だれかに話したくなる本の話

5000人の女性と寝た男の告白

ダルトビデオ―“AV”という言葉は今でこそすっかり認知されているが、日本のポルノ業界の創成期であった1980年代初頭には、これらの言葉はまだ存在せず、業界の人間でも「アダルト」、または「ビデオ」と呼んでいたそうだ。当然、“AV女優”という言葉も生まれておらず、彼女たちは「ビデオガール」と呼ばれていたようである。
 そして日本のポルノ、すなわち“AV業界”は80年代後半に黄金時代を迎え、90年代、バブル崩壊と共に堕ちていった。
 
 『AV黄金時代 5000人抱いた伝説男優の告白』(太賀麻郎/著、東良美季/構成、イースト・プレス/刊)は伝説的AV男優・太賀麻郎の自伝的な告白本という形式を取っているが、アダルトビデオ業界の今日までの発展と隆盛、そして衰退を見るうえで興味深い。

 本書では豊丸、卑弥呼といった懐かしい名前をそこかしこに見ることができるし、なにより業界創成期にコンテンツ制作に関わっていた人の熱気がいい。例え人前では言いにくい仕事だとしても、そこには“新しいものを作っている”という気概が溢れているのだ。

 こういった人々のおかげで我々男性の性生活(?)の一端が支えられてきたのである。
 次回鑑賞の前には、そのことに思いを馳せてみてはいかがだろうか?
(新刊JP編集部/山田洋介)