だれかに話したくなる本の話

定年後の人生を豊かなものにするための秘訣とは

定年後をどのように過ごせばいいのか、不安に思う人は多いだろう。
どうすれば心穏やかに、幸せな高齢期を送ることができるのか。

『他人と比較しないだけで幸せになれる 定年後をどう生きるか』(幻冬舎刊)は、ニッポン放送「テレフォン人生相談」のパーソナリティを半世紀以上にわたり務めている早稲田大学名誉教授の加藤諦三氏が、不安、悩み、劣等感を手放し、定年後の人生を生き直す方法を紹介する一冊だ。

■結果よりも過程、形よりも心を重視する

現代は、競争による個人的成功が高く評価される。そして、定年で会社を辞めるのは、その競争社会から別の社会で生き始めるということ。会社勤め時代についた、自分と他人を比較する、比較される心の習慣から解放されることができる。つまり、比較することから自由になれるのだ。

そのためには、今まで抑圧してきた自分の本当の感情を意識化し、人格の統合を図ることが大切になる。高齢になったら、結果ではなく過程を重視する。「形」ではなく「心」を重視するようにすることで、比較することから解放されるのだ。

また、長年の思い込みや囚われから解放されていくことが、高齢になったときの心の生産性につながるという。こうある「べき」と思うのは、憎しみからであると加藤氏は述べる。憎しみが仮面を被り、「べき」を主張することで、憎しみを間接的に表現している。

さらに、憎しみは真面目という仮面を被っても登場する。高齢者本人は正しいことを主張しているつもりだが、周りからますます嫌われてしまう。そして、憎しみがあるから、人をなかなか誉めない。人を誉めることにケチになっている。だが、そうではなく、人を誉めることにケチにならないことを心がけるべきなのだ。

 ◇

定年後、会社員時代と心が変わっていないと、高齢期の日々も不安になってしまう。この不安をなくすには、コミュニケーション能力を身につけることが大事だ。さらに一人で遊ぶ方法を身につけ、「生きるっていいな」と感じる経験を積み上げていくこと。自分で満足することを作らなければならない。

誰もがいつかは来る定年後の高齢期の日々を豊かな日々にするためにも、本書を参考にしみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

他人と比較しないだけで幸せになれる 定年後をどう生きるか

他人と比較しないだけで幸せになれる 定年後をどう生きるか

自分のすべてを愛するための心理学。

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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