏側には、実はさまざまな悩み・問題を解決するヒントが詰まっているのです。
メディアで話題の人気哲学者・小川仁志氏は、サラリーマン、フリーター、公務員を経て哲学者になったという異色の経歴の持ち主。
そんな小川氏は、先述のような日本語の中に潜む、日本人ならではの「和」の思想や哲学に着目。
それらの考え方を活用することで、私たちが日ごろ抱えている悩みや迷い、問題の解決に役立つとしています。
■「従う」:生き延びるための戦略的な従順さ
よく、日本人は従順だと言われます。受動的・消極的なマイナスのイメージを持つ方もいるかもしれませんが、自分の意志を曲げ、あえて他人の感情や行動に合わせるという選択をしているとも言えます。考えようによっては、その時点で能動的なのです。
日本人がこのような性質を持っているのには、台風や地震など、多くの自然災害と共に生活をしてきたという風土が影響しています。
自然災害には、どうあらがっても勝てません。なんとかしなければと無駄な抵抗をしたり、無用の犠牲を出したりすることなく、自然の力に従い、過ぎ去るまでじっと耐える。
それはまさに、生き延びるための戦略的な従順さなのです。
仕事や私生活でも同じことがいえます。環境や待遇に多少不満があったとしても、しばらくの間じっと耐えて頑張ってみる。すると、状況が変わり、道が開けることがあるのです。
もちろん、心身のバランスを崩すほどの悪環境を耐える必要はありませんが、「辞めようかな、続けようかな」と迷っている人は、この「従う」という思想も選択肢から外さずにおいておくといいのではないでしょうか。
■「間をとる」:息苦しさから解放されるための思想
日本人は、「間をとる」のが得意です。
欧米人は挨拶をするとき、ハグや握手で相手と接触し、距離を縮めます。一方、日本人は相手から近すぎず・遠すぎずの適度な距離をとって、お辞儀をします。
これは、物理的にも時間的にも相手から適切な「間をとる」ことで、人間関係の息苦しさから解放されるという、日本人特有の考え方に起因しています。
また、かつて「間」には「真」という字が使われていたともいいます。つまり、「間」には真理があるということなのです。適度な「間」をとることで、「物事の本質」も見えやすくなるといえるでしょう。
空気が読めない、いわゆる「KY」と呼ばれる人は、おそらくこの「間」をうまくとれていない点に問題があります。そういう人は、まずは形式的で構わないので、相手との間に適当な時間と距離をとるよう心がけるとよいでしょう。そうすることでだんだん、人との距離感が掴めるようになってくるはずです。
このように、私たちが日々の生活の中で使っている言葉には、日本人が大切にしてきた哲学や思想が詰まっています。小川氏の最新刊『哲学者が伝えたい人生に役立つ30の言葉 和の哲学編』(アスコム刊)では、小川氏が厳選した30個の言葉を掲載しています。
迷ったときや悩んだとき、これらの言葉を賢く使い、その考え方を取りいれることができれば、人生はより豊かなものになるはずです。
(新刊JP編集部)