だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか』デイヴィッド・J.リンデン著

提供: 本が好き!

触れること、それはコミュニケーションする大切な手段のひとつ。支えたい、従いたい、感謝したい、支配したい、注意を引きたい、性的に関心がある、遊びたい、仲間に入りたいなど、相手に気持ちを伝える大切な手段。

日常の、時には非日常のエピソードを交えながら科学的な解説をしているので、肩肘はらずに「触れることの科学」に没頭させてくれます。訳者いわく、何かにつけて話が性的な方向に流れがちになるのがクセなのだとか。

類は友を呼ぶと言いますが、変態なのは著者だけではありません。負けず劣らず著者以上の変態っぷりを発揮するお友達のエピソードが出てきます。お酒を飲みながらマニアックな話をするのが大好きな著者、そして友人。

そんなとき人は常識から解き放たれ、一見馬鹿げてはいるけれども実はとても重要なことがらを考察するものだ。

どのようなことを考察したかというと、なんと「股間で点字が読めるか」(爆)私の基準からすればこれは常識から解き放たれ過ぎであり、一見どころかどこまでも果てしなく馬鹿げているようにしか感じられません(笑)

しかも、これは著者からの振りではなく友人(女性)から。目が見えなくて指先もなくしてしまったら他の敏感なところで点字を読めるかしら、例えば生殖器とか。あれって軽く触れられただけで強く感じるでしょう、と。

百歩譲ってここまでは良しとしましょう。すごいのはここから。著者は科学的根拠を持ち出して説明します。生殖器は敏感だけれども識別能は持たないと。すると彼女が、試すから実験方法を教えろとしつこく尋ねる(笑)

で、当の彼女、夫を協力者にして実験に取り掛かったそうです。類は友を呼ぶとはまさにこのこと。変態の友人もまた変態。妻の素っ頓狂な実験に付き合う夫もまた変態。世にも奇妙な変態相関図の出来上がり(笑)(泣)

実験の結果が気になる人は是非読んでみて下さい。涙なしには読めません(もちろん、笑い泣き)。この他にも日常と非日常との間にある、笑えるエピソードがてんこ盛りです。もちろん、どれも触れることに関わるもの。

速すぎるか遅すぎるかどちらかだと彼を怒らせたハンドジョブは、彼の陰茎の有毛皮膚につながるC触角線維のセンサーを強く活性化する速度の範囲から外れていたと考えられる。

 

昨晩はこんなふうにすると応えてくれたし、ときにはこれだけでオーガズムに達したというのに、何か奇妙な感じがした。指の間の乳首の感触もおかしかった。そのとき突然、乳首がBの胸からぽろりと外れ、私の手の中に残った。

決してこのようなエピソードばかりではありませんが、この手のエピソードがあまりに面白く、またよくもこれだけのネタが集まるものだと感心してしまいます。ちょっと作り話入ってない!?という疑惑が出るくらいに。

いやはや見事な変態本でした。触ること=触角の科学でこれほどまでに楽しませるとは恐れ入りました。最後の疑問は表紙です。これはいったい、誰が、誰のどの場所を「触れている」のか。気になって仕方がありません。

(レビュー:allblue300

・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」

本が好き!
『触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか 』

触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか

なぜ、やさしく撫でられると気持ちいいのか?目からウロコの実験シーンと驚きのエピソード―ベストセラー『快感回路』の著者、科学界随一のエンターテイナーがいざなう触覚=皮膚感覚のワンダーランド。

この記事のライター

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