同窓会が「見た目が変わらない人」と「異常に老け込んだ人」に分かれるワケ
同じ年齢でも若く見える人と老けて見える人がいる。いわゆる「童顔」「老け顔」というものだが、歳を重ねるとそうとも言えなくなってくる。若い頃は童顔だったのに、60歳を過ぎると急に老け込む人もいれば、かつては老け顔だった人が還暦を過ぎると逆に若々しく見えるという「逆転現象」がしばしば起こる。
同じ年齢でも、若々しい人と老け込んだ人の差がはっきりあらわれるのが60歳以降である。同窓会に行ったらびっくりするほど老け込んだ人がいる一方で、どうみても10歳は下に見える人もちらほら、といった経験がある人は少なくないだろう。
◾️「いつまでも若々しい人」と「異常に老け込んだ人」に分かれるわけ
では「見た目年齢」を分ける要素は何なのか。『60代からの見た目の壁』(和田秀樹著、エクスナレッジ刊)では、高齢者医療に関わった経験を持つ著者がこんな点を挙げている。
「見た目年齢」が老け込んだ患者さんと話すとき、私がいつも思うのが、栄養のバランスが悪い、とりわけたんぱく質が足りていないということです。これが見た目年齢を老けさせる理由の1つです。(P13より)
60代になるとあっさりした食事を好む人が多くなる傾向があり、その結果筋肉などの材料になるたんぱく質は不足しがちになる。そうなると皮膚にシワが目立ったり、体全体がしぼんだように見えてしまう。周りからは老け込んだように見えてしまうわけである。
ただ、見た目が老ける理由はそれだけではない。「意欲」もまた見た目年齢に大きく関わるのだという。つまり、若々しくありたいという意欲がある人は、若々しくいるための努力ができ、結果として見た目の老化は遅れるというわけだ。
ただ、意欲の維持を阻害するものがある。「脳の老化」である。年齢を重ねると、どうしても脳は老化していく。その結果記憶力が衰えたりといった現象があらわれるが、記憶をつかさどる脳の海馬が目立って萎縮し始めるのはだいたい70代以降。ただ、もっと早く萎縮しはじめる部位もある。それが前頭葉であり、この部分が何かに取り組もうとする意欲をつかさどっている。
この前頭葉の萎縮は40代から目立ち始めるという。つまり、人間の意欲は40代から衰え始めるのである。若々しい見た目を保ちたいという意欲は、健康への意欲にも直結する。「いつまでも見た目を気にするなんてみっともない」というのは間違いだ。若々しい見た目を目指すことは、筋力の維持をはかったり、食生活を改善したりといった行動につながる。「見た目年齢」と「健康寿命」は密接につながっているのである。
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いつまでも若い人と早々に老け込む人、どちらになりたいかと聞かれたら、多くの人は前者だろう。本書では、食生活から行動、考え方まで、若々しさを保つために何をすべきかを教えてくれる。
高齢化が進む日本において、「いかに老いるか」は誰しもが避けて通れないテーマ。魅力的な人であり続けるため、老いにほどほどに抗うために、本書は一役買ってくれるだろう。
(新刊JP編集部)