【「本が好き!」レビュー】『サイコパス』中野信子著
提供: 本が好き!新聞広告に惹かれて手に取った。
とんでもない犯罪を平然と遂行する。ウソがバレても、むしろ自分の方が被害者であるかのようにふるまう。外見は魅力的で社交的。だが、関わった人はみな騙され、不幸のどん底に突き落とされる。
そんなサイコパスは、100人に1人の割合で存在する。
厄介で淘汰されてもいいのに、しぶとく(?)存在し続けてきたサイコパス。
サイコパスの特徴、その脳、その発見、進化、そして具体的な対応まで。
興味深かったのは、「サイコパスはもてることがある」ということ。
「もてる」男性のタイプは2種類。
一つは、子育て(養育行動)にリソースを割いてくれそうなタイプ。例えば、弱者を助けようとする男性の姿を見たとき、女性の心は揺れ動く、のだとか。
そしてもう一つが、サイコパスの要素を備えた男性。歯の浮くようなウソでも自然と口に出るから、コロッと騙される。ホルモンバランスが変化するタイミングは要注意。
忌み嫌うだけでは何もならない。
サイコパスは、100人に1人という、決して少なくない社会の成員でもある。
その思考方法ふるまいを本人の意思や努力で後天的に変えていくのは難しい。
だから、実像を掴んだ上で、いかに対応していくか、共存していく道を模索するのが人類にとって最善の選択であると著者は訴える。
(レビュー:mitu)
・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」