【「本が好き!」レビュー】『プロジェクションマッピング 』三葉かなえ著
提供: 本が好き!わたしより20歳若い女性が、恋の五行歌を
素敵に読んでいる。
チューリップの
めしべに座って
待つわ
花びら剥いで
見つけてほしいから
めしべに座って待つという表現力、
なんてロマンチックなのでしょうか?
16歳ごろから五行歌を書き始めた著者。
あとがきで著者は、人の目ばかり気にして、
びくびくしている子供だった。
誰かの言葉で傷つくことによって
自分も相手を傷つけている可能性があることが
恐ろしく口数が減っていったと記している。
そんな著者の歌は、美しい。
魚を、もみじ色やいちょう色の魚と表現したり、
ぶつけてできたあざを、あじさい色のあざと
表現しているところがおもしろい。
クジャクの背
大きな扇はまるで
一筋一筋
電気が通った
プロジェクションマッピング
彼女の歌は、美しい色彩を感じる
表現力に富んでいる。
繊細な歌の中にも、強さを感じる。
四季を感じる歌や恋の歌、
著者の故郷である埼玉の嵐山渓谷を歌った歌、
そして生活の中で感じたことを表現した歌、
何度も何度も読み返すことにより
著者の五行歌は深くなる。
(レビュー:sumiko)
・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」