「ライフハッカー」人気書評家が明かす、読書記録が分かりやすくまとまるコツ
「なぜ『1ページ5分』かかっていた遅読家が、『年間700冊超』読破する人気書評家になれたのか?」
『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社刊)の紹介文にこう書かれているように、本書の著者である印南敦史さんは「遅読家」を自称する。
読むのが遅くても、すぐに内容を忘れても、本は読める。
今はそれほどではないが、少し前まで「速読」がブームになっていた。読む速度を早くすることで情報を効率よくインプットするというもので、主にビジネスパーソンを中心に人気を博していた。
しかし、その一方で「速読」が読者を困惑させていたのも事実だろう。『遅読家のための読書術』の読者レビューを見てみると、読むのが遅いことで悩んでいた人たちから賞賛の声を集めている。そして、印南さんは「速読へのアンチテーゼの側面もあった」と告白する。
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――タイトルの「遅読家」という言葉が素晴らしいですよね。やはりレビューを見ると、読むスピードが遅いと悩んでいる人が多いということを実感します。
印南:そうなんですよね。この本には速読へのアンチテーゼのような側面もありました。「速く読むことが良い」という風潮に対して、何か引っかかるものがあって。
それに、そもそも読むのが遅くて悩んでいる人なんて僕ぐらいしかないだろうと思っていたんです。でも、出版してみると、同じ悩みを抱えている人が多かったので驚きました。ちなみに出版元の営業さんからは、「真面目な人に読まれている」とお聞きしています。
むしろ、読むスピードなんて遅くて当たり前。読んでから、すぐに忘れてしまうのも普通。その2つがいけないことのように思われているけれど、そうではないということを伝えたかったという思いはありますね。
――「フローリーディング」という考え方も面白いですよね。音楽を聴くように本を読む。これは音楽ライターとしての印南さんの側面も出ています。
印南:僕の中では、音楽を聴くことと本を読むことは感覚的に同じなんです。音楽を聴くときに「さあ、これから聴くぞ!」とはならないじゃないですか。でも本はなぜか「さあ、読むぞ!」となりがちなので、そうならずに同じ次元のものとして考えてほしいんです。