「朝型」は非効率?物流の視点から見たユニーク時間術
努力しているのに結果が出ない、スケジュール管理に苦労している、忙しくて自分の時間がない、人間関係に疲れてしまったという悩みを抱えている人はどこに問題があるのか。
それは、「滞り」があるからだ。
そう述べるのは物流・ロジスティクスの専門家として「モノ」の流れを研究している鈴木邦成氏だ。物流にピークやオフピークがあるように、仕事や人生設計も「いかにピークを避けて滞りを解消していくか」という視点があっていい、という鈴木さんの意見は、時間管理や仕事術の点からもユニークだ。
■重要なタスクを朝にまとめる「朝型仕事」は本当に効率的か
『ロジスティクス工学×行動経済学の逆説の効率ハック はかどる技術』(鈴木邦成著、フォレスト出版刊)では、鈴木さんが、ロジスティクス工学に加え、最新の行動経済学なども取り入れて、時間・仕事・勉強・人づきあい・人生設計・お金などのさまざまなシーンやテーマにおいて、最小限の努力で最大限の成果を引き出せる考え方を紹介する。
早起きして頭がさえている朝の時間にメールチェックや資格試験の勉強をするといい。クリエイティブな仕事は朝やるのが効率的などとよく言われる。ただし、「時間の滞り」を解消していく視点から考えると、合理的な対応とはいえないのだそう。
ある種の仕事を朝に「まとめてやる」ということは、「朝」という特定の時間帯に対する期待値を高くすること。うまくできればいいがその通りにできなかった場合、挫折感も大きくなってしまう。実際、朝早く起きてみたものの、「三日坊主で終わってしまった」「結局、起きられず挫折感だけが残った」という経験をしたことがある人も多いだろう。
人間は昼行性の生き物なので、朝早くとか夜遅くとかは関係なく、日中に重要な要件をこなしておくことが効率的だ。多大な期待を朝や夜に抱くのではなく、昼のタスク効率を考え、朝や夜を予備の時間、物流業務の理論となるロジスティクス工学でいうところのバッファー(余白)として捉えるのだ。
朝の時間に期待しない。形式的な挨拶はムダ。笑顔で好印象の時代は終わるなど、一般的に良いこと、世の中の常識を本書では覆していく。物流と同じように「滞りをなくす」という視点をもつと、時間効率も良くなり、仕事の効率も良くなるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)