だれかに話したくなる本の話

人を頼るときに大事な「3つの感情」とは

人に頼ることを苦手とする人は少なくないだろう。 だが、社会人にとって最も必要なスキルの一つが人に頼るスキル(受援力)だ。

「頼る」ことは自分一人では到達できないところに行くために必要なこと。頼ることをしてこなかった人、苦手な人は、困ったことがあったら気持ちよく頼るスキルを磨かなければならない。

『頼るスキル 頼られるスキル 受援力を発揮する「考え方」と「伝え方」』(KADOKAWA刊)は、医師・医学博士・公衆衛生学修士の吉田穂波氏が、対話の少ない時代を生き抜き、仕事・家庭・地域コミュニティを居心地よくするために重要性を増す「頼るスキル」の具体的実践法を紹介した一冊だ。

■人を頼るときに大事な3つの感情

「頼るスキル」を身につけるには、楽しくなくても笑顔を作ることで明るい気持ちにするように、まず言葉や態度を変えることだ。

そのポイントは、「敬意」「承認」「感謝」の3つの感情を相手に順番に伝えること。

1.相手への敬意で切り出す
何かを頼むときは尊敬の念・敬意を示してから。「あなただから頼ることができる」「あなただから、相談したい」と相手を個人として尊敬していること、頼る理由を示そう。
その方法の一つが、相手の名前を呼んで「今、いいですか」と相手の都合にも配慮すること。相手の名前を呼ぶことは、個人を個人として認め、その人に対する敬意を示す最もシンプルな方法なのだ。

2.相手への存在承認を示す
相談する前に「聞いてくれてうれしい」「助かります」「あなたがここにいてくれてよかった」と相手の存在を承認することが2つめだ。
この存在承認は、相手がいてくれることに対する承認で、それだけで自分には心強いという見返りを求めない気持ちによるもの。「役に立たなければいけない」といった相手の心のハードルも外し、心理的安全性を作り出してくれるという。

3.相手への感謝で結ぶ
相談を終えたら、相手が答えを持っていようといまいと、力になってくれるかどうかに関わらず、可能な限りの感謝と喜びを伝えることが大事だ。その際は、「〇〇さんの力で」「〇〇してくださったから」と具体的・個別的に、自分が良い状態・心情に変わったという言葉を選ぶことで、相手の心も満たすことができる。具体的に、その場ですぐに、何に対して感謝しているのかを伝えるのが効果的だ。

 ◇

助けられる人は弱いのではなく、人に頼ることができる強い人で、周囲の人の強さや良さを引き出す重要な存在であると吉田氏は述べる。

頼るスキルを身につけることで、職場や家庭もお互いが居心地の良い場所となり、充実したものとなるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

頼るスキル 頼られるスキル 受援力を発揮する「考え方」と「伝え方」

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若手から上司世代まで、「助けてと言えない日本人」の必須スキル。

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この記事のライター

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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