だれかに話したくなる本の話

今、日本の書店で「ニューヨーク」と「フランス」の戦いが起きているという話

書店に行く機会があるならぜひ見てみてほしいのだが、今書店の「女性向けライフスタイル本」の棚ではある勢力争いが起きている。

どういうことか説明するために、先日、筆者が見た光景を紹介しよう。

■書店で展開されるニューヨーク対フランスの戦い

都内にある某大型書店のライフスタイル本の棚の左半分には、ベストセラーとなった『フランス人は10着しか服を持たない』(大和書房刊)をはじめ、

『フランス人の40歳からの生きる姿勢』(大和書房刊)
『フランス人は年をとるほど美しい』(大和書房刊)
『フランス人が何気なくやっているシンプル・シックな36の法則 Forever Chic』(幻冬舎刊)

といった、「フランス人のライフスタイルを学ぶ」系の本が並んでいた。
それに対して右半分には、

『ニューヨークの女性の「強く美しく」生きる方法』(大和書房刊)
『ニューヨークで学んだ「私を動かす」47の言葉』(宝島社刊)
『ニューヨーク流 本物の美の磨き方』(KADOKAWA/中経出版刊)
『ニューヨーク式センスを磨く1日5分の習慣』(サンマーク出版刊)

と、「ニューヨーカーから学ぶ」系の本がぎっしり。

そう、その書店のライフスタイルの棚では「フランス人」と「ニューヨーカー」が二分しており、競い合っているように見えたのである。

■「自分らしさ」のニューヨーカーと「シック」なフランス人

フランスは「国」、ニューヨークは「都市」という違いはあるが、文化の発信地としてあまりにも有名な2つの場所。ニューヨーク在住、フランス在住というだけで、洗練されたハイソな人というイメージが浮かぶ。

では、本のネタになるほど多くの女性の「憧れ」(本当か?)であるフランス人とニューヨーカーのライフスタイルはどう違うのだろうか。

両陣営の本を読み比べた大まかな印象ではあるが、

「環境に振り回されない主体的な生き方を提案するニューヨーク」 「毎日の暮らしを丁寧に自然体で生きる生き方を提案するフランス」

といったところが浮かんできた。

「パワフルなニューヨーカー」「シックなフランス人」という言い方もできるかもしれない。

■あなたはニューヨーク派? それともフランス派?

ここで、おせっかいながら、ニューヨークもフランスも読んだ身として、両陣営に向いたタイプを示してみよう。

ニューヨーカーのライフスタイルの特徴はとにかくアクティブな点。代表的な著作『ニューヨークの女性の「強く美しく」生きる方法』などは落ち込んでいる人は元気になるだろうし、とにかく前向きになりたい時は助けになるだろう。

対してフランス陣営は『フランス人は10着しか服を持たない』に代表されるように、余計なものを持たない、シンプルさが売り。

前向きではあるが「ムリヤリポジティブ」ではなく、あくまで自然体。それが「シック」なのだ。酸いも甘いも噛み分けた大人の女性が行き着く「悟りの境地」といった趣すらある。周りの人間関係に疲れた時、フランス人の生活は生き方を変えるヒントとなるだろう。

ちなみに、筆者は服を2着しか服を持っていない。実にシックである。

(新刊JP編集部・山田洋介)

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山田洋介

1983年生まれのライター・編集者。使用言語は英・西・亜。インタビューを多く手掛ける。得意ジャンルは海外文学、中東情勢、郵政史、諜報史、野球、料理、洗濯、トイレ掃除、ゴミ出し。

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