あのサイゲン大介が語る、どんなレシピにも書いてない「料理で最も大事なこと」
■食への探究心はネタ作りにもつながっている
サイゲン大介こと、阿諏訪泰義さんがあらゆる料理の味を再現できるのは、何度も味見を繰り返すことに秘密があった。しかし、それができるのも「足りない味」が何かを突き止める飽くなき探究心と、引き出しを増やそうとする向上心に他ならない。
――『リストランテasuwa』に載せているレシピはどのように選びましたか?
阿諏訪:世界には手のかからない美味しい料理がたくさんあるので、「簡単に作れて美味しい料理」を選んでいる一方で、定番の「ベタな料理」も幅広く載せています。
みんなが知っているカレーとか、生姜焼きみたいな「ベタな料理」も、少しの工夫でぐっと美味しくなるので、「えっ、いつも食べてるこの料理ってこんなに美味しく作れるの?!」みたいに、驚かせたいっていうのがありますね。
――「ベタなもので驚かせたい」っていうのは、うしろシティさんのお笑いにもつながっているように感じます。
阿諏訪:そうかもしれない。僕ら、ベタな設定をよくやるんですよ。「学校」とか「医者と患者」とか。それって誰もが知っているものだから、ちょっと味付けを変えるとすごく新鮮に感じられるんですよね。
奇をてらったことをしなくても、みんなが知っている「ベタな空間」に変な奴が出てきたら、際立つじゃないですか(笑)
――ベタなものにも意外な良さが隠れているのですね。
阿諏訪:「ベタなもの」って、良いところがいっぱいあるから世の中に浸透していって、その結果「ベタ」になっていると思うんですよ。ということは、「ベタ」って「良いもの」ってことなんですよね。
ただ、みんなが飽きてしまっている、慣れてしまっているので、そこに新しい視点やものを加えてあげて、再発見だったり、驚きを感じてもらうことで、人を楽しませることができるっていうのは、やっていてすごく楽しいですね。
■味の引き出しを広げる冒険
「ベタなもの」をアレンジして、再発見や驚きを提供する阿諏訪さん。しかし更に話を聞いていくと、新しいもの探求し、引き出しを増やしていく活動にも事欠かないことが分かる。
――定番メニューと並んで、めずらしい料理のレシピも載っているのも面白かったです。
阿諏訪:僕、食べたことのないものを食べたいんですよ。それこそ、アメ横にある「なにこれ…?」みたいな調味料屋にも通いますし。
――それはどんなお店なんですか・・?
阿諏訪:そのお店は本当にすごくて、味の想像もつかないようなスパイスや調味料が並んでいるんですよ。あとはね、一度も見たことがないような鮮魚も売っています(笑)おそらく外国の方が、自国の食材を調達して、家で料理するためのお店だと思うんですけどね。
――そういったお店で購入した知らない食材やスパイスを、どんどん試してみるわけですね。
阿諏訪:初めて見かけた食材やスパイスを買ってきては、家でなめてみて「ああ・・これはこんな味がするのか」と。でも、「この味ならば、あの料理に合いそう」とすぐアレンジするのはあまり好きではなくて、必ず本来の使い方をするようにしています。
つまり、最初はその国の料理を調べて、食べたことのない料理を作るんです。応用はその後からですね。色んなもん食べたいです。